高校3年 9

渥美と浜田さんの関係は大学へ入っても続くが、それは後述する。

浜田さんの8ミリ映画は、今でいえば「世界の中心で愛をさけぶ」的なものだった。「病に倒れたヒロインが死に、苦しむ主人公」というやつだ。

作り手達は大真面目だったが、青柳をはじめ出演者の演技があまりに臭く、ちっともおもしろくなかった。

ヒロインが死んで、悲しみのあまり、青柳が絶叫しながら街中を疾走するシーンがある。見事な「流し撮り」で感心した。並行して走る自動車の車内からの撮影である。運転は教師に頼んだそうだ。

青柳は演劇部だった。