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限界耐力計算による構造チェック

国内には数多くの木造住宅が存在し、構法としては伝統と在来と分けて考える必要があると思っています。
しかし、中にはその中間ともいうべき存在もあり、耐震診断を行う際に注意しなければならないことは確かです。
このあたりが、なかなか判断が難しく、歴史的価値があるかどうかも含めると、伝統構法とはどういったものかきちんと私自身も定義をより深く理解しなければならないでしょう。

一般的に伝統構法は柔構造、最近の木造住宅(在来)は剛構造と言われていますが、そのどちらにも属さない、かといって半剛構造ともいえないような古い木造住宅も多いと思います。
(余談ですが私は、どちらかというと柔構造の伝統構法であっても耐震補強する際には、その特長を生かしつつも半剛性となるような計画を心がけるタイプです。この理由についてはまた別の機会とします。)

つまり、まず対象建築物に対してどのような診断法を採用するかが、建築士として重要な選択といえます。

私が限界耐力計算を取得しようと目指したのは、すべての木造建築物を日本建築防災協会(建防協)の一般診断法や精密診断法1(保有耐力計算)という枠組みで耐震性を診断するのに疑問があったからです。
もちろん、建防協の診断法も必要と思っています。また、その存在や役割も十分あると思っています。
しかし、この診断法は決して万能でも全てでもはないと思っているわけです。
私としては、建築士として、使用できる計算法が多ければ、それだけ自由に建築物にあった選択が可能ですから積極的に学びたいと考えるのは当然です。
建防協の診断法しか使えないというのは、どうにも不自由で仕方がなかったのです。


ただ、これは根拠のない予想ですが、限界耐力計算は、それほど多くの方に普及しないと思っています。

なぜなら仮に計算法を正しく習得してもその計算に基づいて、補強する場合は、技術のある大工職人等の力が必要です。
また、現地調査でも同行してもらい職人としての判断を聞く必要もあります。
つまり、腕の良い大工職人と協力関係である点も重要です。建築士一人がいくらがんばっても限界耐力計算で駆使して診断や補強などができるわけではありません。

京都では、耐震診断は必ず建築士と大工職人がペアで現地調査を行うようになっていると聞きました。
私は、このシステムは大変よいと思っています。

理想は、構造専門の建築士、意匠専門の建築士、大工職人というグループという話も聞いたことがありますが、確かにそうだなと思うようになりました。
特に歴史的価値が高いとされる木造建築物の場合は、導入すべき考え方です。

大阪での講習会で限界耐力計算は、耐震偽装問題の際に十分に知識がない建築士が使用したことによって誤解を招く事態が発生したと聞きました。
今後、操作性が高く、図面だけ入力したらすぐに診断結果が分かるソフトが販売されたとしても計算法をよく理解していない方がソフトに頼った使い方をすると危険という点は、私としてはどうしても見逃せません。私もこの点は重視し、当面は大変でも手計算で行うようにしています。
当面は、より完璧にマスターするために、大阪に行くことになります。

今後、県内の耐震事業も大きく変わっていくとは思います。
私としては、主に関西で主流になっている補強方法や診断法をきちんと身に着けて、地元建築物に合った提案ができるよう努力したいと思っています。
特に歴史的価値がある木造建築物を間違った耐震改修によって、台無しになるという事態が発生するのは問題があると思いますし、気を引き締めて、自分の能力を高め、今回の清水次郎長生家の調査のように声がかかるようがんばりたいです。

また、焼津市で限界耐力計算で耐震診断、構造チェックができる建築士がいると知ってもらえるよう宣伝する努力も今後は必要と考えています。


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