狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

幻の「教科書・歴史歪曲」

2007-10-03 06:25:07 | 教科書

 

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訂正応じる、答弁書明記 教科書検定で政府閣議決定

 【東京】文部科学省の高校歴史教科書検定で沖縄戦における「集団自決」の日本軍強制の記述が削除・修正された問題で、政府は2日午前の閣議で「発行者から(教科書の)当該記述について、訂正申請がなされた場合は申請理由などを十分に検討して、当該記述が『学習を進める上に支障となる記載』(教科用図書検定規則13条二項)に当たるか否かを判断した上で検定意見の趣旨などを勘案しつつ適切な対応を図ることになる」との答弁書を決定した。照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書に答えた。 政府が教科用図書検定規則に沿って訂正申請に応じる考えを示したのは初めて。検定後の教科書記述が沖縄戦に関し指導する上で支障があると判断されれば、教科書出版社の訂正申請に基づき記述回復もあり得るとの方針を示したもので、従来の姿勢を大きく変えた。
 「『集団自決』への日本軍の命令・強制・誘導が一切なかったかのように記述することは『学習を進める上に支障となる記載』に該当しないか」との質問には、「沖縄における集団自決について、旧日本軍の関与が一切存在しなかったとする記載はない」とし、該当するかどうかの判断を避けた。その上で「
学習を進める上に支障となる記載」の例として「明確な結果が得られない理科の実験方法の記載、児童生徒が判別しにくい地図上の記号等」を挙げた。
 検定規則で、訂正をするためのもう一つの条件に挙げられている「誤った事実の記載」(13条一項)に関し「軍命の存在を否定するかのような記述はこれに当たらないか」との質問には、「旧日本軍の関与が一切存在しなかったとする記載はなく、指摘はいずれも当たらない」とした。
 照屋氏は「本来なら『誤った記述の記載』に基づき記述の誤りを修正すべきだと考える。だが『学習を進める上に支障となる記載』であれば修正に対応するとの方針を政府が決定した意義は大きい」と話している。

 (琉球新報 10/2 16:03)

                      ◇

同じ記事でもウェブサイトで見るのと実際の新聞を手にとって見るのとでは、見出しの大小や取り扱いスペースの大小で受ける印象が大きく違う。

昨日(2日)の琉球新報の夕刊を手にし、その一面記事を見て驚いた。

一面トップを9段のスペースで渡海文科大臣の記者会見の写真付きで、次の白抜き大見出しだ。

訂正応じる、 答弁書明記

教科書検定で政府閣議決定

一瞬、閣議決定で教科書の書き換えを決定したのか、と思わず息を飲んだ。

上記ネット記事と見出しは同じなのだが読者を惑わす巧妙な紙面構成になっている。

で、肝心の記事内容は、

>発行者から(教科書の)当該記述について、訂正申請がなされた場合は申請理由などを十分に検討して、当該記述が『学習を進める上に支障となる記載』(教科用図書検定規則13条二項)に当たるか否かを判断した上で検定意見の趣旨などを勘案しつつ適切な対応を図ることになる」

なるほど、キーワードが「学習を進める上に支障となる記載」というのが分かりにくいが、大臣はちゃんと例を挙げて次のように説明している。

>「学習を進める上に支障となる記載」の例として「明確な結果が得られない理科の実験方法の記載、児童生徒が判別しにくい地図上の記号等」を挙げた。

そこで記者は理科ではなく歴史教科書の記述で食い下がっている。

記者質問1:
「『集団自決』への日本軍の命令・強制・誘導が一切なかったかのように記述することは『学習を進める上に支障となる記載』に該当しないか」との質問には

大臣回答:
「沖縄における集団自決について、旧日本軍の関与が一切存在しなかったとする記載はない」(筆者注:軍の関与を一切否定した記述の教科書はない)

記者質問2
「誤った事実の記載」(13条一項)に関し、
「軍命の存在を否定するかのような記述はこれに当たらないか」

大臣回答
「旧日本軍の関与が一切存在しなかったとする記載はなく、指摘はいずれも当たらない」(
筆者中:「誤った事実の記載」ではない)

語るに落ちるというか、己が質問に落ちてしまったというか、質問者は自分の質問で墓穴を掘ってしまった。

そもそも教科書検定で、沖縄マスコミが扇動してきたような「歴史のわい曲」は一切存在していないのだ。

「誤った事実の記載」(13条一項)に関し、従来の歴史教科書記述が「集団自決は全て軍命令があった」と思わせる「誤った」記述に検定意見を述べたに過ぎない。

一方、「全ての集団自決に軍の関与がなかった」とも指導はしていない。

つまり、今までのあまりも一方的な「全てを軍の責任にする」記述をバランスの取れた記述に戻したに過ぎないのだ。

「県民大会」で拳を突き上げていた大多数の人々はマスコミが造り上げた「幻の歴史わい曲」に踊らされていたのが分かる。

これについては拙稿「沖縄県民の大誤解 教科書検定」で次のように書いていた。

>「学問的に争いがあり、命令があったと断定するのが不適切」なら「命令がなかったと断定するのも不適切」となるはずです。(サヨクブログの引用)

このあたりがサヨクのすり替え理論の典型である。

検定意見が「命令がなかったと断定するのも不適切」。

その通りである。

「命令がなかった」も「命令がなかった」も現時点ではどちらに断定する検定意見も不適切である。

従って検定意見では「命令の有無」についてはあえて触れていない。

それを「『命令がなかった』と断定するような方向への修正がおこなわれました」と虚偽の情報を流し、

その結果「検定意見書で命令が無かったと修正された」、と誤報を流し県民を狂乱させているのが沖縄メディアの実態である。

では、沖縄タイムスはどのように報じているか。

「軍の強制」復活も/文科相、訂正申請容認

≪訂正申請に前向きな姿勢を示した理由について渡海文科相は「県民大会だけでなく、新たな事実、証言が出てきた」と述べ、県内の「集団自決」体験者による日本軍の強制を示す新証言が相次いでいることを根拠に挙げた。

 その上で「今回は検定結果に異論があるわけだから、もう一度審議会で検討いただけないかなと思っている」として、再審議の必要性を明確にした。≫

大臣は沖縄メディアに次々出てくる「新証言」を言っているのだろうが、それは「もう一度審議会で検討いただけないかなと思っている」で結構なことだ。

検討すれば「新証言」のいかがわしさが判明してマスコミのミスリードも化けの皮が剥げると言うものだ。

地元紙は詳しくは報じていないが大臣は次の発言もしている。

 教科書検定、訂正申請あれば再審議も・文科相示唆 

  渡海文科相は「検定制度への政治的介入は避けなければならない」と繰り返し指摘。「私だけの判断で決めたら政治の介入にならないか。事実関係に明確な誤りがある場合は判断できるが、今回はそうではないと述べ、学者らでつくる審議会の意見も聞くべきだとの考えを示した。

 沖縄県側が求めている検定意見そのものの撤回については、「審議会は公正な手続きに基づいている」として慎重な姿勢を崩さなかった。(日本経済新聞 14:01)

しつこく食い下がる沖縄マスコミに「関係者の工夫と努力と知恵」という苦しい答弁をした町村官房長官の言葉は、数を頼んで「白を黒とせよ」と迫るマスコミへの苦しい返事なのだろう。

所詮大臣も投票で決まる政治家の1人、11万人という「大票田」をバックに強気で迫られると「工夫と努力と知恵」とでもいわざるを得なかったのだろう、お気の毒に。

 文科相「訂正申請に対応」 検定修正検討を指示  
町村信孝官房長官も同日午後の定例会見で「(記述を)訂正できるのか、修正できるのかには、関係者の工夫と努力と知恵があり得るのかもしれない」と述べ・・・(琉球新報 10/2 9:35)

 

地元紙が意図的にすりかえてきた「幻の歴史のわい曲」を以下のコラムがうまく説明している。

【産経抄】10月2日 
何か誤解があるのではないか。それとも意識的なすりかえか。先月29日に、沖縄県宜野湾(ぎのわん)市で開かれた集会のことだ。沖縄戦で起きた住民の集団自決をめぐり、日本軍が強制したとの記述を削除するよう求めた検定意見の撤回を求め、11万人(主催者発表)が参加した。

 ▼集会で採択された決議では、「集団自決に軍が関与したことは明らか」だと、こぶしが振り上げられている。文部科学省の検定意見は、軍の関与を否定しているわけではないのに。たとえば、検定前のある教科書にこんな記述があった。

 ▼「日本軍は、県民を壕から追い出し、スパイ容疑で殺害し、日本軍のくばった手榴弾(しゅりゅうだん)で集団自害と殺しあいをさせ、800人以上の犠牲者を出した」。この後半部分が「日本軍のくばった手榴弾で集団自害と殺しあいがおこった」と修正された。果たして「歴史の歪曲(わいきょく)」といえるのか。

 ▼集団自決の軍命令説が、信憑(しんぴょう)性を失った経緯について、小紙では何度も報道してきた。『沖縄ノート』で、自決を命じたと書かれた元守備隊長らは、著者の大江健三郎氏に名誉を傷つけられたとして、訴訟を起こしている。

 ▼沖縄戦では、集団自決とその後の地上戦により、住民の死傷者は軍人を上回った。戦後も長く米国の占領下に置かれ、本土復帰後も、米軍基地が集中したままだ。こうした沖縄の悲劇から、目をそらさないことと、教科書の不確かな記述を正すことは、なんら矛盾しない

 ▼どんな修正に対しても、「反沖縄」と決めつける勢力がはびこる限り、沖縄と本土の隔たりは埋まらない。集会では、高校生が「教科書から軍の関与を消さないでください」とメッセージを読み上げる場面もあった。少年少女にはまず、「事実」を教えてほしい。

 

結局、沖縄のマスコミは、存在もしない「幻の歴史わい曲」の教科書検定意見書を造り上げ、子供たちや事情を知らない人々を“11万人”の「県民大会」へと駆り立てたことになる。

沖縄のマスコミは、その歴史に恥辱の一ページを加えたのだ。 

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8 コメント

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歪曲?? (ヒロシ)
2007-10-03 17:10:58
何度読んでもこの検定内容に問題があるとは思えないのですよ。
普段、何も言わないうちの妻が「どこに問題がわからない」と言っています。
どこが歪曲なのでしょうね。
返信する
Unknown (sesiria)
2007-10-03 17:52:43
私からすればこの検定内容はまだまだ
遠慮深いと感じますね。
かなり控えめですよ。これで怒り狂って
修正を求めるなど、日本人全体の思いを
考慮してないですよ。
自決された沖縄県民、日本兵の魂を
汚す事は許せない。
返信する
こんにちわ…(*^_^*)? (飴屋惣助)
2007-10-03 23:40:24
主催者発表『参加者11万人』って…初詣でもあるまいに…

人数で勝負でも在るまいに?

伝えるべきは『自決者の無念』と『戦乱がなければ自決は無かった』事実でしょう。

左右護憲改憲を問わず、全ての人間が『戦争を憎んで本気で怒る事』を忘れちゃいけません。



『11万人の反政府集会…無事に開催?』

日本は自由で平和で良い国!

日本人は無責任に平和惚け出来て幸せ!!

あちらこちらから~そんな嫌味を言われそうです(笑)



皆で手を繋いで、基地の金網から空を眺めて見て、(基地は)邪魔だよな…

と、思えたら当たり前な人間で、普通の日本人です。



管理人サンはどうでしょうか?



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出張コメント (なんくる)
2007-10-04 08:49:09
こんにちは。「ぼやきくっくり」のリンクから来ました。
あちらではコメント拒否されているのでこちらに書かせてください。

教科書にずっとあった記述を突然削除したので反発が強いのでしょう。
既成事実となっている事を変更するには丁寧に説明して利害関係者の理解を得る努力をすべきです。
「沖縄集団自決裁判」が係争中なのに問答無用の強行採決のような変更では賛同は得られません。
判決を待って合意形成していけば良いと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『沖縄戦集団自決事件をめぐる 「反日神話」の背景(2)』
椿原泰夫/自由主義史観研究会会員
http://www.jiyuu-shikan.org/rekishi106.html
座間味島の防衛隊長は、集団自決を命令し、自身も率先して家族とともに自決したとされる、村助役(当時)宮里盛秀氏であったことが梅澤裕元少佐の手記に出てくる。

「防衛隊長の命令は軍の命令と見なせる」として、「軍命令による集団自決」の筋書きを考えたという

沖縄戦では、「国家総動員法」の趣旨に基づき、十四歳以上四十五歳までの健康な男子は「防衛隊員」として召集されていた。軍による動員であり、「正規軍」の一員としての扱いであった。
返信する
Unknown (Unknown)
2007-10-04 16:38:06
◆ ヒロシさん

奥様が関心を持って頂いただけでも「県民大会」の意義はあったわけですね。

あまりめちゃくちゃを通すと反発がおきてきますよね。


◆sesiriaさん

>私からすればこの検定内容はまだまだ
遠慮深いと感じますね。

そうですね。 今までの教科書がマルクスレーニン主義社の手で書かれ極左的記述を元に戻しただけだと思います。 怒り狂ういわれはないですよね。


◆飴屋惣助さん

平和を希求するのに右も左もないと思うのですが、少しでも「反左翼的」意見を言うと「軍靴の響きが聞こえてくる」という連中とは議論にもなりません。

事情を良く飲み込めない子供や老人を巻き込むのには腹が立ちますね。


◆なんくるさん

>「沖縄集団自決裁判」が係争中なのに問答無用の強行採決のような変更では賛同は得られません。

教科書検定意見の誤解は

①集団自決そのものの削除があったという誤解。

②「軍の命令がなかった」と断定して削除させたという誤解です。

実際軍の「関与」を削除した教科書はありません。

在りもしない誤解をでっち上げて県民を惑わしたのが沖縄マスコミです。

困ったものですね。
返信する
記入漏れ (狼魔人)
2007-10-04 16:40:44
上記レスは狼魔人発です。 記入もれでした。スミマセン。
返信する
「日本軍」削除 (なんくる)
2007-10-05 16:27:55
狼魔人さんこんにちは。レスありがとうございます。
>実際軍の「関与」を削除した教科書はありません。

主語の「日本軍」を削除した教科書
(1)
【修正前】なかには日本軍に集団自決を強制された人もいた。
【修正後】なかには集団自決に追い込まれた人々もいた。

(2)
【修正前】さらに日本軍に「集団自決」を強いられたり
【修正後】さらに、追いつめられて「集団自決」した人や

(3)
【修正前】また日本軍により、県民が戦闘の妨げになるなどで集団自決に追いやられたり、
【修正後】また県民が日本軍の戦闘の妨げになるなどで集団自決に追いやられたり、

(4)
【修正前】そのなかには、日本軍がスパイ容疑で虐殺した一般住民や、集団で「自決」を強いられたものもあった。
【修正後】そのなかには、「集団自決」においこまれたり。日本軍がスパイ容疑で虐殺した一般住民もあった。
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軍の関与 (狼魔人)
2007-10-06 07:38:38
なんくるさん

>実際軍の「関与」を削除した教科書はありません。

①②④の修正前の記述には【強制され】【強いられ】という【命令】(この場合軍命)と同義語があります。

③の記述には【命令】の同義語はありませんが、【日本軍により】と【追いやられ】という二つの記述により【軍の命令】と同じようになります。

検定意見の時のやり取りで「主語の日本軍を削除せよ」といったかどうかはうかがい知れませんが、結果的に「軍の命令で集団自決した」と取れる記述に意見がついたら、修正後の表現になったと思われます。

いずれにせよ「軍の関与」に検定意見を述べたのではなく、「軍の命令と取れる記述」に検定意見を述べたもので、なんら問題はないものと思います。

(集団自決を)「命令した」「強制した」「強いた」といった表現ににのみ検定意見意見がついており、

「軍の関与」というと、戦時中のことでありこれを全く否定は出来ないでしょう。

ですが、「従軍慰安問題」のときもそうでしたが、当初の「(慰安婦を)軍が強制連行した」という唯一最大の論点が、ずれてきて「(慰安婦に)軍が関与した」と拡大解釈になったことをご記憶でしょう。

「集団自決問題」も教科書の記述に関しては「軍の命令、強制」が唯一最大の論点であり

御例示の①から④の修正は、軍の「関与」を削除した例には当たらないと思います。
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