狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

外交の切り札? 横田早起江さん米大統領と面談

2006-05-01 09:40:41 | 普天間移設

昭和30年代半ば頃、街には誰かが「アンポ」といえば「ハンタイ」と意味も無く返事が返って来るムードが溢れ「アンポハンタイ」をネタにした時事漫才があったくらいだった。

当時大学生で東京にいたが、女の子にモテルにはアンポハンタイを叫ばなければならないという笑い話もあった。

今時ほど「合コン」等という事は流行ってはいなかったが、それでも男子だけのクラスだったので都内の女子大生と何度か「合同コンパ」(当時はそういっていた)をした。

ある合同コンパの時、黙して語らない私に業を煮やしたのか、隣に座った理知的な美人が話題を振ってきた。

「先週の三里塚闘争には参加しました?」。

云うまでもないが、「三里塚」とは成田空港近くの三里塚でその地名は当時の学生運動の聖地的な響きがあった。

三里塚の名前だけは勿論聞き知っていたがノンポリ(政治的無関心者)の私が参加しているはずは無かった。

話振りから件の美女は参加してる様子。 参加したといえば話が弾んでひょっとしたら・・・ロマンスも、・・。

だが待てよ、・・それでは嘘がすぐバレてしまう。

本当の事を言えばモテナイこと請け合いだが嘘をついても・・。

悩んだ挙句の結論は第三の道だった。 ≪徹底的にボケ通そう!≫

「三里塚って、何ですかそれ。 一里塚なら毎年通るけど・・・」。

「イ・イ・一里塚?  一体それは何ですか」。

「正月のことですよ。  昔から言うでしょう『正月や 冥土の旅の一里塚 目出度くもあり 目出度くもない』って」。

「・・・・・・・・」

勿論その瞬間私の周りから女性の姿がサッと消えていったのは云うまでも無い。

ほろ苦い青春の一ページであった。


          ◇          ◇         ◇

 

「近隣の国とは仲良くするべき」・・最近の日中・日韓の緊張の際に絶えず言われ続けている言葉である。

どこの国とも、いやせめて近隣の国とぐらい仲良くしたいのは誰でも考える事。

しかし、実際は近隣の国ほどいざこざが起きるのが現実の世界だ。

フランスは隣国ドイツの脅威に絶えず晒されていた。

普仏戦争でパリに入城、第一次世界大戦でドイツの脅威に晒されたフランスは、第二次世界大戦ではナチス・ドイツによって、遂に国土のほとんどを占領されてしまった。

戦後は辛うじて戦勝国になり連合国の特権で国連の安保常任理事国入りした。

そしてこれも常任理事国の特権である核武装をした。

1960年代は国際的にも、国内的にも「アンポ」にとって激動の時代だった。

1960(昭和35)年に国内では日米安保条約の改定。
米ソ(1949)、イギリス(1952)に次いで、1960年にはフランスが原爆実験に成功。
同年中国(1964)が原爆実験に成功。
1962年にソ連がアメリカの目と鼻の先のキューバに核ミサイル基地を建設しようとした。

1960年代、世界は核による勢力均衡という時代に突入した。

国連安保・常任理事国は全て戦勝国であり核武装国である。


これだけの前置きで、昨日30日の琉球新報コラム・金口木舌の鋭い突っ込みを鑑賞しよう。

琉球新報 2000年4月30日 金口木舌

 フランスの独自外交路線を、元大統領ドゴールの名にちなみゴーリズムという。それは冷戦期、西側に加わりつつも米国と一線を画す「同盟すれども同調せず」の外交姿勢に象徴的に表れた
▼フランスは人口が日本の半分、GDPは4割程度のミドル・パワーの国だが、米英がイラク攻撃を始めた際には毅然と批判した。元沖縄サミット事務局長で、在仏日本大使館公使の山田文比古さんは、著書「フランスの外交力」で、その力の源泉をこう紹介した
▼「核保有国、国連安保理常任理事国、ヨーロッパの中原に位置する地政学的優位性、アフリカなど旧植民地との密接な関係、フランス語とフランス文化を通じた影響力など、フランス外交にはいくつかの切り札がある」、と
▼翻って、日本の切り札は何か。日本文化、ODA支援などが挙げられようか。だが、何より諸外国が戦後日本に対して抱く「平和国家」のイメージが重要と思う
▼向米一辺倒の政治家からすれば、平和な日本は「日米同盟があればこそ」だろう。しかし、その見方は一面的ではないか。本来、憲法の平和主義こそ「平和日本」の象徴である。そうであれば、九条を粗末に扱うのは外交の自殺行為になりかねない
▼「憲法記念日」を前に「切り札」としての九条の重みをかみしめたい。


フランス語やフランス文化はともかく、戦勝連合国の「会員制クラブ」である国連常任理事国であるということと、その結果もたらされた特権である「核軍備」がフランス外交の「切り札」である事は論を待たない。

それがあるからこそ、人口、GDPも日本のおよそ半分程度の「ミドル・パワーの国」のフランスが国際社会で自信に満ちた発言が出来る。

日本のお隣の厄介な三国も二国は核武装し一国は徴兵制で軍備を固めている。

一方新報コラム氏は「日本の切り札は・・・『平和国家』のイメージが重要と思う」と高らかに謳い上げる。

≪向米一辺倒の政治家からすれば、平和な日本は「日米同盟があればこそ」だろう。しかし、その見方は一面的ではないか。本来、憲法の平和主義こそ「平和日本」の象徴である。そうであれば、九条を粗末に扱うのは外交の自殺行為になりかねない。≫

「日米同盟による平和」が「一面的見方」だろうが、何であろうが、国民が外国に拉致されても自国では何も出来ずアメリカに助けを求めざるを得ないのが日本の現実。

横田早起江さんはアメリカに助けを求めて、米国議会で証言させてもらい米国大統領に面談して救出を訴えた。

相手(北朝鮮)を刺激するからと拉致家族に自国の国会証言の機会も与えず、自国の首相が拉致家族と面談したのは、2年前二度目の訪朝から帰国した時あった一度きりだけ。

これが平和国家日本の現実である。

現在アメリカは対北朝鮮に経済制裁発動中である。

これも相手を刺激するからと経済制裁も出来ない日本の現状を見て、「拉致被害当事国が経済制裁も出来ないのにアメリカ頼みはおかしい」と言う意見もアメリカの一部にあると聞く。

≪「憲法記念日」を前に「切り札」としての九条の重みをかみしめたい。≫

結語は高尚な平和の理想を謳い上げ痺れる名文である。

この一文だけでご飯が三杯お代わりできるくらいだ。(玄倉川の岸さんの名文)

尤も、オタカさん、・・まだ死語にはなっていない、土井たか子の顔が浮かんで直食欲を無くしたが・・。

国の安全保障論議には目を瞑り「日米安保」に耳を塞ぎ、外交の切り札を論ずる。

これは、木を見て森を見ず、・・・いや、話題の「偽装マンション」で構造計算には目を閉じて、カーテンの色を論ずるが如し。

求める平和国家日本の将来は砂上の楼閣、というより鉄筋を抜かれた「偽装国家」なのだろうか。

産経抄の云う外交力は「日本の経済制裁発動」を主張する横田早起江さんの毅然とした態度である。

 産経抄 平成18(2006)年4月29日[土]
 
 日本がこれほど鮮やかな“外交力”を示したことがあっただろうか。しゃんと背筋を伸ばし、言うべき主張に過不足がなく、相手の心をぐっとつかんで離さない。米国議会で毅然(きぜん)と語る日本人女性に、多くの米国人が共感を覚えたに違いない。

 ▼二十九年前、十三歳の長女を北朝鮮に拉致された母、横田早紀江さん(70)のことだ。過去の取材でも、これほど説得力ある証言者を小欄は知らない。彼女のように気品の中に迫力をもつ外交官がいたら、戦後日本の地位も違っていたのではないかと思う。

 ▼北朝鮮の将軍様はいまになって、「とんでもない女性を敵に回してしまった」と後悔しているだろう。悲しいことにその母の強さをつくったのは、ほかならぬ金正日総書記本人ではないか。平凡で幸せな家庭から愛(まな)娘を奪われ、北で助けを待つ彼女を思う母を強くした。

 ▼「四半世紀を超え、どの親も老齢のため、残された時間は多くありません」。早紀江さんの証言は感性に訴えるだけではない。「全世界の自由を愛する国民の総意で、『怒っている』と北朝鮮に態度を示していただきたい」。ダメな為政者たちに「時代のけじめ」を迫っていた。

 ▼スミス議員は「サミットはその絶好の機会だ」とブッシュ政権の尻をたたいた。新潟市内の拉致の現場を視察したシーファー米大使が、大統領をも動かした。早紀江さんらと大統領との面会ほど力づけられるものはない。

 ▼北が拉致を解決せず、ミサイル開発をやめないなら日朝首脳が合意した「平壌宣言」を見直せばよい。警察は北を支援する団体のどんな法律違反も見逃すな。「すべての被害者を助け出し、これからの人生を自由の地で過ごさせてやりたい」。早紀江さんのことばが胸を刺す。



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