「NO!」のカードが並ぶ。午前7時、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の通称・大山ゲート。オスプレイ配備に反対する十数人が、出入りする軍関係者の車にカードや旗を掲げて叫ぶ。「マリーン(海兵隊)、アウト!」。オスプレイが配備された2012年10月ごろから続く活動だ。

 ここに毎週金曜、別のグループが立つようになった。「You are our good friends」。反対車線の歩道で、米軍への感謝を記した横断幕を広げ、手を振る。スーツ、Tシャツ、ジーパン。様々な格好の中年の男女20人ほどだ。「地元では基地や米兵に親しみを感じている人もいる」。昨年3月から活動を始めた手登根(てどこん)安則さん(50)は言う。

 険しい表情と満面の笑み。道路を挟む二つのグループの視線は重ならない。

 手登根さんは隣の浦添市出身。自動車関係の会社で役員を務める。外資系の自動車販売会社に勤めた父、米国人相手の美容師だった母。県民総所得に占める基地関係収入はいま5%ほどだ。それでも「基地が沖縄経済に占めるウエートも大きい」と語る。

 先月、政府が普天間の移設先とする名護市辺野古に出向いた。前日に移設反対の集会があり、数百人が「基地建設は許さない」と声を上げた砂浜。米軍キャンプ・シュワブとの境の金網に結ばれた抗議のリボンや旗を取り外し、燃えるゴミとして捨てた。「リボンやテープをくくりつけて街を汚す運動は沖縄の恥だ」

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