
辺野古移設をめぐる二つの裁判が昨日結審した。
係争委不服訴訟は3月17日、代執行訴訟は4月13日、それぞれ判決が言い渡される。
これまでの成り行きから判断して、和解はありえないと思うのだが、本日の沖縄タイムスは、未だに和解、それも「暫定案」に未練を残したような一面トップの見出しである。
■一面トップ
県・国和解協議 暫定案で
代執行訴訟 国の辺野古停止・訴訟取り下げ前提
判決は来月13日 高裁那覇
稲嶺市長尋問 「強行は地方自治違反」
係争委不服訴訟も和解勧告 17日判決
■二面トップ
国の基地強行疑問視
自治のあり方問う
稲嶺市長姿勢を批判
名護市長の陳述要旨
「名護の民意 基地ノー」
「事件や事故 移設で増」
辺野古「従来通り」 菅官房長官 会見で強調
知事 自治の本旨要望
和解協議継続 裁判所を評価
■三面トップ
和解案 割れる評価
「県寄り」国が不快感
県、「工事停止案」前向き
最終弁論
国「判例に反し違法」
県「取り消し適法」
■第二社会面トップ
自治守れつなぐ手
新基地阻む判決へ団結
県側支援に1500人
名護市長の激情 共感
首相官邸前でも反対の声
■重き負担 市長代弁
県民の思い 切々訴え
代執行訴訟 裁判長国に注意も
「和解案」提示を評価 県弁護団
顔紅潮「サンゴ被害甚大」名護市長
辺野古代執行訴訟 「暫定案」で和解協議の方向
普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、国が翁長雄志知事を訴えた代執行訴訟の第5回口頭弁論が29日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)であった。沖縄県側代理人によると、二つの和解案のうち、国が工事を停止した上で代執行訴訟などを取り下げて県と再協議するように求めた「暫定案」に絞った和解協議が進む方向となった。「根本案」には言及がなかったという。暫定案には和解後、地方自治法に基づく是正措置を具体的な日数も挙げながら速やかに実行する内容が加わったもようだ。
代執行訴訟では稲嶺進名護市長が証人尋問で「国が地元の名護市や県の理解を得ないまま新基地建設を強行することは、地方自治の原理に反する」と訴えた。翁長知事は弁論後の会見で「地方自治の本旨に基づいた判断を下してほしい」と述べた。訴訟は結審し、判決は4月13日の午後2時に言い渡される。
係争委不服訴訟でも同様の「暫定案」が示されたが、国側は新基地建設工事の停止を条件とする同案に難色を示すのは必至だ。
稲嶺市長は県側の主尋問で、新基地建設は騒音増加や環境破壊を招き、住民生活に甚大な影響が出ると主張。「豊かな環境を維持し、人と自然が支え合う」とした市の基本理念に反すると訴えた。
名護市にはキャンプ・シュワブや辺野古弾薬庫など、市の面積の約11%を米軍専用施設が占めていると指摘。「基地負担は既に過剰で、新基地反対の民意も示されている。これ以上の負担は受け入れられない」と強調した。基地の騒音や米軍が関わる犯罪によって「県民の人権が否定されてきた」と沖縄の戦後を振り返り、「県民の人権を守り、希望の持てる判決を」と裁判長に訴えた。
国側は反対尋問で、沖縄防衛局が埋め立て承認を申請した際に市が県に提出した意見書について質問。意見書作成に当たり、市が意見を聴取した専門家が公正中立な立場だったのかと聞き、稲嶺市長は「県内での研究成果などを踏まえ、専門家を選んだ」と答えた。
■係争委不服訴訟も和解勧告 17日判決
名護市辺野古の新基地建設で、翁長雄志知事の下した埋め立て承認取り消しをめぐり、石井啓一国土交通相が出した執行停止決定の取り消しを求め、県が国を提訴した「係争委不服訴訟」の第2回口頭弁論が29日、福岡高裁那覇支部であり結審した。多見谷寿郎裁判長は、代執行訴訟に次いで和解を勧告した。
意見陳述に立った県側は、埋め立て承認の取り消しの無効を求めた沖縄防衛局が、本来、一般人の利益を保護する行政不服審査法に基づいて国交相に審査請求したことを「私人に成り済ました。正しい国の関与なのか疑わしい」と批判。
今回のような手法が認められた場合、「行政権の乱用」という前例をつくり、全国にも影響が波及すると主張し「本来あるべき、国と地方の関係に基づく判決を」と求めた。判決は17日午後2時から同支部で言い渡される。
☆
代執行訴訟の結審後、国と県による和解協議が行われたが、16時11分に開始、16時31分には県側代理人が無言で裁判所を出ているので協議時間は僅か20分足らず。和解が決裂したのは誰の目にも明らかである。
さらに代執行訴訟の前に行われた係争委不服訴訟は開廷後、僅か10分で結審している。
しかも代執行訴訟よりも後に提訴されたにもかかわらず、判決は結審後僅か半月の3月17日だとのこと。
係争委は県の不服申し立てを審議することなく門前払いで却下している。 県が係争委の判断を不服として提訴できるのは係争委が「審議」したという事実が前提条件。
本件は、審議もせずに却下しているので、判決は原告(県)に提訴の資格はない、として高裁判決も県の提訴を却下(門前払い)だろう。(涙)
代執行訴訟の最終弁論で国は、昭和43年の最高裁判例を持ち出して、県の取り消しが無効と主張している。
産経紙が詳しく検証しているので次に引用する。
ちなみに翁長知事は第4回口頭弁論で、国側代理人に、行政処分の取り消しが極めて例外的にしか行えないとの判例について質問され「よく分からない」と述べ、最高裁判例を認識しないまま承認を取り消していたことを認めている。
⇒行政処分の取り消しは例外的 翁長知事「よく分からない」 代執行訴訟第4回弁論で本人尋問
2016.2.29 05:30更新
【辺野古移設・代執行訴訟】
翁長雄志知事の承認取り消しが違法か適法かをめぐる双方の主張をまとめた。
【最高裁判例】
国が翁長氏の承認取り消しを違法と指摘する上で最も重視したのが昭和43年の最高裁判決だ。処分を取り消す場合、取り消しで生じる不利益と、取り消さないことによる不利益を比較し、取り消さないと公共の福祉に照らし不当と認められるときに限って取り消すことができるとの判断を示した。この考え方は何度も踏襲され、「確立した最高裁判例」と主張する。
県は43年判決は処分の相手が一般国民の事例で、相手が防衛省という国の機関である今回の承認は「関係性が異なる」として判決の法理を適用することは不当と反論。仮に43年判決の考え方が適用されるとしても、取り消さないことによる不利益は甚大で公共の福祉に照らし不当でもあり、取り消しは適法とした。
【不利益比較】
では、承認取り消しで生じる不利益と、取り消さないことによる不利益に関する主張はどうか。
国は取り消しの不利益として辺野古移設の最大の目的である普天間飛行場の危険を除去できず、日米の信頼関係に亀裂が入り、普天間飛行場の跡地利用に伴う経済振興も基地負担軽減も実現しないと指摘。辺野古周辺での騒音や環境影響に十分配慮しており、取り消さないことの不利益は極めて小さいと結論づけた。
国は取り消しの不利益として辺野古移設の最大の目的である普天間飛行場の危険を除去できず、日米の信頼関係に亀裂が入り、普天間飛行場の跡地利用に伴う経済振興も基地負担軽減も実現しないと指摘。辺野古周辺での騒音や環境影響に十分配慮しており、取り消さないことの不利益は極めて小さいと結論づけた。
県は瑕疵(欠陥)のある承認を取り消さないことによる不利益として辺野古の自然環境を破壊し、生活環境を悪化させ、基地を固定化させると例示。辺野古移設で県の自治権を侵害することは憲法92条が保障する地方自治の本旨にも反すると強調する。
【代執行要件】
国が代執行訴訟を提起したこと自体も争点だ。
国は翁長氏が知事就任以降、辺野古移設阻止を公言し、承認取り消しに踏み切ったことも踏まえ、取り消した状態を維持する意思は固く、是正の指示などに従う見込みはないと判断。「(代執行)以外の方法で是正を図ることが困難」として、訴訟提起は要件を満たしているとの立場だ。
これに対し県は、国が代執行訴訟の提起に先立ち、行政不服審査法に基づく執行停止で取り消しの効力を停止させており、これが「以外の方法」であることは明らかで、代執行訴訟の要件を充足していないと反論している。

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=156128
県議にもわからない。
共産党らの県議が知って、方針を出し、それに呼応する記事をタイムス、新報が書いて、翁長知事を応援するように見せかけて、その判断に従うようタイムス、新報が追い込む。
反対派を動員して県庁前で、集会&シュプレヒコール。
といういつもの「手」が使えない。
「公表」されないものだから、知事をコントロールできない。
社説に「公表」すべき理由をなんだかんだと屁理屈並べているが、↓の言葉で、すべてチョン。
>静かな環境での協議を意図して公表を控えるよう求めている
外野に口を出させないwww
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=156133
>沖縄県側代理人によると、二つの和解案のうち、国が工事を停止した上で代執行訴訟などを取り下げて県と再協議するように求めた「暫定案」に絞った和解協議が進む方向となった。「根本案」には言及がなかったという。
>暫定案には和解後、地方自治法に基づく是正措置を具体的な日数も挙げながら速やかに実行する内容が加わったもようだ。
国が、暫定案なら、「再度協議と言って、ずーーーっと引き伸ばされるのは、かなわないから、期限をつけてきた」のかな。
2か月とか3か月とか、案外短いかも。
そして、もし、それまでに具体的な案が沖縄側から出なかったら、辺野古移設再開とか。
「暫定案」なら、半永久的に辺野古阻止できると思っていたら、そうはさせじ?
「暫定案」も、タイムス、新報が期待するほど、県有利でないかもね。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160229-00000032-jnn-soci
>普天間基地の移設問題で、沖縄県の翁長知事が行った名護市辺野古の埋め立て承認の取り消し処分をめぐり、国が処分の取り下げを求めた代執行訴訟の5回目の弁論が29日に開かれました。
>裁判では移設予定地となっている名護市の稲嶺市長への証人尋問が行われ、稲嶺市長は「新基地がつくられると生活環境や自然環境に甚大な被害が出る。人権を否定されてきた戦後70年間の歴史から私たちを解放して欲しい」と訴えました。
>裁判は29日で結審し、4月に判決が言い渡されます。
>また、裁判終了後には、これまでに裁判所が提示している2つの和解案が協議されましたが、結論は出ていません。
>(29日17:55)
>最終更新:3月1日(火)6時32分
各局で「代執行裁判」のことをニュースに取り上げていましたが、私が観た限りでは、概ね↑のような内容。
和解案の「公表」について触れたニュースはなかった。
ところで、このニュース記事の書き方に好感を持つ。
2月29日(月)18時59分配信←ネットにアップした初回日時
(29日17:55)←放送した初回日時
最終更新:3月1日(火)6時32分←文字通り
これが、ニュースの提供の透明性と思う。
どこぞの新聞のように、「更新」したのに、初回日時を保持したりしていない。
ネットの記事は、紙面と違って、いくらでも「変更」ができる。
http://www.sankei.com/world/news/160228/wor1602280009-n1.html
>米大統領選の共和党候補指名争いでトップに立つドナルド・トランプ氏
>その特徴は、国民の偏見を利用し、理性ではなく感情に訴える手法を駆使していることだろう。
1年半前の沖縄県知事選を彷彿させる。
>(1)「世論調査が示している」といった、大衆が納得しやすい「多数論証」(2)自身への批判に対し、議論ではなく「でくの坊」「弱虫」などと相手の人格批判で応じる(3)「私に歯向かう者はボロボロになる」などの「脅迫論証」(4)「それについては話したくない」と、責任を回避し話題を転換する「逆言法」-といった手法が目立っていることだ。
この手法が効くのは、一にも二にも、大衆が「事実」を知らないからだ。
>扇動家はこうした修辞法に頼りがちで、しかも「事実」には関心がなく、誤った前提に基づき立論することが多いという。
扇動家がいくら扇動しても、「事実」を知っていれば、言っていることの矛盾にすぐ気づく。
「事実」を地元紙に遮断されても、「あれ?」と少しでも疑問に思えば、調べようとする。
幸い現代は、調べるツールは、多い。
「事実を知っている」「矛盾に気づく」「調べようとする学習意欲」。
つくづく教育の大切さを思った。
だから、強くする方法も述べない。
翁長知事が「辺野古移設を反対」していることは分かったが、「どうやって普天間の“早期の”危険性除去」をするか、見えなかった。
普天間の危険性に「怒り」を持っていることは分かっても、「どうやって普天間の“早期の”危険性除去」は、分からなかった。
一部には、「辺野古移設反対」は「普天間の固定化」に繋がると言われていた。
が、辺野古以外の代替え地の案は示さず、「案は、国が考えよ、それが沖縄の案だ」と言った。
防衛は国の専権事項だから「国が考える」のは筋だが、ならば「辺野古反対」も言えないのではないかの矛盾に気づく人は、翁長知事支持者より10万人少なかった。
「辺野古移設」は法的手順を踏んだもので、国の専権事項であるからと言って、勝手に決めたものではない。
「法的手順を踏んで決まった」は翁長知事の弱点なので、「瑕疵があれば、取り消す」と言い繕った。
必死にタイムス、新報は「代執行裁判」を「民主主義」「自治権」だのに置き換えているが、問われているのは、「瑕疵の有無」。
翁長知事が言ってきた「瑕疵があれば、取り消す」の取り消しをした「瑕疵の有無」ある。
風を読むのに長けている宮崎議員が、はしゃいでいる。
彼がはしゃいでいるなら、翁長知事が辺野古の新基地建設計画に反対する「枠組み」を「オール沖縄」と呼ぶだけで、「県民の総意」の別の言い方でないと認めるところまで追い込まれたというのは、本物だろう。
タイムス、新報の必死の置き換えを信じて、「代執行裁判」を「民主主義」「自治権」が問われていると思っている県民はどのくらいいるだろう?
オピニオン面に一般投稿6本(児童生徒限定の「ぼくも私も」除く)。
「民・維の合流 意義を示して」の浦添市・松本久雄さん(59)は、1月17日、2月20日に続き今年3回目の掲載。
「基地から爆音 味覚にも影響」の沖縄市・親泊善雄さん(63)は、1月17日、2月6、20日に続き今年4回目の掲載。
「沖縄の独立論 市民で議論を」の浦添市・知念徳彦さん(66)は、1月12日、2月3、21日に続き今年4回目の掲載。
「健康のリズム 仕事が助ける」の西原町・具志堅興清さん(76)は、2月19日に続き今年2回目の掲載。
「沖縄予算『優遇』は誤解」の那覇市・宮田裕さん(72)は、1月29日、2月17日に続き今年3回目の掲載。
「『マイ・ウェイ』が似合う卒業式」のうるま市・新崎盛英さん(61)は、1月6、19日、2月22日に続き今年4回目の掲載。
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