【東京】小野寺五典防衛相は4日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還条件について、「県側の認識がなかったとの指摘は受け入れがたい」と述べ、説明を受けていないとする県の指摘に反論した。その上で「辺野古移設完了後も、普天間飛行場が返還されないという状況はまったく想定していない」と強調した。防衛相就任を受け、記者団の共同インタビューに答えた。

共同インタビューに答える小野寺五典防衛相=4日、防衛省

 稲田朋美前防衛相が、2013年の統合計画に明記されている返還条件「民間施設の使用の改善」を巡り「米側と協議が整わなければ普天間は返還されない」と国会答弁し、県議会で波紋を広げた。

 小野寺氏は前回在任時の統合計画発表前に、事務レベルで県側に同条件が記載された案文を示したと説明。06年の再編実施のためのロードマップでも同様の記述があることや、県側が14年9月の県議会で同条件を説明する答弁をしていることから、県側が認識していたと指摘した。

 普天間飛行場の19年2月までの5年以内の運用停止については「難しい状況になっている」との認識を示した。小野寺氏は、13年末に仲井真弘多知事(当時)から5年以内の運用停止の要望と、辺野古の埋め立て承認を得た経緯を説明。「(5年以内は)地元の協力が得られることが前提だが、知事が交代し、政府との間で訴訟が起きている」と述べ、県に責任を求めた。

 辺野古の新基地建設工事を巡り、7月に県が提訴し再び法廷闘争となったことには、「国としてなすべき主張を行っていく。このことに尽きる」と述べ、工事は進める考えを示した。

 小野寺氏は「できるだけ早い時期に沖縄を訪問したい」と述べ、対立する翁長雄志知事と意見交換したい考えも示した。県に寄り添う姿勢を示すことで、理解を得る狙いがある。