日本最西端の沖縄県与那国町与那国島)で22日、同町への陸上自衛隊の部隊配備について賛否を問う住民投票があり、賛成が約6割を占め、反対を上回った。人口減少が続く島の活性化への期待に加え、政府が進める南西諸島の防衛強化に理解が示された形だ。反対する住民は、工事差し止めを求める裁判を起こすことも検討している。

 投票権は中学生以上の未成年と永住外国人にも与えられた。町選挙管理委員会によると、当日有権者数は1276人(うち中学生以上の未成年96人)で、投票率は85・74%。開票結果は賛成632票、反対445票、無効17票だった。開票結果に法的拘束力はない。

 島では「国境の島にこそ自衛隊が必要」などと主張する住民が自衛隊の誘致活動を展開。人口減少が続く島の活性化の観点から配備に賛同してきた外間守吉町長は、結果について「安堵(あんど)している。防衛省と連携しながら行政運営していきたい。反対の人たちの気持ちも察しながら、一緒に話し合っていければ」と語った。町は、自衛隊施設に使われる町有地の賃料などを財源に、学校給食費を無償化し、ごみ焼却施設の建設も予定している。

 反対派は「自衛隊が来ると外国からの攻撃の標的になる」「台湾との交流などで自立を目指すべきだ」などと主張してきた。住民投票の条例案は、野党の反対派町議が昨年11月に提案。定数6の議会には与野党の町議が3人ずついるが、採決に加わらない議長が与党から出ており、野党3人が賛成して可決された。

 反対派住民の間には、「レーダーの電磁波によって健康被害が生じる可能性がある」などとして、工事差し止め訴訟を検討する動きも出ている。

 防衛省南西諸島の防衛強化を目的に、2015年度末までにレーダー施設を配置し、沿岸監視部隊員約150人規模を配備する計画。すでに町有地の賃貸借契約が済み、昨春には造成工事も始まっている。

 与那国町那覇市の南西約500キロにある。台湾まで約110キロの国境の島で、戦後は台湾との密貿易で栄えた。人口は一時は1万2千人いたとされるが、現在は約1500人まで減少している。(泗水康信)

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