「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

ゼミでの学生の育て方は、学生に理解されているのだろうか

2015-07-23 23:49:06 | 小村ゼミ
木曜午後は本ゼミの日。

残念ながら今日はことのほか出席者が少なく、
さらに3名は途中抜けして地域の防災イベントに参加、ということで、
最終的には研究室に場所を移して1年生2名、3年生2名、4年生1名の5名で議論することとなった。
ただ、怪我の功名か、議論の質は大変高く、「まぁ、こういう日があってもよいかも」というところ、
ではあったのだが。

正式に3年の小村ゼミに所属された学生は6名いる。
ゼミが必修の本学であり、かつ、3、4年のゼミは移動しない・させないがルール。
という訳で、学生とて、それなりに選んできているはず。

もちろん、ゼミにも定員があり、全員が全員、第一希望のゼミに所属できる訳ではなく、
希望者が多ければ成績順に決まっていく、というのは、当然のこと。
というので、不本意ながら、小村ゼミに「流れてきた」学生もいる、とは思っている。

幸いにも、OBががんばってくれたので、就職先は本学富士キャンパス断トツのトップ。
もちろんそこには、ゼミ担任の罵声に堪えながらも続けていったOB諸君の努力がある。

3年生6名中、すでに2名、ゼミに顔を出さなくなった。
人と人との関係ゆえ相性があることは当然としても、やはり、考えてしまう。
このような事態は、避けられなかったものなのだろうか。

教員の側が、どういう学生を育てようとしているのか。まず、そのことは伝わったのだろうか。

ゼミには、当たり前に、OB・OGが顔を出してくれている。本学では他にまずない。
出なくなった学生クンは、そのようなOG・OGを見て、何も考えなかったのだろうか。
彼らが、なぜ、故郷のように、ゼミに顔を出すのか、その感覚は理解出来なかったのだろうか。

OB・OGは、いわばゼミでの教育の成果品。
OB・OGは、就職後の社会人経験もあり、面構えが変わっている。
その、面構えが変わった者達が、異口同音に「ゼミで鍛えられたから」と言っているのを聞いても、
このゼミでの学びから逃げるほうが良い、と考えたのだろうか。

あるいは、自分はこのゼミには相応しくない、と、引け目を感じたのだろうか。
引け目を感じたならばその分、一員として認めてもらえるようになるまで、己を高めようとはしなかったのか。

己を高めようと言っても、よくある「努力します」「がんばります」と言うだけで、
何をどう努力すれば、がんばればよいのか、その方法論を持っていなかったのかもしれない。

たとえ、己を高めるための方法論を持っていなかったとしても、
かつて小村が示して、何度となく触れている「ゼミ生を鍛える過程」というものが、
己を高めるための方法論だということに、気付けなかったのだろうか。

○ 基礎学力作りとしての天声人語書き取り。
○ 対人コミュニケーション能力作りの基礎としての、1、2年ゼミでの「雑談・近況報告」。
○ 対人コミュニケーション能力作りの実践としての、DIGセミナーへの参加。
○ 異文化間コミュニケーション能力の実践の場としての、途上国でのスタディーツアー。
○ 時事問題&社会常識を鍛えるための、時事問題討論ゼミ。
○ ビデオを撮りつつの面接練習。
 等々。

Fラン地方大学で、学びを放棄、あるいは学びから逃走してしまったならば、
今後ますます激化していく格差社会の敗者として、下手をすると将来持つかもしれない子どもたちも含めて、
二度と浮かび上がることのない深みに落ちて(堕ちて)行ってしまう。

せめて、ギリギリでも生活給はもらえるような、そのような企業に拾ってもらえればよいが、
恐らくは、そのレベルの企業であっても、基礎学力の低さゆえ、二の足を踏むだろう……。

「心が折れた」などと軽々しく言う学生ゆえ、ここで述べてきたようなことにも気付くことなく、
ただ、「しかられたから」「批判されたから」「みんなの前で恥をかかされたから」と言って、
去っていくのだろう、とは思う。

もちろん、彼は、実社会のストレスがどれほど強いのか、知るはずもない。
現実社会の中で、金を稼ぐということがどれほどのストレスとの戦いなのか。
ゼミでの叱責などと比較にならないほど強く厳しい、ということに気付かないし想像も出来ないからこそ、
去っていく、否、去っていけるのだろうが……。

同じ去るなら、せめて、この辺りまではわかった上で、去って行ってほしい、と思う。
「小村先生のおっしゃっていることはその通りだと思います。でも、私には耐えられない。」
それならば、まだ、こちらの慰みにもなるのだが……。

このブログを読むであろう学生諸君、特に、今日5限、一緒にこの問題を考えてくれた学生諸君、
君たちはどう思うか。


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