「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

長大トンネルにおける多重衝突事故対応の図上訓練に向けて

2015-02-09 14:43:15 | 防災訓練
午前中、NEXCO中日本の富士保全・サービスセンターからお二方が来校。

管内にある4kmを越える長大トンネルで多重衝突事故があった場合の関係機関の対応について、
DIGのノウハウで検討するワークショップを行いたいのだが、ご協力願えないだろうか、
というのが来意の主旨。

もちろん、当方に否はない。具体的な訓練内容等について2時間ほどブレスト。

一口に多重衝突事故といっても、訓練参加者の習熟度もあり、
また、複数の機関が参加しての訓練企画は実質的に初めての機会、となれば、
まずは人間関係づくりを、ということになる。
という訳で、「終了後の懇親会のセットは必ずお願いしますね」ということとして、
レベル感についても、少し議論することが出来た。

仮のレベル分け&ネーミングではあるが、

レベル0:通常の態勢の延長上で対応できるもの
 (⇒負傷者数1桁・路肩まで塞がれることはないレベル)
レベル1:大規模事故としてモードを切り替える必要なのあるもの
(⇒負傷者数10名以上・路肩まで塞がれ通り抜け不能・増援要請必須等のレベル)
レベル2:それ以上の段階
(⇒負傷者数50名以上・要毒劇物対応・構造物破損等のレベル)
 (注:ひょっとしたらレベル3やレベル4を作る必要もあるかもしれないが)

くらいには分けて考える必要があるのだろう。

高速道路上での事故対応DIGについても、過去、何度となく行ってきたこと。
ただ、今にして思えばの話であるが……。

その回その回のDIGの成果・効果という意味では、お施主さん(依頼者)を失望させたことはないつもり。
しかし、外部講師(この場合「旅の坊主」)を招いての一発モノのDIG、ではなく、
当初から、先方からすればノウハウの学習(=独力でも実施できるようにする(なる)こと)、
当方からすればノウハウの移転(=行かなくても概ね間違いのないDIGを実施できるようにすること)について、
そのことを織り込んだプログラムとして作り上げるまでは、意識していなかったと思う。

ビジネスとして考えるなら、肝心要のノウハウは決して外には出さない、となるのだろうが、
当方はビジネスでやっている訳ではない。
(正確には、ビジネスには出来なかった、というべきかもしれないが……。)

「お免状ビジネス」が良いとは決して思っていないし、はっきり言えば大嫌いである。
訓練企画・指導を売っている人物にも何人か心当たりがあるが、
1名を除き、彼らの行う訓練の質がどの程度のものか、甚だ疑問に思っている。
そのレベルに堕したくない、というプライドもある。

先日の震災対策技術展の場で「ミニ小村を1000人育てることを考えよ!」と言われたように、
防災・危機管理の精神を広げていくためには、初めから横展開を意識しておく必要がある。
実際のDIGは3月下旬以降になると思うのだが、それまでの間、
横展開も意識したプログラム作りを心がけなくては、と思っている。

幸いにも富士保全・サービスセンターは大学から車で10分もかからない場所。
本番までの間、またそこから先も、何回か通うことになりそうである。


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