アートマネージメントが大変興味をもたれているようで、さまざまな大学でも講座がもたれ、学生たちを集めている。
ただこの学問(私はある部分職能教育-それも大学院レベルの-であると思っているけど)は、あまりにもカバーする範囲が広すぎるのではないかと思う。
細かく述べていくことはできないけど;
そもそもこの学問が始まったのはイギリスの演劇関係であったということだけど、日本でも同じ時期に音楽経営という形で講座が始まっている。
まずジャンルの問題。演劇や音楽、美術それぞれでマネージメントのやり方も違うし、大きな方言の差がある。これらを一からげに教えることはちょっと無理があるのだろうと思う。
次に環境。たとえばイギリスのアートマネージメントはいくつもある助成金を、どこにどのようにしたらうまく取れるだろうかということが根底にあったかもしれない。でも日本では助成金の範囲も量も殆どなく、そのような環境でどうしたら経済的に自立できるのか、希望している企画を運営していけるのかがその始まりにあった。
ところがこのような音楽企画という講座はいつのまにか消えていって、今各地の大学で教えられているアートマネージメントの講座を受け持つ人は多くがヨーロッパで学んできた人々。そして結局大学にこもっているので、実戦経験が非常に少ない人々である。
だから現況のアートマネージメントの講座の中心は、経済的にも、それを公開する施設もあったとして、どのように運営していくかが中心になっている。
少なくとも日本ではお金や施設を見つけてくることから始めたら、一年の講座はそれだけで終わってしまうだろう。
でも日本ではそこが一番困難な問題であるのだけど。教授陣たちは自分たちがマネージメントを実践するときに、大学の施設や、あるいはその地方のスポンサードへの強いコネと影響力をもっているので比較的容易にそれらが可能なので、これがいかに死活問題であるかについての認識が薄い。
だからヨーロッパ風の教える内容であっても別段問題なし、これで実践可能という気持ちになっているようだけど。
学生たちが卒業して、実際に業務を始めたとしてぶつかる現実の大きな問題には解答を与えることが少ないのではないかとちょっと危惧している。
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