夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

企画の売り込み

2005年09月27日 15時30分59秒 | 芸術・文化
09/27/2005 21:06:39
あるインスタレーションの作家から「今まで自分は求められて、その場で自分を表現できる作品を作ってきたけど、今、自分で発想したアイデアがある。これをどう、どこにもっていけばいいのか教えて欲しい」って言われた。
これは企画者にとっては、作家に「どうしたら作品が作れる?」って聞くのと同じ事なんだけど。一つ一つが皆違い、何をどう説明するのか、戸惑ってしまう。

相手のことを考えることはその作家にとってもう一つの進歩になる、目を広げることになると思ったので、「自分で考えれば」って冷たく突き放した。
彼がそのまま私から見える範囲に留まっていれば、彼がこれかあらやるやるさまざまな局面でアドバイスをしようと思っていたのだけど、結局彼は私のもとから離れていったので、最後のプレゼントに根本的なことだけ、(多分これはちょっと考えればわかることだけだけど、本当は実際面でこまごましたことが湧き上がってきて、そんなに単純ではないのは解っている。だから自分で考えをスタートしなければ、アドバイスの仕様もないってことなんだけど)書いてみようと思う。

委嘱を受けて作る場合と違い、作家が自分の作品、あるいは企画(前に書いたアーティスト・イニシアティブでもいいけど)をどこかへ持ち込むときには、自分の渾身の作品、自分が本当に人に見てもらい評価して欲しい作品や企画であるべきだけど、(だから自分は疑問を持ってても恋人の企画だからって押し付けないでよね)、これは筋の通った企画屋であれば基本は同じ事。
自分が納得できる作品や企画を、相手の利益(?)となる形でプレゼンする。それができなければ、いくら作品が良くても、通じない。
ある程度経験を通じた企画屋なら、それでも強引に企画を入れることもできるけど、それをやるとそのチャネルは2度と使えなくなることもある。
企画屋にとって作家も受入先も財産なのだから、それはできない。

相手先はさまざま。
プロの名のあるプロデューサーであることもあるし、
会場を持つハウスエージェントであるかもしれない、
あるいはお金を持ってくれる役所の企画部の人かもしれない、
企画が大きくなれば新聞社などの文化事業部への持ち込みもありうるけど、
でもいずれにしろ相手にメリットにならなければ、相談もできない。

企画の原案の段階で、相手を入れての話し合いはどうしても必要になるだろう。
そのことを作者は嫌うことが多いけど、自分の作品や企画へのイメージがはっきりしていれば、相手の事情を見ながら、レベルを落とさないで相手に合わせることも決して無理なことではないと思う。場合によっては相手のもっている可能性で企画そのものが膨らんだり、新しい発展さえ望めるかもしれない。

ある作家は雪をイメージしたインスタレーションを考えていた。
どこへ持ち込む?
なら雪を逆手に村おこしをしているところに持っていけば?
でも産業的なプロモーションとして扱われるのは嫌。
それは間に入る人しだいでしょう。
例えば役場の企画担当者や、美術館を持っていればその学芸員などに自分のイメージをはっきり伝えれば、お祭りパンダにはならないのでは?

もちろん企画が大きくなれば、それなりの決定権を持つ相手でないと、相手が可愛そう。そのような相手はもっと大きな立場で物を見れるから、決定も速いし、細かい条件もなしになるかもしれない。

でもそんな相手と普段から人脈を持っていれば、私なんかに聞いてこないよね。
やはりちゃんとした目を持った経験のある企画屋さんが必要なのかも。
そうしなければ、最後まで事務的な話に追いまくられることになる。

前にも書いたけど、アーティスト・イニシアティブってそんなに簡単じゃない。
事務に負われて、作品が中途半端に終わるなら、最初からやらないほうがいいのかもしれないでしょ。
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