Kaettekita 私が思う あのこと このことReturn(Get Back Part2)

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病院入院中に居た、九十歳のおばあちゃんとの算盤の思い出

2022-10-22 09:43:20 | 筆記具系・文房具・文系器具・文理系・そろばん・ソロバン・算盤・理系・理数科目
 私が居た病院の入院患者の中に、九十歳を越えるおばあちゃんがいた。
 彼女は、耳が少し遠いみたいだが、意思疎通はバッチリであり、私ともまあ、仲も良かった。
 私は彼女の介護、と言っても、彼女の車いすを引っ張って、自室や、テレビルームの食堂まで、案内する役目を、私が主に、手伝った。
 そのおばあちゃんだけじゃなく、他の、私よりも、可哀想に思える人、私に手を差し伸べて助けを求めて来る人たちに、私は、出来る限り、応援し続け、車いすを尚も助力し押し続けた。
 他の職員さん、看護師や医師は、それはそれは物凄く忙しくて、そんな、個人的な患者などには構ってられない、という全く不遜な態度である。
 私は、どこの病院もおんなじなのか、判らぬが、他にも、おじいちゃん、おばあちゃんの手となり足となり、私と同じように、私の場合は、仏教仏法の「慈悲行」から発した行いであったが、中には、「菩薩行」のようなものを発揮する、それも、自身も八十前半で、これら慈悲行を行っている人々もいた。
 私は、病院に、今でもカバンには忍ばせてはあるのだが、100円ショップで購入した「そろばん(算盤)」を持ち込んでいた。
 これで、私は、電子計算機など持ち合わせなかったから、全ての計算作業をこれ一台、これ一丁でこなした。誠に頼りがいがある算盤である。
 これを試しに、この九十歳を越えたおばあちゃんに使わせてみた。果たして使えるかな、と思いきや、おばあちゃんは、昔にソロバンを習っていた感覚を取り戻したのか、すらすらとその場で計算をし始めた。
 その場にいた、看護師や、看護学生、一般の患者たちもにわかに驚きだした。九十歳の、超ご高齢の、多分、認知症も少しは入っている(と思われる)、高齢者の女性である。その彼女が、昔の感覚を頼りに、たどたどしいが、まるで、少女の時の、算盤を習っていた時の如くの、顔つきを私や周りの人々に見せて、計算に打ち込んでいる。
 高齢の彼女は「私は、昔は、もっと計算が上手で、こんな、簡単な数字も、今は出来なくなったけど、昔はよかったなあ」
 とか何とか言って、とても満足そうに、そろばんの盤面に向かっていた。
 それが、在りし日の、高齢の彼女の、少女時代の、そろばん塾に通っていた姿が、私の目には、確かに見え、今現在の彼女を、私は見詰め返していた。
 私は、そんな感情に浸り、感じ想い、その場にただ、佇んでいるだけだった。

 以上。よしなに。wainai.


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