正さん日記

世の中思いにつれて

希薄さが目立つ経済財政白書

2008-07-23 16:58:37 | 政治
 22日に発表された08年度の経済財政白書によれば、02年に始まり戦後最長となった景気拡大は、アメリカ経済の減速、原油・原材料価格の高騰を受けて「黄信号がともっている」と指摘、海外発のリスクに弱い日本経済の体質を改善することが必要だと提言した。
 
 白書によれば、景気拡大局面における実質国内総生産(GDP)成長のうち、6割超が輸出増加によるものと分析、この割合は戦後の景気回復局面の中で最も高いとのことだ。
 そのため、アメリカのサブプライム破綻など海外の動向に左右されるもろさが指摘され、具体的には原油・原材料高に対する弱さだ。70年代の石油危機の直後は省エネが急速に進んだが、近年はエネルギー効率がほぼ横ばいで産業界が手を緩めたと指摘している。
 
 景気拡大の中で、個人消費が盛り上がりに欠けたままであることも指摘、中国などの新興国で低賃金労働力が増えて、世界的な企業間競争が激化して、国内でも賃金が伸び悩み、パートなど非正規雇用者の比重が高まったことも理由の一つに上げている。そのためには、専門性の高い「高度人材」を育てるべきだと提言している。
 さらに金融資本市場も海外経済の影響を受けやすく、不安定なことも問題視し、1,500兆円に及ぶ家計の金融資産が、年金など間接的なルートも含めて株式投資に回るよう、市場の厚みを増すことが重要としている。
 
 ここまでは誰でも分かっているような内容だが、今回の経済白書で気になるのは、わが国経済の成長を図るためには、企業も個人もリスクを取ることだと言っていることだ。
 言外に企業の場合は、例えば終身雇用制度など従来からの日本式経営では、今後成り立たないと言っているようだが、欧米型経営が万能である筈もなく、従業員のことを考える日本式経営の方にメリットがあると思っている経営者にどのように変えたらよいのか示していない。
 
 また、家計もリスクを取る必要があると言っているが、約1、500兆円の個人金融資産のうち、約半分は現金・預金であり、これらは有効に活用されていないので、経済、企業を活性化するためにこれを投入する必要があるとしている。
 端的に言って、これらの個人資産を元本の保証されていない株式、投資信託などに資金を回せとしているが、儲かるかどうか分からない株式、投資信託といったリスク商品に投資するよう政府が国民に進めていいものか。

 まるで、政府が堀江貴文氏や村上世彰氏がやっていた商売に加担しているような言い方であり、衰退が濃厚なアメリカの市場原理主義をなぜ今わが国がまねなければならないのか、今回の経済白書の希薄さが目につく
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正社員減少に警鐘ならす=労働白書=

2008-07-22 17:20:34 | 政治
 7月22日、厚生労働省が発表した2008年度版「労働経済の分析」(労働経済白書)が、ようやく就業者中の非正規労働者の増加が労働生産性の停滞に結びつくとの見方を示した。
 今年の白書は、労働力がどれだけ付加価値を生み出したかを示す労働生産性の推移と、就業者数と非正規労働者の割合との関係に着目した。
 それによると、もともと生産性の低いサービス業では、90年代から00年にかけて就業者数が年率換算で2.6%の増加を続けたが、その中で非正規労働者の割合は24.6%(92年)から39.4%(07年)に大きく増えた。
 その間の生産性上昇は年率1.9%から0.5%に低下した。白書は「非正規雇用の増加はコスト削減には有効でも、労働者の職業能力の向上を通じた労働生産性の向上にはつながりにくい」と結論づけた。
 
 一方。もともと生産性の高い製造業は、やはり90年代から00年代にかけて、総生産の増加率が年率0.5%から2.9%へ増加、生産上昇率も2.3%から4.5%へ伸びた。
 しかし、その間の正社員の絞込みが進み、就業者数は1.2%減から1.9%減と減少幅が拡大、その中で非正規労働者の割合は17.7%から22.9%に拡大した。
 これに対し白書は「生産性の高い伸びは就業者の削減により実現した」と分析。この手法には限界があり、「持続性を持った生産性向上とは評価しがたい」と糾弾した。
 
 白書は、サービス業での非正規雇用の急増と製造業での正社員削減の結果、「低生産性部門は温存され、全体の労働生産性にマイナスの影響を及ぼしている」と分析している。
 また、「高い生産性を担う労働者は、企業の中で豊富な職業経験を積み重ねながら育成される」として、企業に計画的な新卒者の採用や長期的な視点に立った人材育成を求めた。
 
 今回の労働白書は、労働生産性に視点を置いて問題点を指摘したことは評価できるが、雇用問題が、もっと将来を見越した少子化、納税、社会保障制度等にどのような影響をもたらすのかまで踏み込んで指摘をしたのならば、もっと画期的なものになったと思う。「関連:7月2日
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イラン核協議にアメリカも参加

2008-07-21 16:35:21 | 世界
 ブッシュ米大統領の任期は6ヶ月を切ったが、何とか目に見える足跡を残そうと懸命になっている様子がありありだ。
 先には、北朝鮮の核放棄を安売りしてテロ支援国家指定解除を提示したが、こんどはイランの核協議に、ナンバー3の国務次官が初めて会議に出席した。
 これに対し、イランも歓迎の意を示し、核協議に一定の前進が図られるか期待がかけられている。
 ここ数日までは、イランとイスラエル間に不穏な空気が流れ、前から危惧されていたアメリカのイラン攻撃の現実化に世界の関心が向けられていたが、今回アメリカの核協議への参加によって、一先ずその危険性が回避されたと受け止められている。
 
 まことに結構な話で、この動き自体は大歓迎だが、果たしてこれを契機にイランが核開発を中止するかと言えばそう簡単ではあるまい。
 それは、イランも北朝鮮同様、ブッシュ大統領の意図をとっくに見抜いているため、簡単に核開発の譲歩をすることは考え難いからである。
 ブッシュ氏は、イランへの強攻策を緩めた真の狙いとして、イラク、アフガニスタンの安定化にイランの力を借りたいことがあるかも知れない。
 イラクに対しては、先に3万人を超す増派を議会にかける段階でも、民主党と共和党の一部からイラク安定化のためイランの協力を要請したらどうかとの提起があったが、ブッシュ大統領はこれを拒否した経緯がある。
 また、アフガニスタン情勢は、最近ではタリバンが復活し、米兵の死者はイラクを超すという事態になっている。アフガン平穏にもイランの力を借りたいのでななかろうか。
 
 ブッシュ大統領は、任期満了を直前に、今までの強行策では、イラク、イラン、アフガニスタンのいずれもやりっ放しで終わってしまうことを恐れているに違いない。
 しかし、この変節は今となっては遅きに失したのではなかろうか。イラクは一時より少しは良くなってきたようだが、撤兵するまでにはほど遠いし、アフガニスタンは前述のとおり厳しさを増している。
 ブッシュ大統領が、最終段階でまあまあの結果を残したとするならば、パレスチナのハマスとイスラエルの休戦、北朝鮮の核開発中止、そうしてイランの核協議へ参加ぐらいなものだろう。
 しかし、経済問題ではサブプライム破綻を契機とする金融危機は少しも収まっていない。

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立ち入り困難な、子供の心の闇

2008-07-20 15:11:19 | 社会
 犯罪の低年齢化は珍しく無くなっているが、ここ数日の内に発生した男女中学生の起こした事件は世の親たちを震撼とさせただろう。
 
 7月16日に愛知県豊田市の東名高速道路上り線豊田インターチェンジ付近を走行中の名古屋発東京行きJR東海バスの高速バスを、中学2年生の少年(14)が運転手(39)に刃物を突きつけ乗っ取った。
 少年は自ら携帯電話で110番し、出動した県警パトカーがバスを見つけて愛知県岡崎市の美合パーキングエリヤに誘導、乗客を下ろし、銃刀法違反で少年を逮捕した。
 
 この少年は山口県宇部市に住み、犯行に至った理由は、同級生から10万円の借金をしようとしていたことや、同じ中学の女子生徒とのトラブルを学校から注意されていたことなどで父親に叱られたことを恨み、父親を困らせたいということのようだ。
 少年は、自ら進んで学級委員長を引き受けるなど明るい面がある一方、極めて短気な側面もあるとのことだ。
 まあ、やったことは幼稚だが、運転手の首に刃物を突きつけるなど、14歳の子供がやれる仕業ではない。しかし、けが人等が出なかったことは幸いだった。
 
 と思っていたところ、こんどは20日、埼玉県川口市のマンションで男性会社員(46)が、就眠中、長女の中学生(15)に包丁で2箇所刺されて間もなく死亡した。
 女子中学生は、前夜、亡くなった父親と弟との三人で食事をしたとのことで、周辺からはごく普通の家族のようにうつっていたらしいが、母親の話では日ごろから父娘との会話は少なかったとのことだ。
 この女子生徒の学校での成績や生活ぶりは普通のようで、とくに変ったところはないとのことだ。
 
 この2つの事件に共通している点は、双方とも父親が絡んでいることだ。最近の父親は、どうも子供との付き合い方が苦手な人が多いことは前から言われている。
 日ごろからの接触、叱り方、褒め方など堂に入っていない人が多い。それは、自ら受けてきた教育や社会生活などに起因していると思うが、だからといって子供が考えもつかない凶悪犯罪に手を染めることまで、総て親や社会の責任に結び付けてよいものか。子供の心の闇の中まで、親や周辺が立ち入れるのか、極めて困難な問題だ。
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責任不明確、旧長銀への公的資金投入

2008-07-19 16:15:16 | 政治
 1998年に経営破たんした旧日本長期信用銀行(現新生銀行)の粉飾決算事件で、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)と商法違反の罪に問われた元頭取ら3被告の上告審判決で、最高裁は18日、1,2審の有罪判決を破棄、3人に逆転無罪を言い渡した。
 また、事件に絡んだ元頭取ら旧経営陣7人の民事事件でも、賠償責任がないという判決が確定した。
 これにより、一時国有化された長銀には約7兆9000億円の公的資金が投入されたが、結局、破綻の刑事責任を誰も取らないという結果に終わった。
 
 最高裁無罪判決の最大の理由は、不良債権の厳格査定のため、旧大蔵省が1997年に示した新基準は、大枠の指針を示すもので具体性、明確性がなく、これにより、長銀が関連ノンバンクに対する貸出金の資産査定に従った処理を求められたかどうかは不明確であること。また、この段階で多くの銀行が新基準による資産査定を認識していなかったこと。長銀の会計処理は「公正なる会計慣行」に反するものではない。というものだ。
 
 この判決の正当性を是認するならば、当時、公的資金投入の条件とされた経営者の責任追及は反故にされたことになる。また、監督官庁としての旧大蔵省も監督責任を取らないのだから、結果的には、政府が国民をごまかして、反対の強かった公的資金を投入したことにならないか。もちろん政府は何ら責任を取るつもりはない。
 
 その後、旧長銀は、2000年3月、アメリカの投資会社ルップルウッド・ホールディングスなどのグループに買収され、同年6月に新生銀行に名称を変更した。
 結局、多額の公的資金投入で金融再生法第1号に認定された旧長銀が、アメリカ投資会社に安価で買収されたことは、当時も騒がれたが、国民の税金が外国資本の利益に使われた形となった。
 旧長銀経営者が、政治のスケープゴートにされたという見方は前から言われていたことだが、誰も責任を取らず、税金が無駄遣いされたという尾ひれは何時までも残るだろう。

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野茂引退、北京五輪24選手決まる。=プロ野球=

2008-07-18 11:07:01 | スポーツ
 昨日はプロ野球に関する2つの大きなニュースがあった。1つは、本格的な日本人大リーガーのパイオニア野茂英雄投手(39)が現役引退を表明したこと。もう1つは北京オリンピックの日本代表24名が発表されたことだ。

★野茂引退 
 野茂は、1995年近鉄を退団、ロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結んだ。当時のメジャーは前年から続いたストライキに揺れていたが、5月にメジャーデビューした野茂が独特の「トルネード投法」を武器に三振の山を築き始めると、瞬く間に人気沸騰。メジャーに新風を吹き込んだ。この年、野茂はオールスターゲームにも先発、ナ・リーグ新人王と奪三振王のタイトルを獲得した。
 
 その後、野茂は96年とボストン・レッドソックス時代の2001年にノーヒットノーランを達成。両リーグで無安打無得点を成し遂げたのはメジャー史上でも4人しかいないとのこと。その一方で、98年途中にドジャースからメッツへトレードして以降は毎年のように所属チームが変わる「ジャーニーマン」となり、度々マイナーとメジャーの間を行き来していたが、ここ2年ほどはマイナー生活が続いていた。
 
 今年、レイズ(アリーグ東地区)でまたもメジャーへ昇格、中継ぎで3試合投げたが結果を得られず、ついに引退発表に至った。
 通算成績は日本で78勝、メジャー123勝の201勝と堂々たるもの。野茂の後、イチロー、松井秀喜、松坂など多くの日本人選手が大リーグで活躍する土台を作った功労者としてプロ野球史上にさんぜんと輝くだろう。

★北京五輪24選手決まる 
 さて注目の北京オリンピック代表24名が発表されたが、中味を見ると、セパ12人ずつと、星野仙一監督は上手に2分した。投手陣は10名、セ4人、パ6人となっているが、パは全員が先発、セは上原(巨)を入れると藤川(神)、岩瀬(中)の3人が抑え投手、先発は川上(中)1人となっている。したがって、高卒2年目で選ばれた田中将(楽)を含め、普段の先発要因が、中継ぎ、抑えを担うことになる。
 
 捕手3人を含め、打撃陣はどちらかというと好打者ぞろい。予選同様、クリーンアップは青木(ヤ)新井(神)村田(横)中島(西)、稲葉(日)当たりで組むとすると豪快さには欠ける。しかし、川崎(ソ)西岡(ロ)荒木(中)がその前後に入ることによって、機動力は期待できる。
 
 北京五輪アジア予選のメンバーからは19名が選出、新たにここまで調子の良い中島(西)GG佐藤(西)投手陣では杉内(ソ)和田(ソ)田中(楽)を加えた。今の時点では最高のメンバーと言ってよいだろう。
 
 問題はオリンピック期間もペナントレースは続く。セリーグは阪神がぶっち切りのトップにいるが、巨人、中日も何とかまき返したい。そうなると川上、岩瀬、荒木、森野の4人を出した中日は厳しい。
 パリーグは、西武、ソフトバンク、ロッテがそれぞれ3人、現在2位の日ハムは2人、楽天1人となっているが、どちらかというとなけなしの先発左腕杉内、和田と攻守の要川崎を出したソフトバンクは辛いところだ。「写真:トルネード野茂」
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簡単でない教師の首切り、大分教員不正採用事件

2008-07-17 21:32:52 | 社会
 大分県の不正な教員採用問題は、他県の教育界で飛び火を防ぐため、あたふたしている様子が伝えられている。
 だいたいこういう問題は、最初に摘発されたところが徹底的に叩かれて、他はその状況を横目で見ながら、なんとか自らにその影響が及ばないよう、あの手この手の防御策を講ずるから、案外逃げ延びてしまうことが多いのではなかろうか。
 
 教員の採用についてはコネが幅を利かせていることはどの県でも同じらしい。もっとも、就職に当たってコネが跋扈するのは、公務員、民間企業問わず、古今東西常識になっている。
 要は、限度の問題だ。前にも記述したが、採用の第1条件は、試験が筆記でも、面接でも一定のレベルに達していることだ。その上で、甲乙つける段階で、コネが働くことは人情だろう。
 その上で、教員の場合だったら、教育活動に尽くすことができる人間、民間企業の場合だったら、企業の発展に寄与するこのとのできる人間を選考したいという意識があれば、コネによって、それに値しない人を選ぶことはできないはずだ。
 大分県教員採用は、コネの上に金が動き、試験の結果を改ざんしたというのだから、罪深く弁解の余地は皆無と言える。
 
 さて、大分県教育委員会は、不正入試によって採用した現職教員を解雇する方針のようだが、その具体策に苦慮している様子だ。それは当然で、第一該当する本人が不正に採用されたという認識があるのか。試験のデータが既に無くなっているようなので、果たして当時の試験結果が採用条件以下だったことをどのように立証するのか。
 また県教委として悩ましいのは、当該教師が教育現場で能力を発揮していて、父兄から信頼されていることだ。事実、父兄から首にしないよう嘆願書が出ている人もいるらしい。何よりも、労働基準法にてらして解雇することができるのか疑問もある。
 
 決して不正採用を容認する分けではないが、現職教師の首を、責任を取らなければならない立場の教育委員会が有無を言わせず、強権で切ってしまうことも不条理に思う。
 このような不正採用は、多分、昨日今日に行われた分けではなかろう。もう何十年前から悪しき慣行として代々引き継がれてきたに相違ない。
 それなのに、例えばここ1~2年の採用者だけを首切りの対象にしてよいのか。まさに魔女狩りの感じも拭い去れない。
 
 大分県教育委員会は、短兵急に首切り宣言をするのではなく、もっと知恵を絞って後々に悔いを残さない処置を考えるべきだ。
 例えば、自主退職を促すとか、教育現場に残りたい人は再試験を行うとか、当然、本来なら採用されていた人には改めて教師への就職を促すとか。方法はいろいろあると思う。
 単純に首切りを強行することは、問題の早期終結を図り、教育委員会幹部自ら生き残りを画す、とかげのしっぽ切りと言われても致し方ない。「関連:7月11日

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収まらないアメリカの金融危機

2008-07-16 17:06:23 | 世界
 アメリカの金融危機は第2段階に入ったようだ。政府系住宅金融機関の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディーマック)の経営不安が浮上し、市場の混乱に直面したポールソン財務長官は、日曜日に緊急声明を発表し2社への機動的な資金供給とともに、財政資金の投入に初めて言及した。
 納税者の資金を金融機関へ投入することについては、アレルギーが強いアメリカで、政府が公的資金投入の意思を示したことはよほどの事態になっていると受け止められる。
 
 この2社は、アメリカの住宅金融と証券化金融の中核だ。ファニーメイは20世紀前半の大恐慌時代に発足、第2次大戦後は、優良な住宅ローンを銀行などから買取り、これを担保に証券を発行する「証券化」という金融手法の生みの親とのことである。フレディーマックは1970年にこれを補完する形で設立された。
 
 この2社は、サブプライムとは一線を画していたが、経営不安に陥ったということは、住宅相場が下げ止まらず、貸し倒れ不安が優良ローンにも広がったことを示している。
 2社は国有でも国営でもないが、政府の肝いりで誕生したこともあり、様々な政府支援を受け、発行する証券は、市場では、暗黙のうちに政府の保障があると見なされ、2社でアメリカの住宅金融の半分に関与し、その規模は約530兆円に上るとのことだ。
 
 当然、2社発行の証券は日本を含め世界中に買われており、アメリカ政府は2社の国有化を検討しつつ、断固たる措置をとるよう求められている。
 しかし、今回たとえ2社の危機をしのいでも一般金融機関へ経営不安が広がる第3段階の危機が避けられないかもしれず、住宅相場の下落が続き、一般企業にも景気の悪化が波及しつつあるようだ。
 アメリカの危機は世界に波及することは間違いなく、アメリカ政府は先手を取っての対策が必要になっている。
 
 ところで、この政府系住宅金融機関2社の株価は前日に続き下落、ともに終値で25%を超す急落ぶりだが、その影響があって15日のニューヨーク株式市場は、大企業で構成するダウ工業株平均の終値は、2日連続下落し、約2年ぶりに1万1000ドルを割り込んだ。
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漁船20万隻が一斉休業

2008-07-15 17:35:17 | 経済
 燃料価格の高騰に苦しむ全国の漁業者が15日朝からいっせいに休業に入った。約20万隻が終日漁を休んだ。
 これにより、特に近海で取れるカツオ、アジ、イワシなどが市場に出ないため、一時、庶民の食卓が寂しくなるかも知れない。
 東京には全国から漁師ら約3600人が集まり、政府により燃油高騰分の直接補填などを求め大会を開いた。
 
 燃料高騰に対しては、2007年度の補正予算で102億円の緊急対策基金を計上、今春から、全漁連や大日本水産会を通じて漁業者へ最長3ヶ月間支給で補助金を出している。15日現在で全国123グループ、9060人から申請があり、40億円の枠の内22億円が埋まったとのことだが、これでは焼け石に水なのか。
 
 石油高騰に苦しんでいるのは、漁業者ばかりでなく、農業、畜産、製造業はもとより、全国民にわたっている。また、わが国のみならず世界全体にまたがっている。
 その原因は、概ね分かってはいるが、先般のサミットの議題になっても、解決の道は示されない。
 しかも、この高騰した価格が長期にわたり固定化する可能性があるとのことだ。
 
 今回の漁業者のストライキから、明るい展望を見出すことができれば良いが、それが一時的な恣意行動に終わってしまうことにもなりかねず、原油高による国民生活への影響は、これからもっと厳しさを増す可能性がある。

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再び混乱する竹島問題

2008-07-15 16:46:37 | 世界
 中学校の社会科学習指導要領解説書への竹島(韓国名・独島)の記述に対する韓国側の抗議行動が、ソウルの日本大使館前で行われた。
 先に福田康夫首相と韓国の李民博大統領との間で未来志向の友好関係を約束したばかりだが、今までも、日韓双方が領有権を主張し、紛争の種になってきたこの問題が、ここにきて再浮上し、再び両国関係に暗雲が漂っている。
 
 福田首相も、李大統領も互いに国内の支持率が低下している中で、ナショナリズムが先鋭化しがちな領土問題は、簡単には譲り合えない問題で、一度火がつくと沈静化するのには相当のエネルギーと時間がかかる。
 
 竹島は1905年(明治38年)に閣議決定を受けて島根県知事が竹島を県所属とする告示を出したことが、日本が自ら領土とする根拠になっているが、戦後1952年、当時の韓国李承晩大統領が竹島を取り込む形で公海上に線引き、漁業管理権を主張、その後も武装要員を常駐させ実効支配を続けている。
 したがって竹島問題は、戦後でも半世紀に亘って日韓両国が譲ることなく領有権を主張し続けてきた。物騒な話になるが、戦争でもやらない限り解決することは困難な問題だ。
 
 尖閣諸島や北方領土問題と同様、じっくり話し合いを続けるしか解決する方法はなく、ここに来て両国の、ナショナリズムを先鋭化させても得るところはないのではないか。

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