DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

小谷元彦 幽体の知覚★森美術館

2011-02-13 | ドラマ・映画・演劇・アート
昨年の美術展のトップ10にいくつもランクインしている

『小谷元彦 幽体の知覚』
ラッコ庵さまと行って参りましたー♪

去年から若手の現代アートを続けてみる機会に恵まれてますが
その中でも小谷氏は、注目の気鋭の作家。海外での評価もとても高いです。

ご本人も「今後の方向性に関して発見があった」という企画展は、現時点での1つの集大成といえそう。作品の展示形式も非常に秀逸で、コンセプトがストレートに刺さりました。

「幽体」とは、身体感覚の延長であり、拡大であり、幻影であり、身体に閉じこめられた精神性だったり、精神性がのみこむ肉体だったり・・・

ピアノを弾くために指を開く道具である「フィンガーシュバンナー」は、レベッカ・ホルンなら“身体の可能性”として描くだろうところを、小谷作品では、痛みや拘束、美への執念という生々しいところに落とされているのが興味深い。

他にも、作者の血がはいったしゃぼん玉とか、いぼ、
独特の残酷表現、グロテスクさ、
美しい少女や女性像は、シャーマンのようであり、天使のようであり、カーリー神のようであり、アニメキャラのようでもあり・・・

彫刻を軸足にして展開する、自由でいて研ぎ澄まされた妥協のない発想は「彫刻とはなにか」という問いかけと答えを大胆に叩きつけてきます。
以前、日展で彫刻部屋が「脱衣所と呼ばれている」という裏話を聞いて、苦笑したけれど、そういう形を守ることで失われる彫刻の本質に、ゆさぶりをかけている。
それが、見ている側の常識にもガンガンに伝わってくる感じでありました。

以下、好きな作品

●「ファントム・リム」

もてあそんだラズベリーが、少女の手の切断面にも見える。
サブカル感覚でもあり、不思議なエロス感でもあり。
展示室の白い壁面に5枚の白い少女の写真、
展示も秀逸でした。

●「インフェルノ」

中に入って環境体感する、大型インスタレーション作品。
滝のスピードを変え、構成を変え、
上昇感と奈落感、両方を体感できる。
滝は修行の場でもあり、トランスの場でもあり、
ある意味すごく日本的な作品なのかも。

「映像彫刻」という概念は、具象彫刻も極めている小谷作品だからこそ許される命名だなぁ、と。
本来の映像インスタレーション系の作家とは、アプローチが違うのも面白い。


●ニューボーンシリーズ

運動を彫刻にするという発想。
できたものがエイリアンと深海の太古の生命体の合体の
ようなのも楽しい。
黒い部屋で、博物館のような展示方法もあってます。

●ホロウ・リバーサル・クレイドル

アニメでよく見るドッペルゲンガー、幽体離脱、
そうしたものの彫刻化。すごくなじみ深い不気味感。
ホロウシリーズでは、この作品と、
マリア像の口からなにかがエクトプラズムのように
流れ出ている作品が好き。




タイトルが不明ですが(作品一覧がないのはちと不親切ー)
馬と武士の剥製風作品があった部屋の、全身いれずみ女性像と
目をつぶしているかのような女性の木彫も素晴らしかった。
あとスプツニ子!風味もあるポップなグロさ満載な
映像作品「ロンパース」もまたまったく違った切り口で楽しい☆(ケイティ・ペリー風味とも申せましょう♪)


38歳、これからもチェックしていきたいアーティスト
との出会いとなりました。


参考:

「小谷元彦展 幽体の知覚」 森美術館/あるYoginiの日常

「小谷元彦展 幽体の知覚」/弐代目・青い日記帳

重力・時間の制約超える快感 小谷元彦展「幽体の知覚」(朝日新聞)

小谷元彦展 幽体の知覚 取材/エキサイトイズム編集部(木熊太郎)

展覧会レポート!森美術館「小谷元彦展:幽体の知覚」(Art inn)
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 劇団昴+演劇企画JOKO★オセロ... | トップ | Keith Emerson★The Land Of R... »
最新の画像もっと見る

ドラマ・映画・演劇・アート」カテゴリの最新記事