DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

バルテュスナイト☆ 東京都美術館

2014-04-30 | ドラマ・映画・演劇・アート

東京都美術館の特別鑑賞会『バルテュスナイト☆』に参加させていただきました。

私にとっては初バルテュス体験。
夜間の美術館にて超贅沢&至福、とびきり上質な時間を過させていただきました。。。

バルテュスの少女たちは、事前にイメージしていた、エロティックで挑発的な印象よりは、むしろ、あたたかでやわらかな卵のような(ベクトルでの)処女性・アリス性を感じました。

わたくし的に想定外だったのは、絵の内容以上に、マチエールに封じられた“光”(そして“影”)に引き寄せられ、目が離せなかったこと。いつまでも見ていたい、できれば触れてみたい、そんな、視線をうけとめてずぶずぶ沈み込む&引き込まれる視覚感触。もっと硬質でクールなイメージだったので、ちょっとびっくりしたのだった・・・(あくまでバルテュス初体験者の個人的感想です)。

これも個人的感想ですが、シュールレアリストと距離をおいた、というのも納得です。(といいつつ、大好きなレオノール・フィニとの共通点をどうしても探ってしまいつつ・・・フィニのほうが男らしいかも;)。

バルテュス作品は個人所蔵が多く、こうした大きな回顧展はかなり実現が難しいそうです。また、今回は節子夫人の全面協力で、アトリエ再現や本人の愛用品・嗜好品なども多数出品され、バルテュスの魂が召喚されているかのような、貴重な空間となっています。あ、バルテュス作品のにおいや感触を強く感じられるのはそのせいかも。

当イベントでは特別に撮影できる(ただし3点以上の作品がはいった「展示風景」として)、ということで、ちょっと浮き足立ってしまったところがあるので(汗)、もう一度、二度、作品に沈み込みにいきます。

バルテュス展 Balthus: A Retrospective
会期 2014年4月19日(土)~6月22日(日)
会場 東京都美術館 企画展示室
開室時間 9:30~17:30(金曜は20:00)、入室は閉室の30分前まで
休室日 月曜日、5月7日(水)
(ただし4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開室)


※以下、会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

東京都美術館 エントランスロビーにて受付。
その後、館員のかた(?)にミニレクチャーをしていただきました。
創作上のエピソードやポイントを得た解説に、作品への期待が高まります。
アトリエ再現のお話の中で、徹底した“自然光”へのこだわりのお話を伺ったのですが、
観賞中それが大きなアドバイスになりました。


節子夫人のごあいさつとフォトセッション。凛として気高さのあるとても美しい方でした。
音声ガイドでもお声が聞けますが、日本語の美しさにも改めて気づかされました。


バルテュス&節子夫人と交流の深かったクリスチャン・ルブタンがデザインしたスリッパも間近で拝見。ルブタンといえば裏側が真っ赤なハイヒールで有名な超高級ブランドですが、このスリッパは28万6200円(税込)で、展覧会期間中バルテュス展ショップで限定販売されています。見るだけでも要チェック。


リルケにその才を見いだされた11歳・処女作「MITSOU(ミツ)」、全作品をパネルで見ることができます。
ちょっと安西水丸画伯(RIP.)のタッチを彷彿としつつ。
それにしても母親の恋人がリルケってすごい!(大好きな詩人なんです~)。


初期の作品群。色彩が興味深い。


「嵐が丘」の連作。動き・緊張感・緊迫感が感じられる画筆で、ちょっと漫画のよう。
人物の表情が魅力的。

そして

思わず肌の感触を確かめたくなる、“光”と“影”を塗りこめられた少女たち。。。






その“触感”に視線を吸い取られてしまう。。。


描きかけの絵がイーゼルに架かり、油絵の具のにおいがするアトリエ。画家の存在が濃厚です。。。気がつかなかったけど窓の外は朝~夜と移り変わっているのですね、写真で気づきました(汗;)。次回はしっかり見よう。絵を描くのに、そして絵を観るのにちょうどよい光が射すのを待っていたそうです。


風景画もまた、光と影に引き込まれる。。。




節子さんを描いた作品群はエキゾチックな、どこか儚げというかナイーブな美しさ。何枚ものデッサンで、ポーズをとるのが大変だったというエピソード。でもそのタッチがとても素敵です。

最後の展示室では、バルテュスの写真とともに愛用品・嗜好品が。
日本への造詣の深さを表す展示が多数、中でも勝新太郎さんとの親密な交流にはびっくり!
着物がすごく似合うバルテュス氏にもびっくり!!カッコイイ!





女/性と少女 、肉体と魂、ファンタジーとリアルのはざま、
光の粒子に紛れ込むようなワンダーランドの余韻で、まだまだ夢心地です。
・・・そして森を背景にした夜の美術館は、エルンストの絵のように魔力的でありました。






ポストカードはキリがないのでセーブ。;カタログもあるし・・・(と、自分に言い聞かせつつ)「猫とアトリエ」は、カタログと購入すると節子さんのサイン入りなので求めたのですが、素敵なエピソードとともに写真も多く大正解でした♪

素晴らしいイベントに参加させていただいて、
本当にありがとうございました。人生って素敵☆
できれば金曜の夜間展示を狙って再訪問いたします。


◆バルテュス関連:
バルテュスと彼女たちの関係
5/17(土)21:00-22:29 NHK BSプレミアム

日曜美術館 「バルテュス 5つのアトリエ」
5/25(日)9:00-9:45 NHK BSプレミアム NHK Eテレ
6/1(日)20:00-20:45 NHK BSプレミアム

バルテュス最後の写真 ―密室の対話
会 場 三菱一号館美術館 歴史資料室(東京・丸の内)
会 期 2014年6月7日(土)~9月7日(日)
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6 コメント

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Unknown (豆ジャム)
2014-04-30 14:17:38
初めまして、私もバルテュスナイトに参加させていただきました。写真がとてもきれいですね!

こちらのブログを読んで、母親の恋人がリルケだったり、アトリエの窓から見える風景画移り変わっていることに初めて気づきました。どうもありがとうございます。だから音声ガイドでリルケの詩が引用されていたんですね。

他の方のご感想を拝見するのがとても楽しいです。ありがとうございます。
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豆ジャム様 (NAL)
2014-04-30 19:40:40
ご訪問感謝します☆
&コメントありがとうございます!

豆ジャム様のブログにもさっそくお邪魔させていただきました♪ブログも1つ1つの作品への読み込みが深くて、とても参考になりました。しっかり鑑賞されていますね~~~。

私はなぜかあまりエロティシズムを感じなくて、まじまじと見入っていたのですが、男性の視点からみた(より画家にも近い)バルテュスを感じ取りたいなぁ、なんて思いました。

観賞後もいろんな感想が拝見でき発見があるので、こういうイベントは嬉しいですよね!
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Unknown (豆ジャム)
2014-05-02 00:27:06
こちらこそコメントありがとうございます!

男性の視点ですか、私がもし10代だったら思わずムラムラして、それをごまかすためにやたらと饒舌になっていたかもしれません。今でも、じっくり少女の絵を見ていると変態じみた気がしてきます。

ちなみに、私もプログレは好きです。知識はかなり浅いんですが。今日もイエスやドリームシアターを聞きながらジャムを煮ました。
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豆ジャム様 (NAL)
2014-05-02 02:19:33
そですか~、やっぱり視線や感じ方に差がでちゃうようですね。今回はちょっと自分が残念。(ルイス・キャロルの原作のアリスは「エロいなぁ」と思うのですが。。。)

プログレ×バルテュス!!!イエスもドリームシアターもジャム(!)も大好物です。twitterで「バルテュスはプログレにも合う」と言い切ってしまいました。合いますよね?(笑)
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Unknown (豆ジャム)
2014-05-02 10:27:46
確かに、バルテュスがそもそもプログレッシブな気がします(笑) どっちも変態だし複雑でテクニシャンですし。

どの曲がバルテュスに合うか考えるのもおもしろいですね。鬱系やメタル系じゃないような気はしますが……。

ちなみに、私の率直な感想は「うわ、この人本物の変態だわ」でしたw
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豆ジャム様 (NAL)
2014-05-02 14:44:07
>どっちも変態だし複雑でテクニシャン

変態万歳☆w

バルテュスに合う曲、考えてみます☆
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