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私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

『リアリティのダンス』プレミア試写会/ヤクルトホール

2014-04-23 | ドラマ・映画・演劇・アート


アレハンドロ・ホドロフスキー(ALEJANDRO JODOROWSKY)監督の『リアリティのダンス』(La danza de la realidad)プレミア試写会に行ってきました。

公式サイト


以下、公式サイトイントロダクションより抜粋
1920年代、幼少のアレハンドロ・ホドロフスキーは、ウクライナから移民してきた両親と軍事政権下のチリ、トコピージャで暮らしていた。権威的で暴力的な共産主義者の父と、アレハンドロを自身の父の生まれ変わりと信じる母に愛されたいと願いつつも 大きなプレッシャーを感じ、また、ロシア系ユダヤ人であるアレハンドロは肌が白く鼻が高かったため、学校でも「ピノキオ」といじめられ、世界と自分のはざまで苦しんでいた…。

青い空と黒い砂浜、サーカス、波が運んだ魚の群れ、青い服に赤い靴。ホドロフスキー監督は映画の中で家族を再生させ、自身の少年時代と家族への思いを、チリの鮮やかな景色の中で、現実と空想を瑞々しく交差させファンタスティックに描く。


『リアリティのダンス』解説(映画com.より)
1970年代に発表した「エル・トポ」「ホーリー・マウンテン」などでカルト的人気を誇るアレハンドロ・ホドロフスキー監督が、「The Rainbow Thief」(93/日本未公開)以来23年ぶりに手がけた監督作。自伝「リアリティのダンス」(文遊社刊)を自ら映画化し、1920年代の軍事政権下にあったチリの田舎町を舞台に、幼少期のホドロフスキーと権威的な父親、息子を自身の父親の生まれ変わりだと信じるオペラ歌手の母親との暮らしや、ロシア系ユダヤ人であるがゆえに学校でいじめられて苦しんだ逸話などを、チリの鮮やかな風景と、現実と空想が交錯した幻想的な映像で描く。

ブロンティス・ホドロフスキー
パメラ・フローレス
クリストバル・ホドロフスキー
アダン・ホドロフスキー




原始の海のように濃厚な生命スープで煮込まれた自分探し、そして家族の物語。それを本物の家族を使って撮影・・発想とスケールが本当にでかい!

「エル・トポ」で、ホドロフスキー監督が演じる主人公El Topoの息子役だった、実子のブロンティス・ホドロフスキーが、今回は監督の父親役。作品そのものがループしていてそれだけでもカルト。監督自身、息子に父への思いを重ねてちょっと複雑な心境だったよそうで、「血」の濃さが作品の濃さに確実に反映・貢献していそうです。

大胆、残酷、ショックなシーンも多々ありますが(日本ではぜったい無理だろうなぁ)、それが自然に感じられるのは映画力ともいうべき、世界を作り出す監督の力かも。父性、母性、男性性、女性性、少年性が描かれる部分では、ヤン・シュヴァンクマイエルの『サヴァイヴィング・ライフ ‐夢は第二の人生』に通じるエッセンスも感じつつ。それぞれに成長していって迎えるラスト、感動的でした。行動せよ!というメッセージも痛切に感じつつ。

twitterを追うと、母親役のパメラ・フローレスさんはオペラ歌手だそう。ずっと歌で台詞を歌い、映画に独特の味わいをプラス(それだけではない超体当たり演技もあり、でもすごく自然!)、マリアのような慈愛に満ちた存在でした。
それにしてもあの可愛かった少年がこんな凄い役者になったのか~~~

上映後、ホドロフスキー監督による挨拶と「人間タロット」。

挨拶もまたすごく熱がこもって熱く、声もでかい。とにかくパワフルなのです。ホドロフスキー監督が発してる“生きる”エネルギー量が圧倒的。太陽のようにある種、容赦ないレベル。人生の悩みに渾沌としながらもその悩み方がまっすぐというか太いビームのように時間を貫いていて、自分の悩みが言い訳がましく思えてくる。


人間タロットでは会場から挙手して(半数近くが希望)選ばれた3人の質問を占ったのですが、そのうちの1人の質問が「資格を取るために勉強してるが、4日後に出さなければならないレポートに手を付けていない。それでも大丈夫か?」というもの。それに対して「どうして勉強しないんだ?」「家族が反対してるのか?」「本当はやりたくないのか?」など、ある意味至極当然な反応。結局その女性は占ってもらえなかったのですが、なんだかそのまっとうな反応がすごく新鮮だった。。。

「好きな人に告白すべきか?」という質問に対して、即答で「告白すべき」で、カードを使うまでもない。監督の率直さが気持ちイイ。で、質問変更「髪を伸ばすべき?」。これはきちんとタロットで「伸ばした方がいい」との答えがでました。


最後の男性はスペイン語で肩の痛みについて質問。原因は「離れて海外でくらす母」という見立てで、会場で歌が歌える女性を募り、肩にむかって子守歌を歌ってもらう、というなんともシュールにして、ホドロフスキー監督作品の1シーンのような状況が出現。タロットでもしっかり母親、本人、姉を暗示するカードが出て、興味深かったのでした。


それにしてもホドロフスキー監督、なんて行動派で好奇心旺盛で知的エネルギーにあふれまくってるんでしょうか!そのうえハンパない人類愛・人間愛、自分の檻を超越してる。。。人間としての容量が広大。。。こんな人に出会えるから世の中は素晴らしい☆

ああ、今必要なのはこのパワーだ! 警策で叩かれる如く、思わず自分の有り様を正すイベントでした☆

「ホドロフスキーのDUNE 」もすごく楽しみです!



御年85歳の鬼才A・ホドロフスキー監督、東京で100人座禅会を開催
今回の来日では100人のホドロフスキーファンを招いて座禅を実施するほか、「金と欲望」をテーマに説法を行う予定だ。監督はドキュメンタリー「ホドロフスキーのDUNE」の中で「貨幣経済というシステムは、私たちを奴隷にする。しかし映画には心がある。精神も、無限の力も、大きな志もだ」と語っている。

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(抜粋)Twitterを始めたことで「精神や考え方が変った」と話すホドロフスキーは、その魅力を良いドラッグのようだと例え、140文字という文字数の上限があることが集中力を高めると説明。


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「私は自分に印をつけませんし、人は人と区別しなくてよいのです。一人の人間は物ではないからです」と話す。スマートフォンを例にあげ、「昔は電話は電話でしたが、今は四角になり、音楽を聞く道具にもなり、地図にもなり、誰かとの出会いもある。そしてバイブレーションもありマッサージもでき、たくさんのことができます。ですから私も音楽、詩、絵画、演劇、小説、サイコマジックの発明、漫画などたくさんのことをしてよいのではないでしょうか。23年間創造することをやめてはいません、時間は過ぎてはいないのです」と映画にとどまらない幅広い活動を説明。さらに、「私はマクドナルドのように映画を作っているのではありません。私が映画を作る時は何かを言う時です。1本の映画を作り終わったとき、一つの人生が終わります。言うべきことすべてを映画に込めるからです」と映画製作に対する姿勢を明らかにした。
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「わたしは彼と出会ってから人生が変わりました。わたしの映画には彼の影響が色濃く出ています。ですからこの場所にいると、彼を思い出します」と語ったホドロフスキー監督は、「彼は1度、禅の話をしてくれました。その時、1羽の鳥が鳴きました。彼は黙って鳥の声を聞いていました。そして鳥が鳴くのをやめると、それがわたしの説法だと言ってそこを立ち去りました。ここには歌ってくれる鳥がいないので、わたしが歌わなければならない。今、わたしは歌っています。わたしの思考の中に言葉が浮かばない時、わたしの精神は歌っているといえます」と詩的な表現で解説。さらに「わたしが自由な時、名前がない時、年齢がない時、国籍がない時こそが、わたしの魂が語る小鳥の歌なのです」と付け加えた。

ホドロフスキー新聞
アレハンドロ・ホドロフスキー日本語オフィシャルサイト
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2 コメント

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ひさしぶりのコメ^^; (ちゃとと)
2014-04-23 16:40:24
わ~NALさん
試写会行ってきたのね!これ少し気になっていたのでした^^レポありがとー!
ホドロフスキー監督作品観たことないけど、何がお勧め?
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ちゃととさま ( NAL)
2014-04-24 22:25:51
わ~~、コメントありがとうございます!
承認制にしてから、チェックが必要になってしまって;;気づくの大幅に遅れましたぁ~;;;

『エル・トポ』(『どですかでん』的、ドミューンでも語られてましたが寺山修司的・・・というかこっちがオリジナル)と『ホーリーマウンテン』しか観てないのですが、今回作品含めてどの作品もテイストは近いです。かなり残虐なシーンあり、でも非現実感のほうが勝っていて、スプラッタがぜんぜんダメな私でも大丈夫なので、ちゃととさんなら OKかと。

オススメは、とりあえずは今回作品かなあ。集大成的要素があります。ぜひご覧くださいませ~
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