大葉は青じその葉の部分だけを指す呼び名で、食用として販売される場合の呼称ですね。
大葉は日本各地で栽培されていますので、どの地方でも店頭に行けばほぼ一年中並んで
います。大葉は独特の香りとさっぱりとした味が特徴で、刺身や天ぷら、サラダなどに
使われます。そして、大葉にはビタミンAやビタミンC、ビタミンKなどの栄養素が豊富
に含まれています。大葉の生産は愛知県が日本一で、全国シェアは50%以上です。愛知
県では昭和30年以降から大葉の栽培がさかんになりました。特に、愛知県の豊橋市が日
本一の産地となっています。続いて2位は茨城県、3位は大分県、4位は高地県、5位は宮
崎県となっています。大葉は比較的温暖の地域の方が育ちやすい野菜であることがわか
りますね。最近ではベトナムからも大葉が輸入されています。ベトナムでは日本に輸出
するための厳しい審査をパスした大葉だけを輸出しています。 ベトナム産の大葉は美味
しいということで、今後もベトナム産の大葉を見る機会が増えるかもしれませんね。茨
城県で大葉が生産される理由は、温暖で日照時間が十分に確保されるという気候条件に
あります。そんな茨城で大葉を育てる生産者のひとりである、茨城県北浦みつば連合出
荷組合の大葉部長・浅野悦朗氏によると、茨城県の大葉の魅力は「香りが爽やかで、味
がまろやか」ということです。水耕ではなく土で育てることで、大地のミネラルが行き
渡った肉厚の大葉になります。そしてもうひとつ、有用微生物群を発酵熟成させた有機
肥料です。微生物の力で土自体を活性化し、野菜本来の味を凝縮させているのです。茨
城県の大葉は、日本屈指の野菜王国から生まれた逸品なのです。
<青じそと赤じそ>
しそはシソ科シソ属の植物の総称です。この内、赤じそは強い苦みや渋みがあり、その
まま食べることは少なく、乾燥させたり漬けたりして使われます。 赤じそには青じそと
同様の栄養素に加えて、アントシアニンという抗酸化作用のある成分が含まれています。
一方、青じそは赤じその変種が固定化したものです。大葉の他にも花や実なども含まれ
ます。青じそはジュースやドレッシングなどに細かくした状態で使われることもあります。
<しその生産量ランキング>(2020年)
青じそ、赤じそを含めた、しそ全体の生産量です。1位は愛知県 3,720t 45.80%、2位静岡
県729t 9.00%、3位宮崎県616t 7.60%、4位大分県、5位群馬県、6位茨城県281t 3.50%でした。
<大葉の生産量ランキング>(2020年)
大葉の生産に限っても、愛知県の全国シェアはなんと50%以上!ぶっちぎりの第一位です。
2位は茨城県、3位は大分県、4位は高地県、5位は宮崎県となっていますが、愛知県以外の
県の生産量は大きな違いはありません。2位~5位は5%前後のシェアで毎年入れ代わってい
る状況です。
<しその品種>
食卓で薬味として使われる青じそが、赤じその変種であることは前述の通りですが、しそ
には多くの品種や栽培品種があります。具体的には、「ちりめん紫蘇」、「ちりめん青じそ」、
「赤紫蘇」、「青じそ」、「まだら紫蘇」、「片面紫蘇」といった品種があります。それぞ
れの品種は、葉の表と裏の色、縮れの有無といった違いで分類されます。この中で、青じそ
と赤じそが食用として利用されています。茨城県の大葉は、行方市を中心として周年栽培が
行われていますが、そこでは、外観品質に優れる新品種「ひたちあおば」が栽培されていま
す。在来系統と比べて、葉形や鋸歯の形状が良く、外観品質に優れています。
<大葉の豆知識>
1.なぜ葉の部分だけ「大葉」という名称で呼ばれているのでしょうか?
「大葉」は青じその葉のことです。諸説ありますが、しそはその葉以外にも芽や実も食
用として使われます。香味野菜として青じその葉を売る時に「しそ」だとどの部位か
分かりにくいため、「大葉」という名で売られるようになったと言われています。
2.しそは体を温める
薬膳では身体を温める“熱性・温性”と身体を冷やす“寒性・涼性”という考え方があって、
しそは温性。そのため冷たいお刺身なんかと合わせることで、体内で調和がとれるの
だそうです。
3.大葉は大切な薬味
β-カロテンなどの栄養素も豊富で、メインとなる料理の栄養素を補ってくれます。
“薬味”とはよく言ったもので、本当に薬のような効果があるのです。これを自然と成
り立たせた和食ってすごいですね。
4.しその特徴
「つま」として日本料理を引き立てる名バイプレーヤーです。青じそ(大葉)や赤
じそは何といっても色鮮やかです。まさに眼で食べる日本食の真骨頂といえるかも
しれません。赤じそは、梅干などの色づけに使うほか、葉を乾燥させて香辛料の七
味唐辛子に配合されることもあります。青じそは魚の臭みを抑える効果があり、魚
の紫蘇巻きなどによく利用されます。また、防腐・殺菌効果もあり、刺身のつまと
してよく使用されます。その爽やかな香りから、ドレッシングやドリンクに応用さ
れています。
5.大葉の栄養素と効能
しそは、ビタミンやミネラルなど豊富な栄養素を多く含み、特にβカロテンを野菜の
中でも最も多く含んだ食材の特徴を持ちます。
①β-カロテン:体内でビタミンAに変換され、免疫力を高めたり、目や皮膚の健康を
保ちます。β-カロテンは油に溶けやすいため、油で炒めたり揚げたりすると吸
収率が高まります。
②ビタミンB群:ビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群もまんべんなく含んでいま
す。エネルギー代謝や神経系の機能をサポートする効果があります。ビタミンB
群は水溶性のため、生で食べるか無水調理すると流出を防げます。
③ビタミンE:抗酸化作用が高く、細胞の老化を防いだり、血行を良くする効果があり
ます。ビタミンEも油に溶けやすいため、油と一緒に摂取するとよいでしょう。
④食物繊維:水に溶けない不溶性食物繊維が多く含まれています。食物繊維は、便秘
の解消や腸内環境の改善に効果的です。また、水に溶ける水溶性食物繊維も含ん
でいるため、コレステロール値や血糖値の調整にも役立ちます。
⑤ペリルアルデヒド:大葉の香り成分として知られるペリルアルデヒドは、強い抗菌
・防腐作用や殺菌作用があり、食中毒の予防に役立ちます。 また、食欲増進効果
や発汗解熱作用、抗炎症作用や整腸作用も期待できます。そのほかにも、大葉に
はα-リノレン酸や鉄分などの有用な成分も含まれています。しかし、食べ過ぎる
と胃腸の不調や妊娠中の流産などの副作用が起こる可能性もありますので、適度
な量を心がけましょう。大葉は栄養豊富な食材ですが、そのまま食べるだけでな
く、おにぎりや冷や汁、串焼きなど様々な料理に使うことができます。
6.しそは日本が誇る和のハーブ
しそは「紫蘇」と書くように、本来は赤じそのことをしそと呼びました。赤じそは梅
干しや紅ショウガなどの色付けに欠かせないものです。変種の青じそは、さわやかな
香りとさっぱりとした味わいから、薬味や刺身のつまとして多く利用されます。香り
の成分に、腐敗防止作用があるためです。しその花芽は「花穂じそ」、赤しその芽は
「紫芽」、青シソの芽は「青芽」と呼ばれ、刺身のつまや彩りに使われます。
7.大葉の選び方
葉先までピンとしていて、葉や切り口が変色していないものを選びましょう。色は緑
色が濃く、みずみずしいものがおすすめです。
8.大葉の保存方法
鮮度をキープするために、濡らしたキッチンペーパーや新聞紙に包んでからポリ袋に
入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。乾燥させないようキッチンペーパーを取り
替えれば、1〜2週間保存可能です。冷凍する際は、さっと水洗いし水気を拭き取り、
千切りやざく切りにして冷凍用ジッパー袋に入れて保存しましょう。凍ったまま薬味
として利用できるため便利ですよ。1ヶ月ほど持つので、長期保存したい場合は冷凍
するのがおすすめです。
9.大葉の千切り:千切りにする時は、軸を切り、数枚重ねて、くるくると丸めてから
切ると、切りやすいですよ。水にさらすとくっついてしまうため、乾いたまま切る
のが大葉の調理の鉄則です。
10.青じそ・赤じその旬
青じそは主な産地ではハウス栽培が主力で、通年安定して出荷されているので、
いつでも新鮮なものがスーパーで手に入ります。旬がわかりにくいですが、本来
の旬は7月〜10月です。青じそが通年市場に出回るのに対し、赤じその旬は初夏。
収穫自体は夏の間中おこなえますが、赤じその需要は梅干しを漬けこむ時期に限
られます。そのため、市場に出回るのは6月~8月だけです。
11.しその加工品
漬物、佃煮、梅干し、ゆかり、ふりかけ、ジュース。
12.しその仲間
エゴマは、しその変種です。昔は今ほどエゴマがメジャーではなかった名残りで、
エゴマの種子から抽出した油の「えごま油」が、「しそ油」という名前で売られ
ていることもあります。
<茨城県の大葉栽培>
大葉の4大生産地は、愛知県、茨城県、高知県、大分県です。温暖で、日照時間が十分に
確保される地域が中心です。茨城県内で大葉を一番多く生産しているのは行方市です。
行方市は、その条件にぴたりと当てはまっています。行方市での大葉栽培は、昭和40年代、
市西部の北浦地区を中心にスタートしました。当時の大葉は高級品で、料亭などを対象
に木箱に入れて出荷していたといいます。それから生産者たちのたゆまぬ努力と研究によ
り、大葉は徐々に大衆にも広がりました。今、食卓に当たり前のように大葉が並ぶのは、
そんな生産者たちのおかげです。行方市の大葉は「香りが爽やかで、味がまろやか」と評
判で飲食店などに出荷されています。行方市の茨城県北浦みつば連合出荷組合の大葉部で
は部員15名が大葉を生産しています。ここで育てているのは「ひたちあおば」という形が
良く、病気に強い品種。更に水耕ではなく土で育てることで、大地のミネラルが行き渡っ
た肉厚の大葉になります。そしてもうひとつ、注力するのがEMという有用微生物群を発酵
熟成させた有機肥料。微生物の力で土自体を活性化し、野菜本来の味を凝縮させるのだと
いいます。だから組合で育てる大葉のブランド名は「EMそだち」。香りが爽やかで、味が
まろやかだけでなく、形が良く、葉がしっかりしているもので揃えられるように努力を続
けています。美味しく、香り豊かで、安心、安全な大葉を作るために、生産者たちは今日
も働きます。
(ハウス栽培)
ハウスの中をボイラーで一定温度に保つことで、通年高品質の大葉が収穫できます。横幅が
広く歪みのない形が、飲食店などに出荷する大葉の条件。乳酸菌、酵母、光合成細菌などを
米ぬかなどで増殖、発酵熟成させる有機肥料で土で育てるため、葉に栄養が行き渡り、しっ
かりと肉厚になるのです。
(大葉の収穫)
成長の早い大葉。茎の最上段にある2枚の葉を摘んだら、夏場で2日、冬場では5日で、もう
次の葉が収穫できます。ですから、収穫し続けなければ、成長しすぎてしまい、売り物にな
らなくなってしまうのです。EMを使った土作りやハウスの温度管理、除草などももちろん重
要ですが、大葉栽培作業の大変さは収穫にあるといえます。
生産者の大葉の収穫の手際はあまりにも見事です。1秒間におよそ4枚。「いーち」と数える
その間に、パッパッパッパッと4枚の大葉を摘む。しかもただ摘んでいるだけではありません。
摘みながら形の悪いもの、葉の欠けているものは捨てているのです。改めてプロの仕事の見
事さに感服です。収穫は目にも止まらぬ速さ。それでもハウス全体の収穫は大仕事です。
<大葉が主役のレシピ>
1.ごはんが進む 大葉のキムチ風漬け
キムチ風の辛味の効いた漬けだれで漬け込みます。ごはんにのせると箸が進みます。
コチュジャンの甘辛い味付けとごま油の風味がとてもおいしいですよ。刻んで入れ
たニラもとてもよいアクセントになります。冷奴などにのせていただくのもおすす
めです。
2.鶏ひき肉と大葉のしいたけシュウマイ
しいたけと鶏ひき肉の旨みにさわやかな大葉の風味がよく合います。梅干しを肉
だねに加えているので、後味もさっぱり!お酒のおつまみにもごはんのおかずに
もおすすめの一品です。
3.豆腐の大葉肉巻きおろしポン酢ソース
あっさりとした味わいでも食べ応え抜群な、豆腐の大葉肉巻き。豚肩ロースと大
葉で豆腐を巻いたら、あとは電子レンジで加熱するだけ!豚肉の旨みと大葉の風
味がアクセントになっていてどんどん箸がすすみます。おろしポン酢をかけてい
ただきます。
4.ホクホク歯ごたえがたまらない!長芋のしそ巻き
長芋のさっくりホクホクとした歯ごたえがたまらない簡単おつまみ。拍子木切り
にした長芋に大葉を巻き、こんがり焼いて醤油を回しかけます。柚子胡椒を添え
ればさらに風味豊かな仕上がりに。
5.大葉のチーズチヂミ
あまった大葉を一度で消費できるのが「大葉のチーズチヂミ」。大葉をたっぷり
使ってチヂミを作ります。大葉のさわやかな香りとチーズの旨味が相性抜群のひ
と品です。チヂミの表面に大葉をのせて、見た目も華やかです。
しそは、ビタミンやミネラルなど豊富な栄養素を多く含み、特にβカロテンを野菜の中
でも最も多く含んだ食材の特徴を持ちます。肉厚で瑞々しく、香りが爽やかで、味がま
ろやかな、茨城県行方市が誇る大葉を是非ご賞味あれ!
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