ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:天然物も、養殖物も、甲乙つけがたい茨城あわび!

2023-08-14 08:02:36 | 日記

 

 

茨城県の大洗以北(常磐沖)で獲れる天然あわびは、北海道・東北地方を中心に生息し、 茨城県

が分布の南限であるエゾあわびです。10m以浅の岩礁域にすんでおり、海藻を餌としています。

天然の海では、ふ化から約5年で11cmになります。水揚げサイズは11cm以上に限られ、その漁期

は6~9月です。あわびの魅力はやはり歯ごたえと旨味。そして、加熱により味わいが深まる奥深さ

があります。天然あわびは高価ですが、茨城県にはリーズナルブルにあわびを味わえる養殖あわび

「一口あわび」があります。一口あわびを出荷サイズに育てるまでの期間は約4年。天然かけ流し

の海水を使い、天然のワカメやアラメなどの海藻をたっぷりとあたえ、限りなく自然に近い環境で

じっくりと育てるからこそ、肝も含めて天然同等の味わいです。今回は茨城県の天然あわびと養殖

あわびの紹介です。

 

<あわびの種類>

あわびの仲間は、世界中に80種、日本には10種が分布しています。日本で呼ばれる「あわび」とは、

下記の4種類の総称で、この内、主に流通している活アワビは、クロあわびとエゾあわびの2種類です。

 

(1)クロあわび:味の良さからあわびの王様と呼ばれる最高級あわびです。近年減少しているそ

    うです。マダカあわび、メガイあわびに比べて殻はやや細く足裏は緑がかった黒で、殻長

    は約20センチです。太平洋側では房総半島から九州にかけて、日本海側では奥尻島以南、

    九州まで分布しています。

(2)エゾアワビ:北海道・東北地方を中心に常磐沖を南限として分布しています。クロあわびの

    北方系亜種とされ、水温が高い海域で育てるとクロあわびとの見分けが困難なほど似ると

    言われます。食味もクロあわびに似ています。環境順応力が高く、養殖あわびの主役の品

    種です。価格はクロあわびに比べて安いですが、それでも高価です。

(3)マダカあわび:幻のアワビと言われています。その理由は、素潜り漁ではまず無理な、水深

    20mより深い岩の周辺にすんでいるので、漁獲されることなく市場にあまり出回らないか

    らです。北アメリカ産のアカネあわびとともにもっとも大きくなり、殻長は25cmを超えま

    す。肉は比較的やわらかく、房総半島以南の太平洋側と日本海西部沿岸、九州に分布して

    います。

(4)メガイあわび:赤あわびとも呼ばれ、市場評価ではクロあわびに対し2~3ランクも評価が低

    いです。殻はなだらかで殻長は20センチぐらい。煮あわび、蒸しあわびに向いています。

    房総半島以南の太平洋側と日本海沿岸、九州に分布しています。

 

<天然あわびの漁獲量ランキング>

世界の漁獲量:1位はオーストラリアで、主な種類はアカあわびやウスヒラあわび。2位は日本です。

       エゾあわび、メガイあわび、トコブシなど、3位はニュージーランドで、ヘリトリあ

       わび とトコブシ。(漁獲量ではトコブシもアワビ類に入ります)

国内の漁獲量:1位は岩手県(17.5%)、2位千葉県(10.4%)、3位三重県(7.5%)この3県あ

       わせて、国内漁獲量の約35%を漁獲しています。(2019年)尚、茨城県は10位以下

       です。(養殖は含みません)

 

<養殖あわびの生産量比較>

あわびの養殖は2000 年頃から急激に増加し始め,特に中国,韓 国での生産量が多いです。理由は日

本で開発された種苗生産技術が 中国や韓国の養殖産業の基盤となったこと,世界中であわびの天然

資源量が減少し、商品価値が高いアワビの養殖が 注目され生産量の増大につながったと考えられます。

 

海外統計:2013年の生産量では、中国が断トツ1位で110,380トン、2位は韓国で7,479 ト ン。この

     2カ国 の生産量は他の国と比べて桁が違っています。今も変わっていないと思います。

     養殖されている主な種類は、両国ともエゾあわびで、養殖されたコンブやワカメを 餌 と

     して利用しています。3位はチリです。

国内統計:日本では養殖に取り組んで20年以上になりますが、コスト面で伸び悩み、生産量は数ト

     ン以下で統計データもないのが現状です。しかし、近年は大手異業種や新規事業者の養

     殖成功のニュースが報じられています。将来はかなり拡大するでしょう。

 

<アワビの豆知識>

1.あわびの生息域:北海道南部から九州までの、潮間帯から水深50m程度までの岩礁域に生息
   しています。潮間帯(ちょうかんたい)とは、潮が満ち引きをする範囲のことですので、
   かなり運が良ければ、潮が引いた間に岩の下を覗けばアワビがいるかもしれません。
   (でも、ほとんどが獲ったら密漁ですよ!)あわびは主にカジメ、アラメを食べ、特に切
   れて海底を漂う「寄り藻」が重要な餌となります。産卵期は11~1月で、ふ化後、数日間
   の浮遊生活を経て岩盤の亀裂や転石に着底します。生後4~5年で漁獲サイズ(殻の長径
   が11cm以上)になります。

2. 栄養価:あわびには、旨味成分であるグルタミン酸が多く含まれ、肉厚の身は甘みが強く
   コリコリとした食感が特徴です。採れたての新鮮なあわびは、刺身や踊り焼きなどで味わ
   うことが出来ます。あわびは、低脂肪・高たんぱく・低コレステロール・低カロリーな食
   材で、海藻をたくさん食べて育つため、銅、亜鉛、鉄分、マグネシウム、カリウムなどの
   ミネラル類が豊富なほか、コラーゲン、タウリン、ビタミンA・B・Cなどの栄養素がたく
   さん凝縮されています。

3. あわびは巻き貝です:あわびは巻いた部分が少なく、形は楕円形で殻口が広いですが巻き
   貝の仲間です。10~20cm程度の物が一般的でとても高級な食材とされています。あわび
   のエサとなっているのは、コンブ、ワカメなどの海草で、キモは海草のかたまりになって
   います。あわびのオス、メスの見分けはキモの色で判別します。オスは茶系、メスは緑系
   と、全く違った色をしています。味の方は、双方共そんなに違いはありません。

4. 磯のあわびの片思い:これは自分が相手を思うほど、相手が自分を思っていないことを言
   います。あわびは自分の殻が扁平なために、貝殻が片方にしかないように思われ、もどか
   しい片思いを連想させます。あわび貝の「片重い」と「片思い」を掛けたしゃれ言葉の意
   味もあります。

5.「のし」のルーツ:アワビは伊勢神宮へ「のしアワビ」という、紐状に乾燥させて加工され
   た状態で奉納されます。その奉納品である「のしアワビ」を、大昔の人がお祝い事の時に
   贈っていた習慣が変形して、現在の「のし」になったそうです。

6. アワビの選び方:アワビは殻に対して身が大きく、肉厚で丸々太り、ひだが小さめのもの。
    殻が薄くて、持つと重みのあるものを選びましょう。

7.アワビの保存方法:アワビは海水程度の塩水(濃度2〜3%)をたっぷり含ませた新聞紙や
   キッチンペーパーで包み、保存容器に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
   アワビを冷凍保存する場合は、生きているうちに身を殻から外し、身と肝を分けます。そ
   れぞれよく洗って、1個ずつラップに包んで冷凍保存袋に入れて冷蔵庫に入れて保存しま
   す。

8.アワビの加工品:アワビは刺身や水貝、酒蒸し、ステーキなどいろいろな料理に使えます
   が、干しアワビ、熨斗鮑、煮貝、塩辛などの加工品も美味です。

9.アワビの仲間:トコブシ。あまりアワビとしては扱われていませんが、立派なアワビの仲間
   です。トコブシはアワビの代用として親しまれており、アワビよりもリーズナブルな価格
   で流通していましたが、近年価格が上昇してきています。

10.アワビの値段:2021年から2022年のアワビの価格相場はアワビの種類や大きさにもより

    ますが、1キロ約7000円程になっています。価格はアワビの種類、大きさ、産地によっ
    て幅が大きく、最高級の国産黒アワビでは大きさにより1個の貝で2~3万円するものも
    存在します。一方中国産や韓国産のアワビで大きさが小さいものであれば、1個の貝で
    300円から500円程と非常に安い値段で購入する事が出来ます。スーパーなどでは中国
    産や韓国産のアワビが1,000円程で販売されているのを目にすることもありますが、
    アワビの種類までは記載されていないことが多いです。市場でも購入する事が出来、市
    場では小さなものから大きなものまで、様々なサイズ、種類のアワビが並び価格は500
    円から30,000円と幅がありますが、スーパーで購入できるものよりも、値は張るが大
    きいものが欲しい場合には市場での購入がおすすめです。しかし、黒アワビの大きなも
    のは高級料亭などに直接卸されることが多く、一般にはあまり流通しません。

 

<茨城県産天然あわびは稚貝の放流で資源管理>

茨城の海は、親潮と黒潮が交わり、栄養分が豊富なことが特徴です。磯場にはあわびの食物となる

アラメやカジメなどの大型の海藻が繁茂していて、あわびにとっては絶好の環境。そこにはエゾあ

わびが、北茨城市から大洗町までの水深5mほどの岩礁域に生息しています。茨城県では資源維持の

ため、県が茨城県栽培漁業センターに委託して稚貝を生産し、3cm以上(2才)になった種苗を漁業

者が漁場に放流し、稚貝の保護、漁獲量の制限や操業時間の制限など資源管理をしながら漁獲して

います。天然物は約5年、人工種苗は放流後約3年をかけて漁獲可能サイズ(11cm)にまで成長さ

せて、一つ一つ大切に漁獲されます。県内では、大津、川尻、久慈町、久慈浜丸小、磯崎、那珂湊、

大洗町の7つの漁協で水揚げがあります。6~9月にかけて(近年は特別採捕許可を受け10月も漁獲

あり)、素潜りまたは潜水器を用いた潜水漁業によって漁獲されます。那珂湊採鮑組合では、水揚

げサイズを12cmと組合独自で制定し、より大きなあわびを出荷しています。放流貝の漁獲回収率は

20%~50%で、貝殻の色は天然貝と放流貝は違うのですが、見かけ・肉質とも天然のものと変わり

ませんので、共に天然あわびとして漁獲し、出荷しています。

 

<茨城県産養殖あわび>

「丸のまま一口で、アワビを食べる贅沢」を味わえるのが、茨城県の養殖あわび「一口あわび」です。

約7cmまで育てたものをブランド化し、リーズナブルな価格で通年出荷しています。品種はエゾあわ

びです。エサはワカメやアラメなどの海藻に加え、昆布を与えることで美味しさが向上させています。

一口あわびの魅力は何といっても身の柔らかさ。適度な歯ごたえと旨みに満ちています。コリコリと

した食感が楽しめる刺身はもちろん、網焼きやバター焼きで旨みを堪能するのもおすすめです。磯崎

漁業協同組合の一口アワビ養殖施設で育てられています。
 

「一口あわびが食べられるお店」

(1)潮騒の宿 丸徳旅館(いばらきの地魚取扱店)

(2)磯崎(漁協):一般的なアワビのサイズ(約12cm)だと5000円以上しますが、一口アワビ(約7cm)

          は税込756円。おススメは「磯崎漁協のあわびめし」
 

<素潜りの天然アワビ漁>

 朝7時。那珂湊採鮑組合の組合員たちが集まり、波の高さ、風の強さなどを見て漁に出るかを決めま

す。組合員は全員男性。年間で20日ぐらいの漁です。海底までの深さが3.5mくらいが漁場。8kgの重り

と、あわびを入れる網を腰に巻き、ナザシ(あわびを岩からはがす金属製の道具)と尺号(しゃくごう:

12cmの尺がついた物差し)を持ち、マスクとシュノーケルを装着して、瞬く間に海へ。船から数十メー

トル先の狙った場所まで泳いで行きます。「あわびは、日の射さない岩場の影、海藻の中、岩の穴の中

などにいることが多いから、そういう場所をよく探す。見つけたら、岩とあわびの間にナザシを入れて、

はがしていくんだ」。潜り続けること数回、約2時間。「終わりにすっぺ~!」の一声で、続々と海人

たちが漁船に戻ってきます。各々の手には山のようなあわびが。大漁です。漁獲したあわびは1隻の漁

船に集められ、帰路につきます。

 

<茨城県栽培漁業センターとは>

センターは、鹿島港北端にある約2万6千平米の広大な敷地で、時間あたり最大900トンの海水を取水し

て種苗を大量生産する栽培漁業の拠点施設です。ここで栽培漁業の対象として種苗生産に取り組んでい

るのは、ヒラメ、マコガレイ、ソイ類、鹿島灘はまぐり、アワビの5種。このうち、種苗の生産技術が

確立し、安定した放流効果が得られているのがヒラメとアワビで、那珂湊の大切な水産資源となって

います。あわびは、3.5cmの大きさで30万個放流する目標で種苗が生産されています。放流サイズに育

てるのに約2年かかり、放流後、天然の海で漁獲サイズの11センチまで育つのにさらに3年以上かかりま

す。「地区ごとで差はありますが、茨城で漁獲されるアワビのうち、約半分がセンターで生産したもの

だということがわかっています。センターで育ったアワビは配合飼料の影響で、殻の一部が鮮やかな緑

色になるので、色で天然貝と放流貝を見分けられます。あわびは年輪を重ねるように成長するので、緑

色の部分は放流した後も残る」のだそうです。センターで生産されるヒラメとアワビは、栽培漁業を牽

引するツートップとして、茨城の漁業に欠かせない存在となっています。

 

 魚介類の生活史のうち、初期の一部の成長を人の手で補い、その後の成長は自然の海の力に任せるの

が栽培漁業。加えて、海の力で成長する間も、漁師さんをはじめとした関係者により、ヒラメは30㎝以

上、アワビは11cm以上など、それぞれ種類ごとに決められた大きさに成長するまでは徹底して漁獲をし

ないよう管理され、大切に育てられます。さらに、地区ごとで、種苗を生き残りが良くなるような場所

や方法で放流したり、独自に厳しい漁獲サイズを設けたりという取組みも行われているそうです。この

ように、茨城の海の恵みを将来にわたり享受し続けるため、関係者の技術と努力により、茨城の漁業は

つくり育てられているのです。
 

是非、茨城のあわびをご賞味あれ!

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