ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:豊富な海藻で育つ、大洗の「生うに」をご賞味あれ!

2023-07-03 08:26:43 | 日記

「うに」の消費量が一番多い国は日本です。日本の消費量は6万トンとも言われていて、
続いて消費量が多いフランスは、年間消費量は1千トンと日本とかなりの差があります。
この需要を満たすために、国内市場の「うに」は6割(2019年)をチリ、ロシア、カナダ、
中国など海外からの輸入品に頼っています。ですから、うに輸出国のうに漁はほとんど
が日本人向けです。2021年秋、北海道に赤潮が発生し「うに」が大量死しました。今も
その影響があるようです。国産うにの漁獲量は1位が北海道で約60%シェアですから、
この赤潮の被害はうに市場にとって深刻でした。茨城産のうには赤潮の被害を受けてい
ない茨城県沖の暖流と寒流がぶつかり合う海域の海藻をエサにして育ちます。漁獲でき
るのは6~8月半ばですが、最高の旬は6・7月のわずか2ヶ月。それも素潜りで獲るので
海が荒れると思うように漁に出られず、希少性が高まります。身入りの良さは漁場の環
境と「うに」の生息数のバランスが取れているからで、豊かな海藻に恵まれ、かつ資源
管理がしっかりできている証拠だと漁業関係者は胸を張ります。茨城県では主に大洗以
北から福島県沖で獲れる「うに」の水揚げ量が多いです。なかでも大洗沖で獲れる「う
に」は抜群に身入りがよいのが魅力的で、一房一房がまるで「みかん」のような大きさ
です。また、生臭さがなく、豊かな甘味があり、口に入れた瞬間にとろけるような柔ら
かさがあり、市場でも「ものがいい」と評判で、多数の地元料理屋が買い付けています。
地元では殻を半分に割って、スプーンなどで身をすくい取り、塩水で洗って生食するの
が一般的な食べ方です。今回は豊富な海藻で育つ、質の高い大洗の「うに」を紹介します。

 

<そもそも「うに」とは>

硬く鋭い棘に覆われたウニですが、実はヒトデやナマコの仲間に当たります。それぞれ
異なる見た目をしていますが、同じ「棘皮(きょくひ)動物」に分類されている生き物
です。ちなみに私たちが普段口にしている黄色い身の部分はウニの「生殖巣」(=精巣
や卵巣)に当たり、縄文時代から食べられていたそうです。私たちは数千年も昔からウ
ニを味わってきたという歴史があるのです。

 

<食用うにの種類>

ウニは、深海から浅瀬の磯に至るまで、世界中の海に広く生息し、種類はおよそ870種
が確認されているといわれています。そのうち食用可能なものは140種類ほどだそうです。
その内、日本人が好んで食べているのが6種類です。

(1)バフンウニ:(味)濃厚で甘みの強い味わい(大きさ)殻の直径が5cm程度にな
    ったものが食べ頃(産卵期)旬は3~4月、冬から春にかけて産卵(生息地)北
    海道南部から九州にかけて広く生息。他のウニに比べるとサイズは小さめで、
    鮮やかなオレンジ色が特徴。塩やアルコールで加工する練りウニなどに使われ
    ます。
(2)エゾバフンウニ:(味)コク深く、濃厚な旨味がある(大きさ)10cmを超えるも
    のがある。(産卵期)9~10月頃(生息地)北海道を中心に東北地方北部まで生
    息。名前の通り北海道を中心に生息するウニで、身は柿色をしており日本のウニ
    の中で最も美味と評する人もいます。生うにの人気度NO1.
(3)ムラサキウニ:(味)淡泊な甘みで上品な味わいで、磯の香りがする(大きさ)殻
      の直径は6cm近くで、殻が厚い(産卵期)5~8月頃(生息地)日本海側では青森
    県以南、太平洋側では茨城県以南。白色に近い黄色が特徴の最もメジャーとされ
    るウニで、磯の香りがするため和え物などにも適しています。
(4)キタムラサキウニ:(味)優しい風味ととろける甘さが特徴(大きさ)10cm程度と
    大きい(産卵期)夏から秋頃(生息地)太平洋側では相模湾以北、日本海側では
    山口県以北。ムラサキウニによく似た外見ですが、大きく少し緑がかっており、
    柔らかい身で大粒なのが特徴で、これも生うにとして人気が高い。
(5)アカウニ:(味)肉厚な身で濃厚なコクと甘さが特徴・(大きさ)5~7cmで扁平な
    のが特徴(産卵期)10~11月頃(生息地)東京湾から南側で、特に九州で多く採
    れる。身が肉厚でウニの中でも最高級と言われていますが、年々漁獲量が減って
    おり現在は幻のウニと呼ばれるほど希少価値が高いです。
(6)シラヒゲウニ:(味)さっぱりした淡泊な味わい(大きさ)直径10cm程度(産卵
    期)10~1月頃(生息地)沖縄。以前は日本全国で採れましたが漁獲量が激減し、
    2016年以降は沖縄県名護市以北で禁漁となっているウニです。旬は夏で、7~8月
    頃を中心に高値で取引されています。

 

国内で主に水揚げされるウニは、「エゾバフンウニ」と「キタムラサキウニ」の2種で国
産ウニの約9割を占めると言われています。

 

<うにの漁獲量>

  • 世界のウニの漁獲量は、2020年時点で、チリの3万7464トンが最大で、2位はロシア
    の9480トン。以下、オーストラリア、中国と続き、日本は第5位でおよそ7800トン前
    後の漁獲量です。1位のチリではチリウニの種苗生産が国の勧業となっていて、チリ
    ウニは、世界のウニ漁獲量の半分以上を占めています。
  • 国内漁獲量ランキング
    1位は北海道4,528t、57.5%(函館市・礼文島・根室市)、2位岩手県922t、11.7%
    (洋野町・宮古市・釜石市)3位青森県652t、8.3%(大間町・東通町・佐井村)・・
    ・茨城県は10位以下です。日本国内のウニ漁獲量は、北海道・岩手県・青森県の3道
    県でおよそ77%を占めています。(2019年)

 

<ウニの養殖>

国内のうに養殖は全国に25ヶ所ほどあります。この内、完全陸上養殖が8割で海中養殖は
2割です。


①基本的な養殖方法は、幼生と呼ばれる赤ちゃんの状態から直径2㎝くらいになるまで人
  の手で育て、エサとなる海藻が豊富な海域へ放流するというものです。自然界で出荷
  できる状態まで育てた後、潜水器を使って採取し市場へ出荷します。

②稚ウニを放流せず養殖かごへ移し、海藻などのエサを与えて出荷できるサイズまで育て、
  水揚げする方法もあります。

なおウニの養殖は、いずれの方法であっても天然資源の確保を考慮して行われますが、近
年の海水温の上昇でウニが活性化した状態が続き、海中の海藻を食べつくしてしまう「磯
焼け」の問題が深刻化しています。

 

③そこで、増えすぎたウニを捕獲してエサを与え、出荷する取組みが行われています。
  神奈川県水産技術センターでは2017年、駆除対象となったムラサキウニに廃棄予定の
  キャベツをエサとして与え、育成する実験が行われました。すると、エサ不足で生殖
  巣がほとんどなかったウニの身入りが、2%から17%にまでアップしたと言います。
  以来、ウニに海藻以外のエサを与えて育てる手法は、ウニの新しい養殖方法として注
  目を集めています。

④うに漁には禁漁期間がありますが、その時期に出荷できるのが、養殖ウニの強みになり 
  ます。養殖で育ったウニは品質も均一で味にばらつきが少なく、良質な昆布の産地で
  もある北海道浜中町で昆布のみを餌として育てられたウニは、雑味がなく魚介類の中
  で唯一天然モノより高値が付きます。品質が安定している完全陸上うに養殖の市場は
  拡大中です。

 

<うにの豆知識>

1.世界で消費量が多い国
   ウニの消費量が一番は日本で、続いてフランスです。年間消費量は日本とかなりの
   差がついていますが、フランスではウニをソースなどアレンジ料理に使うことも多
   く、日本と同じように生ウニも食べます。さしみとしてではなく、生ウニをパンに
   乗せて楽しむそうです。その他に、チリ、ニュージーランド、フィリピンでも消費
   されています。

2.うにの可食部はどこ?
   ウニの黄色いいつも食べている部分は実はウニの生殖巣といわれるところです。そ
   のため、旬といわれている時期はウニの産卵シーズンの少し前が一番大きく発達す
   るのでおいしいといわれています。逆に産卵のシーズンの後は、それを使いきって
   しまうので、あまりおいしくないといわれています。

3.「うに」にも性別がある
   ウニは一部を除き雌雄異体で性別があります。ウニは外見だけでは判断することは
   難しいです。オスとメスを区別する簡単な方法は産卵期に生殖巣の色を確認するこ
   とです。オスは濃い黄色、メスは濃いオレンジ色をしています。産卵期のみに色の
   変化がおき、産卵期前はオスとメスも同じ色をしています。でも、中を見ないとオ
   スとメスを確認できないわけじゃありません。産卵期のウニを軽く叩いてみるとオ
   スは乳白色の白い液体を出します。メスは白い糸のような卵を出します。海の中で
   しか確認できない方法ですけれどね。

4.栄養価
   ウニのビタミンA含有量は100g当たり1200IUと豊富で、目や皮膚の粘膜を健康に保
   ったり、抵抗力を強めたりする働きが期待できます。「造血のビタミン」と呼ばれ
   る葉酸も、魚介類ではうなぎの肝に次ぐ多さです。また、カロリーはマグロと同じ。
   良質なタンパク質が多く含まれるため代謝の促進、免疫力向上などが見込めます。
   ウニはおいしいだけではなく、栄養面でも優れた食べ物なのです。ウニを栄養の観
   点で見てみると、緑黄色野菜に含まれる栄養として知られているカロテンが含まれ
   ていることが分かっています。ウニのオレンジ色や黄色はこのカロテンに由来して
   います。

5. 「毒」を持ったうにがいる
   ガンガゼは30cmにも渡る細長くて鋭い棘に毒があり、刺さると激しい痛みが伴いま
   す。棘に注意して身を割れば食べる事も出来ますが常食はされず、釣り餌として使
   われる事が多いです。

6.「海胆(ウニ)」と「雲丹(ウニ)」―― その違いをご存知でしょうか?
   ウニを漢字で書くと、「海胆」「雲丹」の二通りがあります。「海胆」は生の状態
   のもの、「雲丹」は塩水加工されたものを指します。

7.うには流通に時間がかかるため、ミョウバンという添加物を使って形や保存状態を保
  っています。ミョウバン不使用のものはより甘みが強く美味しいと言われています。

8. うには目の機能を持つ器官はありませんが、トゲに覆われた体全体が光の明暗を判別
  することができます。又、うにの体の構造は5つの部分から成り、放射状に配置された
  ものを正形ウニ類、左右対称になっているものを不正形ウニ類と呼びます。

 

<うに漁について>

  • たも漁・・・もっともポピュラーな方法。小さな磯船に一人で乗り、「箱めがね」と
          呼ばれる大きな水中眼鏡で海中を覗きながら、タモと呼ばれる細長い棒
          の先に網がついている道具で1つ1つ獲ります。
  • 素潜り:アマさんなどが素潜りをして、そのまま捕まえます。最近は潜水士が潜って
        漁をすることが増えました。茨城県のうに漁はこの素潜り漁です。
  • うに籠漁:海底に仕掛けた籠の中に海藻のエサを入れて、エサを求めて入ってくるう
         にを収穫。青森県で盛ん。

 

<うには旬の時期を押さえておいしく味わおう>

一般的な「うに」の旬の時期は8月頃といわれていますが、実際は種類や産地によっても異
なってきます。したがって、本当においしくうにを味わいたいのなら、食べたいうにの種類
や産地の旬をしっかりと把握しておくと良いです。自分でうにの種類や詳細な産地を調べる
のは面倒かもしれませんが、それだけのことをして味わう価値は充分にあるはずです。また、
どうせ同じお金を払ってうにを購入するなら、よりおいしく食べたほうがお得といえます。
ぜひ、うにの旬を押さえておいしく味わいましょう。

 

<大洗の生うにを買えるところ>
大洗の生うには、6月から8月半ばにかけて獲れる旬の海産物で、一房一房がみかんのような
大きさで、生臭さがなく甘みが強いのが特徴です。大洗の生うには殻を半分に割って塩水で
洗って生食するのが一般的な食べ方です。

大洗の生うにを買えるお店:(有)魚忠や大洗町漁業協同組合など。

大洗の生うにを食べられるお店:海鮮どんぶり亭や海鮮市場など。

茨城県のうにの旬は6月と7月です。是非茨城県大洗の「生うに」をご賞味あれ!

 

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