ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:脂の旨みがたっぷり!食べ方自在の深海魚「メヒカリ」

2023-02-20 07:30:02 | 日記

深海魚のメヒカリを知っていますか?脂がたっぷりのった白身魚のメヒカリは、かつて市場では

雑魚として扱われていましたが、その脂身が現代人の味覚にマッチし、1990年頃から人気を高め

ています。緑色の大きな目が印象的なメヒカリは、底曳き網漁で漁獲されます。サイズはやや小

振りですが、深海魚であるため、骨が柔らかく旨みのある脂ののった白身が魅力で、身も骨もや

わらかく、丸ごと食べられて、美味しくふわっとした食感が特徴です。知名度の上昇とともに、

スーパーなどでも見かけるようになりましたね。生のまま刺身にしたり、天ぷらや唐揚げなどの

揚げ物にしたりしても食べられています。

メヒカリの漁場は本州太平洋側沿岸から東シナ海の比較的深い海です。実はメヒカリには近縁種

がいて、「マルアオメエソ」は千葉県以北の茨城県、福島県。「アオメエソ」は愛知県、静岡県、

高知県、宮崎県と魚種の違いで棲み分けがあるのですが、姿形での見分けが難しく、市場では共

にメヒカリの俗称で流通しています。県名でわかるように、メヒカリの漁場は日本列島の太平洋

側です。福島県いわき市のメヒカリは「いわき市の魚」に指定されていますし、福島県と宮崎県

はいずれも全国漁業協同組合連合会が選定する「プライドフィッシュ(漁師が自信をもって推奨

する魚)」となっています。それだけ大切に扱われているということですね。茨城沖のメヒカリ

漁は、ほぼ通年行われていますが、1月~2月が旨味の乗る旬です。「底びき網漁」では、メヒ

カリが傷まないように網を曳く時間を短くしたり、漁獲後は氷水でしっかり冷やして早めに帰港

したりと、品質を保つ工夫と努力を重ねています。今回は茨城沖の美味しい「メヒカリ」を紹介

します。

 

<メヒカリとは>

メヒカリは、ヒメ目アオメエソ科アオメエソ属に分類される深海魚で、青く光る大きな目を持つ

ことからメヒカリという俗称がつけられました。正式な名称は「アオメエソ」ですが、「オキウ

ルメ」や「ヒメヒカリ」とも呼ばれ、地域によっては「ハダカ」や「トロボッチ」と呼ばれるこ

ともあります。また「マルアオメエソ」や「トモメヒカリ」などの近縁の魚がメヒカリの名前で

流通しています。水深150~620mあたりに生息している深海魚で、産卵期は2~7月と推測され、

茨城県沖には0歳魚の冬から1歳魚の秋まで分布していますが、その後はどこかへ移動してしまい

ます。産卵場や成熟年齢、移動回遊などわかっていないことも多い謎の魚です。

 

<メヒカリの栄養価は高い>

  • カルシウムが豊富:魚の骨にはカルシウムが多く含まれますが、普段の食事で骨まで食べる
      ことは難しいでしょう。しかし骨の柔らかいメヒカリだとカルシウムを効率よく摂取す
      ることができます。カルシウムには骨や歯を丈夫に維持する効果がありますが、その他
      にも精神のイライラを落ち着かせる効果やお肌を美しく保つ効果があります。加齢が進
      むと良質なカルシウムは非常に大切な栄養素となりますから、メヒカリなどの美味しい
      魚で自然に無理なく摂取するといいですね。
  • DHA・EPAが豊富!:メヒカリのもうひとつの大切な栄養素はDHA・EPA。共に血液中のコレ
      ステロールや中性脂肪の値が高くなるのを予防し、高血圧を抑制してくれる優れた効能
      があります。大学の研究では、青魚のサンマやアジよりもメヒカリの方が栄養価が高い、
      との結果が出ています。

白身魚といえば、カロリーが少ないことが利点ですが、その反面青魚に比べると栄養価が低いです。
メヒカリは白身魚ですが、私たちの健康をサポートする栄養素が多く、優秀な魚だと言えるでしょ
う。肉の多い食生活に偏りがちな人はこの辺りでメヒカリをはじめとする魚類を多く摂る食生活に
切り替えるのも一案ですよ。

 

<めひかりの豆知識>

1.かつては雑魚だった!

1990年代始めの頃までは、底引き網漁の深海エビ引き網で取れる雑魚として扱われ、食材としては
漁師たちの食事ぐらいで、商品価値も養殖用のエサ、そしてかまぼこのすり身になるぐらいでした。
当時の市場ではバケツ一杯100円でした。しかし、見た目に反して、淡白な白身とふんわりとした食
感を知ってもらうべく、延岡市の日本料理店が試行錯誤を繰り返し、料理を開発し提供してから、
マスコミで紹介され脚光を浴びるようになりました。脂を多く含む魚であり、現代人の嗜好に合っ
て、徐々に人気が高まってきました。最近では値段が上がったために、深い場所で操業する底曳き
網の重要な獲物となっています。都市部の魚屋、スーパーでも干物などで見かけるし、鮮魚も希で
はありますが、売り場に並んでいることがあります。

2.鮮度のよいメヒカリの見分け方は?

メヒカリの鮮度を見分けるときは「目の色」「皮の色」の2点をチェックしましょう。鮮度のよいメ
ヒカリは目が鮮やかな青色をしていて、潤いとハリがあります。また、皮に光沢があり、斑模様が濃
く出ているものが新鮮です。一方、目がくぼんで濁っていたり、皮が白っぽく変色していたりするも
のは鮮度が落ちているので、避けた方がよいでしょう。

3.寄生虫に注意しよう

メヒカリに限らず、生魚は寄生虫に気を付けなくてはなりません。代表的なのはアニサキスという寄
生虫です。白い糸のような見た目をしていて大きさは2cmほどになります。取り除く、火を通す、も
しくは切断すれば死滅する寄生虫ですが、メヒカリは白身魚のため発見しずらいです。アニサキスは
胃の粘膜に寄生し、激しい腹痛や嘔吐を引き起こします。他にメヒカリに寄生している可能性がある
寄生虫はテンタクラリアです。米粒大くらいの大きさで、見た目はウジ虫に似ている寄生虫です。見
た目の気持ち悪さを除けば、人間には無害な寄生虫ですが、やはり刺身など生の食べ方をする際は見
つけて取り除くようにしてください。

4.保存の仕方

料理に使う場合は、必ずしっかりと加熱調理しましょう。メヒカリは足が早い魚なので、買ってきた
らできるだけ早く下処理することをおすすめします。冷凍保存の方法も覚えておくと便利ですね!

①下処理したメヒカリをトレーなどに並べる
②かぶるくらいの水を入れて、そのまま冷凍する

水を張ってから冷凍することで、メヒカリが空気に触れづらくなるので、冷凍焼けしにくくおいしさ
が長持ちします。使うときは流水に当てて解凍するとすぐに溶け、鮮度もキープできますよ。

5.下処理のやり方

①うろこを取り除く ②頭を外して内臓を取り除く

メヒカリの皮が薄くてはがれやすいので、包丁の先端でやさしくこするようにうろこを取ります。頭
を外すときは、胸びれの根本に包丁を当てましょう。頭を外したあと中に残った内臓をきれいにしま
す。頭を残したまま調理したいときは、エラだけ外し、お腹側中央にある黒い部分に切り込みを入れ
て内臓をかき出し流水で洗いましょう。

6.美味しい食べ方

(1)唐揚げや天ぷらが美味しい!:一番ポピュラーな食べ方です。唐揚げは少し塩を振って、ビニ
     ール袋に片栗粉を入れてメヒカリと一緒に混ぜ、カリッと揚げるだけ。天ぷらは下処理を
     したメヒカリに片栗粉と塩をまぶして揚げるだけです。ジューシーで中はふわふわ。

(2)一夜干しも絶品!:メヒカリは干す事によって旨みが凝縮します。メヒカリの素の味がもっと
     も味わえる食べ方です。ぜひ、丸干しして食べてみてください。

(3)南蛮漬けがさっぱり美味しい!:メヒカリの唐揚げが余った時におすすめです。醤油、みりん、
     酢、酒で作ったタレと、玉ねぎやピーマンと一緒に漬けるだけ。数日は日持ちするのでと
     っても便利な食べ方です。

(4)塩焼き:いいメヒカリを買ってきたら塩を少し強めに振り5-10分ほど置いてグリルで焼きます。
     周りはカリッとさせたほうが美味しいので火加減をうまく調整してください。

(5)刺身:新鮮なものが入手できたら、お刺身でどうぞ!

 

<茨城沖の船上・漁レポートより>

(1)出港

メヒカリは陸から離れた水深200mから600mの海底にいる深海魚です。深夜3時、メヒカリを狙う底曳
き船が、2時間半の行程で漁場に向かいます。巻き上げ機にはぎっちりと曳き綱が巻かれています。メ
ヒカリは、暖かい時期にはやや浅い海域へ移動し、寒くなるにしたがって深い海域に移動するそうです。

(2)操業

漁場に着いたのは5時20分。船尾から底曳き網が海に下ろされました。曳き綱の長さは水深のおよそ
3倍にもなるとのこと。水深200mなら、曳き綱は600mにもなる計算です。底曳き網漁は、海底に沈め
た袋状の網を船で引っ張り、海底付近にいる魚や貝などを獲る漁法です。実はメヒカリは泳ぎ回る魚
ではなく、海底に腹びれを立ててとまっている魚です。海底に並ぶメヒカリを、網が海底をなめるよ
うに進んで捕まえるという仕組みです。

(3)漁獲

網を引くこと1時間半、網上げです。長く伸ばした曳き綱を、さすがに600mもあるので、曳き綱を巻
くだけで30分ほどかかります。魚の詰まった網の底が船尾に上がりました。網の中には、いろいろな
魚が文字通りピチピチと跳ねています。吊るし上げた網の底を開くと、船の上に魚が流れ出し広がり
ました。網を綴じ、再び海に下ろす作業が進められます。2回目の漁のスタートです。

(4)選別

底曳き網に入る魚は多種多様。水深によって入る魚は変わりますが、メヒカリの他、カレイやドンコ
(エゾイソアイナメ)、サバ、タコ、イカ、エビ、ツブ貝、ヒトデなど、大きいものから小さいもの
まで、食べられるもの、食べられないものがまぜこぜになって網に入っています。それらを仕分ける
選別作業はすべて船上での手作業です。お目当てのメヒカリは、15cm程度のサイズを中心にザルに集
めていきます。他の魚も売れるもの、売れないものを選別しながら魚種毎、サイズ毎にザルに分けら
れます。コツコツとザルに集めたメヒカリは、海水で汚れを綺麗に流し、氷水を入れたタルに移して
船底にしまわれます。汚れを落としたメヒカリを手に取ると、緑色の大きな目がキラリと光ります。
メヒカリは大きくても、小さくても味は変わらないとか。でも、サイズが大きければ料理の幅が広が
ります。

(5)寄港

魚がたくさん獲れるほど、選別作業は時間がかかる大仕事になります。大漁の時は食事をとる暇もな
いほどで、メヒカリが8タル(250kg程)になることもあるとか。海に出ること11時間半。14時40分
に漁船は漁港に戻りました。

(6)船上での鮮度・品質への配慮

鮮度を落とさず水揚げする。メヒカリ漁は深夜に出港して午後には帰港し、即日水揚げします。沖ど
まりをせず、漁獲してから市場へ並ぶまでの時間を短くすることで、メヒカリの鮮度を落とさないよ
う配慮しています。

(7)水揚げ~入札

水揚げされたメヒカリは市場で計量され、待ち構えていた仲買人たちによって、あっという間に落札、
出荷されていきます。メヒカリは底曳き網漁の中でも、主役級の魚のひとつなのです。

 

是非、脂の旨みがたっぷり!食べ方自在の茨城産の深海魚「メヒカリ」をご賞味あれ!

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