ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

散歩道で出会う「紅葉・黄葉の高木たち」

2020-12-14 08:00:35 | 日記

 

紅葉は4種類の過程の進み具合によって、色の変化の流れが決まります。

1. クロロフィル(緑)の分解 2. カロチノイド(黄色)の分解 3. アントシアニン

(赤)の合成 4. フロバフェン(褐色)の蓄積です。例えば、(A)ナナカマドの

ような緑から赤に変わるのは1,2,3がほぼ同時に進行し、(B)イチョウのように緑

から黄色に変わるのは1.が進行するだけで2.の反応の進行が遅く 、3.の反応進まない。

(C)そして、トウカエデは1.→2.→3.と順調に進むので、色も緑から黄色、更に赤

へ変化します。(D)メタセイヤは緑→黄色→褐色に変化しますが、Bの延長上で褐

色に変化する紅葉です。しかし、ここまで記しましたが結構複雑なようで…未だに

「紅葉」のメカニズムは完全には解明されてはいないそうです。

 

さて、旅行好きな私ですが、高齢者ゆえに今はGoToトラベル、更にGoToイートも

使わずに自粛生活を続けています。ですから外出と言えば散歩です。そこで「散歩

の中に学びの種を見つける」ことを意識して歩くようにしています。今回は秋の散

歩道で出会うお気に入りの「紅葉・黄葉の高木たち」を紹介します。写真は意識的

に独立で起っている高木を選んで紹介しています。

 

1.ナンキンハゼの紅葉

  このナンキンハゼの高木はカワセミが狩場としている北竜台公園内の池の渕に

  あります。昔から「寒暖差が大きくなければ綺麗に紅葉しない」と言いますね。

  しかし、この中国南部原産の外来種「ナンキンハゼ」だけは暖かい土地でも必

  ず「赤・紫・黄・緑」の鮮やかなグラデーションの紅葉を毎年見せてくれて、

  美しい秋を感じさせてくれます。名前は知らなくても、公園樹や街路樹として

  植栽されていますので見たことがある人は多いでしょう。ハートの形のような

  丸い葉っぱは新緑も美しいのですが、紅葉とともに、黒い皮がはじけて登場す

  る白い実もかわいらしく、白い実つきの枝ものは、クリスマスの花材としても

  人気です。そして実の中の油で和ろうそくが作れます。

 

2.イチョウの黄葉

  女化神社の境内に数ある高木の中の一つです。イチョウは別名を公孫樹(コウ

  ソンジュ)とも呼びます。この呼び名は、「実がなるまでは孫の代までかかる

  ほどに長い年月が必要だ」という意味で、一説には雌木がはじめて花芽をつけ

  るに樹齢25年から30年はかかり、雄木も同じくらいの年数を経て生殖可能にな

  ると言われています。種子のギンナンも美味しく食べられる身近な木ですが、

  実は中生代に最も栄えた裸子植物の生き残りという植物学的に貴重な植物でも

  あります。学校、神社、公園そして街路など人の集まる場所に植えられていま

  すが、その理由は水分を多く蓄え、火事の時には水を吹くという話が江戸の時

  代に広まって、防火樹として植栽された名残りなのでしょうね。

 

3.楓(カエデ)の紅葉

  広い畑の一番奥の一画にあります。私は赤く紅葉している葉を見るとカエデ?

  モミジ?となりますが、皆さんはどうですか。調べるとモミジという科や属は

  ありませんので、モミジとは観賞用の木のことを指すと考えた方がよいようで

  す。でも、園芸の世界では使い分けています。葉に5つ以上切れ込みが入った

  掌状のものを「モミジ」、切れ込みが浅くて数も少ないものを「カエデ」と呼

  んで区別をしています。楓といえば木材。家具に使用されるカエデは大きく成

  長する種になります。産地が主に北海道のイタヤカエデは大きいもので直径1m、

  樹高20mになるそうです。カナダやアメリカから来るメープル材はサトウカエデ

  という種類です。カナダの名産品メープルシロップの元となる樹液が取れる木で

  す。サトウカエデも大きく成長するカエデで、直径は太いもので1m、樹高は20-

  30mになるそうです。カエデは硬質で摩耗に強いのでバイオリンやハーモニカ、

  ピアノのアクション部にも使用されます。

 

4.欅(ケヤキ)の紅葉

  団地内の大きな児童公園内にあります。公園の前を通る幹線道路は欅並木です。

  私にとっての欅は木材そしてイルミネーションの街路樹ですね。スギ、ヒノキ、

  ヒバなどといった国産の木から、ウォルナットやチークといった海外産の木を

  含めても最高峰と言える存在が、「欅」ですよね。欅の魅力は、その強靱さと

  美しさ。製材してから100年経っても、200年経ってもその価値は変わらず、む

  しろ、時を重ねるほど美しさに深みが増す木です。古くから寺や城の建築材と

  しても重宝されており、日本家屋では、大黒柱や差し鴨居、床框など、その家

  にとって最も大切な場所に使われてきました。そして、ケヤキは樹齢が長く病

  気や害虫に強く、樹形は街路樹にも適しています。春には芽吹き生命力あふれ

  る新緑が私たちの気持ちを明るくし、夏には生い茂った緑の葉が日差しを和ら

  げ、とても涼しげに感じる木陰を作ってくれます。秋に見せる紅葉は、個体に

  よって赤色に変化したり黄褐色に変化したりするので、夏から秋にかけてのケ

  ヤキ並木は様々な色調が同居し私たちの目を楽しませてくれます。そして冬に

  なると東京の表参道や仙台の青葉通りなど各地でケヤキ並木はイルミネーショ

  ンで飾られてニュースになります。

 

<紅葉の秘密>

「日本の紅葉は世界一美しい」といわれていますが、なぜなのでしょうか?調べてみ

ると、その理由はまさにこの日本にしかない、実に奇跡的なものでした。美しい紅葉

が見られるのは落葉広葉樹だけ。その落葉広葉樹が多く存在しているのは日本を含む

東アジアやヨーロッパの一部、北アメリカの東部に限られています。ですから、紅葉

が見られること自体が貴重なんです。その中でも日本の紅葉が美しいと言われるのは

葉の色彩が鮮やかだからでしょう。欧米での紅葉と言えば、単色が多いようです。そ

れに比べ日本は、赤や黄色、オレンジ色があり、常緑樹などの緑色も混ざって多彩で

美しい紅葉がみられるのです。日本の紅葉の色の多様性は植物の種類が多いからです。

ブナ、カエデ、トチノキなど日本には26種類。これに対しカナダやヨーロッパなどは

13種類。種類が多いことに加え、紅葉はその年の気候や葉の水分量によっても葉の色

が変わります。同じ木でも、その年によって違う色合いになり、毎年同じ色あいにな

らないことも要因です。ではなぜ、日本にはこんなに落葉樹が多いのでしょうか。

それは、氷河期に日本列島で広葉樹が生き延びたからです。他国では氷河にやられて

死滅してしまったのがほとんどですが、日本では暖かい海岸線やその地形に守られ、

多種多様な落葉広葉樹が生き残ることができたのです。奇跡のような気象の歴史を経

て、今、生きている私たちが美しい紅葉を見ることができるのですね。

(NHK放送 抜粋)

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