鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

イノセンス(攻殻機動隊)

2005-04-30 19:02:01 | 映画(アニメ)

「イノセンス」 2004年
原作:士郎正宗
監督:押井 守
声優:大塚明夫、田中敦子、山寺宏一、大木民夫

***

巷で話題になった「攻殻機動隊」に出てくるバトーを主人公にした物語です。
私はバトーがお気に入りなので素直に嬉しかったのですが、見終わった後の感想は…
「人形の顔が怖すぎ」ということ。
これがセクサロイドだというのは納得いかないぞ(汗)
一体どこの物好きが使うというのですか(汗)

ストーリーそのものは、原作にもあったエピソードを流用しておりましたので、
仕掛けは早くから見えていました。
それにしても、原作ではきゃらきゃらの美少女だった「トムリアンデ」が、
どこであんな怖い顔の「ハダリ」に変わってしまったのかなぁ(←まだ言うか)

しかし、いつも思うのですが、攻殻機動隊を初めとするこのシリーズは、
本当に初心者には優しくない(汗)
原作本を隅々、注釈まで読み込み、しっかり世界観がわかっている人なら、
なんとかついていけるかもしれませんが、テレビで「これは凄いですよ」と聞いて、
どれどれと見に行くひとには、あまり判らなかったんじゃないかな?

セリフが難しい、というのも、理解を阻む要因の一つですね。
普段使わないような難しい単語と理論がセリフの中で出まくるのは、
頭の中で漢字変換が追いつかない…。
万人向けでは決してないです。わかる人にはわかる、って感じかな。

私個人は、OVAでも深夜枠のドラマでもなく、映画として一般に公開するのなら、
それなりに判るものを提供するのがスジかと思います。
どんな映画も、そこから何かを「感じる」人とそうでない人、という区分けはできてしまいますが、
ここまで明瞭に理解できる人とできない人が分かれる物語は…。
わかる人間には優越感を、わからない人間には嫉妬や不満感を呼ぶんじゃないかと。
ある意味、押井さんの作品は、そこがウリでもあるんでしょうがー。


ただ、じゃあ噛み砕いてあればいいのか? と言われると…それも難しいー。

科学をつきつめれば、それは宗教にもつながり、また精神論にもなり、哲学にもなり。
理論の上に理論を重ね、仮定の上に仮定を重ねることで築いた、幻の城。
それはとても美しいけれど、目を凝らせば凝らすほどぼやけ、掴もうとすれば消えてしまう。
数学で定義する真円や正方形が現実には存在せぬように、それは理論の中にしか存在しない。

攻殻機動隊の世界観について思うとき、どうしても私にはそんな風にしかとらえられないのです。
わかりづらいですね。すいません(汗)


さて、話変わって、いつもこのシリーズを見て思うのは、義体、という考え方はスゴイな、と。
完全に人間をサイボーグ化しようと思ったとき、一番扱いに困るのが「魂」「心」「精神」といったものじゃないかと思うのですが、このシリーズでは、それを丸ごと「ゴースト」という名の「部品」の一つとしてすぱっと定義してしまっている。
脳がどうこうって世界じゃないのですよね(汗)

ちなみに、先日見た「アップルシード」のほうが、物語としては数段わかりやすかったです。
それなら、攻殻はよくわからないからダメって人でも、楽しめると思いますよー。

でも、士郎正宗さん…私が学生のころからずっと描いてらした方なのですが、
最近の大フィーバーぶりはどうしたことか…
ネットが広く浸透したことで、やっと彼の作品が、多くのひとに理解される基盤ができた、ということなのでしょうか…

イノセンス オフィシャルサイト
アップルシード オフィシャルサイト
攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG

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