鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

「失はれる物語」乙一

2006-08-02 01:07:55 | 本(小説)

「失はれる物語」 乙一
角川文庫 2006年

***

最近お気に入りの乙一さんの傑作短編集です。
他の本に出ていた短編の再録が殆どですが、乙一ビギナーな私にとっては
読んだことのないものばかりで、とても良かった~

内容はね、ホラー…では無い、と思う。
ああ、いやいや、轢死体とか幽霊とか出る話もあるんだけど、
全体的なムードは、全部切ない系&感動系なのよ。
ので、各話の主人公が大体皆、アウトロー気質で欝気味な点さえ許せるなら、
この本は万人にお勧めできます。
ことに「しあわせは子猫のかたち」は泣けるー。

著者については、黒乙一、白乙一なんて言葉があるそうで、
つまり、残酷ブラックものと、切なさ感動系の、両極端な話を書ける方なのですって。
幅広いジャンルを書き分けられるとのは、作者自身のキャパが広いってことかなと思っています。
んと、人間としての幅が広い、と言ってもいいかな。
私が読んだ乙一さんの本は決して多くないので、あまりエラソーに語れないのですが、
今まで読んだホラー系の物語も含め、この方の物語にはどこか「いたわり」がある。
残酷な中にもどこか見えない傷を癒そうとするかのような優しさがあって、
読後感がなんともいえず良い感じ。人柄かなぁ。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。