鼠喰いのひとりごと

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「怪談徒然草」 加門七海

2006-08-02 01:54:23 | 本(その他)

「怪談徒然草」 加門七海
角川ホラー文庫 2006年

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2002年にメディアファクトリーから刊行され、
一時期話題を巻き起こしたこの本が文庫化されましたよん。
夏ですからねぇ! やはり怪談でしょ。

作者の加門さんは、たぶん本業はモノカキであろうと思うんだけど…
神社・仏閣、民俗学に詳しく、それに関する本も出しており、
私ははじめ、このひとはそっち系の研究者なのだなと思ってました。
著書では、今まで光文社から出ている「203号室」しか読んでないっす。
幽霊が怖いというより、周囲の人間というか、状況が怖い系の話で、
悪くはないけどたいして良くもなかったな。

さて、話を「怪談徒然草」に戻して。
内容は、三夜に渡って著者の心霊体験を対談形式で載せているのですが、
今回、文庫化にあたって内容の一部を一人語り形式に書き換えた模様。
…書いてる内容は大筋で変わってない、と思う。

いつも思うけど、こういう霊感のある人が見る世界って、
一体どんな風なんだろうな。
例えば、石に躓いただけのことでも、見るひとが見れば、
なにやら霊的なものが働いたとかわかるわけで…
でも、多くのフツーの人には、それを知るすべも無いし
…妄想だ気のせいだと言ってしまえばそれまでで。

あそこに誰かいるよ、と言っても、「えー?! ほんと?!」から始まって、
「怖い」とか「気のせい」とか。
他には「写真撮ってみようか」なんてふざけ半分な反応か、
もしくは「そんな嘘言って目立ちたいんでしょ」なんて、
最初から信じない反応が返ってくるのが普通かも。
周囲に同じものを見ることができる人がいない限り、そういう人って、
一度は自分の正気を疑うのではないだろかー。
そう考え出すと、むしろそっちのほうが怖いな、とも思う。

考えてみれば、「203号室」でもメインの恐怖はむしろ心霊体験ではなく、
自分の恐怖や体験を、誰ひとり本当にはわかってくれない…という、
周囲に見捨てられることへの恐怖のほうが強かった。
それに、煽り文句か何かに、これは著者の実体験を踏まえた小説だ…
というようなことが書かれてたような。
どの部分とは書いてませんでしたが、案外、
この「ひとにわかってもらえない感」も実体験なのかなーと。
霊感あるひとにはこういう体験は多いかもしれない。
自分が見ているもの、感じているものを、他人は感じられないわけだしー。

ともかく、霊感ある人が見る世界ってこんな感じ、ということで、
それなりに面白いし楽しめましたよ。
実話に近い心霊体験談の多くがジミであるように、
この本に出てくるエピソードも恐怖度は低め…
最後の一話だけがいろんな意味でコワイかもしれませんが…
ま、初出は4年も前の話だしね。
こうして再び文庫化したということは、多分大丈夫なんでしょう(ニヤリ)

ああ、でも、この本を読んだその日の夜、いきなり私右目が真っ赤になりまして。
結膜炎かと思って病院行ったら、虹彩の部分が炎症を起こしてるって
言われちゃったい。

呪い? 呪い? (笑)



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