鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

「小泉八雲集」小泉八雲

2006-09-03 02:26:24 | 本(その他)

「小泉八雲集」小泉八雲
訳:上田和夫 新潮文庫

***

小泉八雲…ラフカディオ・ハーンの物語といえば、
怪談でお馴染み、雪女やむじなが有名どころ。
私も今まで「怪談(くゎいだん)」しか読んだことがなく、
今回この本で初めて『こんな色々書いてたんだ…」と知りました。

所謂ガイジンから見る日本人観を書いたヤツは特に興味深いっす。
中でも、日本人の微笑みに関して書いた部分は、
外国人から見ると、こんなことが不思議なのか、って気分になるな。

日本人が悲しいときにも笑ってみせることは、
当時の外国人にとって理解できないことだったらしいですよ。
『夫が死んでるのに、笑ってそれを話すなんて信じられない!』とか。
『こちらが叱責しているのに、ヘラヘラ笑うとは何事だ!』とか。
身内の死について、悲しみを極力抑えて笑ってみせるのはともかく、
叱責されて笑ってるのは、今も昔も日本も英語圏も礼儀知らずに変わり無いと
思いますが…(汗)
小泉八雲は、悲しみや怒りを見せないことが日本人のひとつの礼儀である、
と解釈したようです。

もともとそういう文化に育ってない人が、きちんと他の国のことを
理解できるってのは凄いよね。
今のように、海外の生活や文化を簡単に知ることができない
100年も前の時代にあっては尚更。

そういえばずっと以前、近所にホームステイに来ていた外国人に
『どうして日本人は自分を必要以上に卑下するのか』
というような意味のことを聞かれたことあったな~。
『それは、自分を相手よりも格下に見せることで、
相手を尊敬しているという気持ちを表しているのです』
というようなことを一生懸命伝えましたが。伝わったかどうかはイマイチ。

せんだっても、ボトルメールを紹介したばかりですが、
ちょっと前にも、外国の方とメールをやりとりする機会に恵まれてました。
どういうわけか、最近の私は英語ヅイている(汗)
もともと英語の成績悪くて苦手なのに。

私は今まで、殆ど海外の方と関わる経験が無かったので、
『同じ人間、喜怒哀楽まで変わるもんでもないだろう』と
軽く考えていたのですが、これがまー、思うようには何ひとつ伝わらないんだ。
ハッキリ伝わるのは「はい、いいえ、好き、嫌い」くらいだね(笑)
やっぱり、人としっかりコミュニケーションしようと思ったら、
相手の人となり以外に、育った国や地方の考え方や風習も知らないとダメだと思った。

どうしても、自分の育った環境の考え方感じ方が常識としてあるから、
相手も同じだろうと思い込み、それが誤解を産むんだわ。
そもそも言葉もろくに通じないから、お互いチグハグなまま、
それなりに会話は続くんだけれどさ…(笑)
ま、同じ日本人だって、一体この人どこに神経通ってんだろう?てくらい
考え方の違う人もいることですし。外人ならなおさらかね。

やっぱりね、みんな、自分が今置かれた場所の常識に準じてるわけですよ。
私は日本に生まれたから、日本の常識からモノを見て
善悪と好悪を判断してるわけですが、
たとえば、もし中東に生まれていたら、当然のように
「アラーは全能。アメリカは悪魔の国だ」と考えているでしょうし、
アメリカに生まれてたら「私の国は世界の中心、誇りである」
と自尊心丸出しだったかもしれない。
その場所にはその場所の常識やら判断基準があって、
正しいかどうかを決めるのは、結局多数決によらざるを得ない。
日本人100人の中にアメリカ人が一人なら、
そこでは日本の常識が罷り通るのでしょうし、
イラン人100人の中で日本人が無抵抗平和主義を唱えたって
相手にされないでしょう。
自分がどこに産まれたかが考え方の基本を作っているというのは、
単純でなかなか根深い問題です。

結局、ひとは自分自身の檻から抜け出せず、そこから周囲を眺めるだけでしか
ないんだなー、と。
どう角度を変えてみようと、檻の置かれた場所からの景色しか、
私たちには見ることができない。

どの見方も正しく、また、どの見方もそれが全てではない。
そこで「お前の見ているものはニセモノだ!」と否定してしまうのは簡単ですが…
それでは何も知ることはできない。
小泉八雲の目から見た日本の話を読みながら、そんなことを考えていました。

やっぱり、人間、一度は海外旅行とか留学とかしといたほうがいいよね。
できれば若くてアタマが柔らかいうちにさ(笑)

っていうか、海外行きてい。



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。