鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

「水霊」 原作

2006-12-20 13:58:57 | 本(小説)

「水霊」 田中啓文
角川ホラー文庫 1998年

****

原作読みましたっすよぅ!!
リングらせんからこっち、バーっと流行ったホラーブームも
さすがに下火とあって、あの黒い背表紙の角川ホラー文庫も、
揃えて置く本屋が少なくなりました。
この本も、近くの本屋に無くて、すぐに手に入らなかったですー。
もー、人気ホラー焼直し臭い粗悪な映像作品ばっかり作ってるから、
ホラー業界全部がこういうことになるのさ。
ホラー小説の中には、もっと良いものも深いものも、
吹っ切れて馬鹿っぽいのも結構あるんだから、
もっと真剣にやってほしいよ…ぶつぶつ。

で、読んだ感じ。
これは思わず笑っちゃうほど別モノだぁ!!

舞台となる場所は違うわ、主人公は違うわ、ラストは違うわ。
一体、製作者は、この原作のどこを映像化したかったんだか
わからないくらい、原型留めてませんがな…
…これで原作付き映画だとぉ?!(怒)

100歩譲って、これは原作とは別視点の人間から見た一連の事件の
あらまし…とも、考えられなくもないですが…全然生きてナーイ(汗)
仮にも原作を読んで、それを映像化しようと思ったのなら、
この作り方は無いと思う。作者への敬意を欠いている。

実際…原作つきの映画やドラマでは、こういうのは珍しくもないんだけど。原作があったとしても、映像は監督やディレクターの作品でもあるわけだし。
でも、その結果すごくいいモノに仕上がるのは、
どれほど内容を変えていても、どこかに原作の意図をきちんと
「わかってる」感じのものが多いよ。
「こうすればウケるさー」って感じで作ったものは、おもしろくない。
ヤりまくりの裏ビデオと同じで、見終わったら後に何も残んない。

ていうか、原作の田中さん怒ってんじゃないですかね。
それとも、ここまで変えたからには、田中さん自身も
映画脚本に関わったのかなぁ。
(でも、それならもう少し歴史色や郷土色が出てても
おかしくないと思う)
んー、もしかして、カドカワがホラーブームよもう一度!と
無理に巻き返しを図りましたか?
初版から8年経って映画化する理由も無いよね~ 
でも、それなら予算をケチっちゃダメだな~(笑)

さて、その原作ですが。
九州・宮崎を舞台にして、すでに滅びた村と神社の遺跡に
イザナギ・イザナミ神話を絡め、霊媒体質の可憐な少女あり、
神降しあり、半ゾンビあり、さらに「パラサイト・イヴ」系の
サイエンスホラーまで併せ持つ、骨太の作品でありました。
ラスト近くで明かされる、「黄泉醜女」の正体にはもうビックリ!
ただ、民俗学的な薀蓄がけっこう多いので、
興味ない人にはそのへんダルいかもしれませぬ。
うん、でも、読んで損はなかったな。内容濃ゆいー。

映画のほうは、もうレンタル返しちゃって手元に無いんで、
もう見直しできないんだけど。
これ…もっとマトモに映像化してれば、もうちょっと話題に
なったかもしれないのに…リングやらせん、呪怨みたいな、
一般人にどわーっとウケる感じじゃないけど、
ジミにいつまでも根深いファンに語られてたかもしれないのに…

ちょっと残念だなー。


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