今日は朝から雨が降り続いています。
もう秋雨であるせいか少し前まで感じられた地面から立ち上るような温い湿気というものはなく、鳥肌の立つような冷気が勝っています。昨日は『二日灸』の話を書きましたが、確かにこのような日が続けば身体をいたわりたくなろうというものです。
御日柄の事もありますが今日は人通りの少ない境内です
今日は暦上では『重陽の節句』。陽数(奇数)で最も大きい9が重なるめでたい日(或いは陽の気が強くなりすぎるため良くない日)で長寿を願い災難を祓う日とされています。
元は中国の行事でしたが日本にも伝わり、平安時代には詩歌を詠んだり菊酒を飲むといった宮中の行事として定着していたようです。
民間でも菊酒を飲んだり栗御飯をたくなどして、江戸時代には七夕など他の節句よりも盛んであったと言われていますが、現在ではご存知の通り五節句の中でも特に行事色の薄いものになってしまっています。
一説には明治時代に旧暦に代わって新暦が採用されたことで9月9日が菊花の時期から外れてしまい、残暑も厳しい頃であるため季節感が失われて廃れてしまったのではないかと言われています。他の節句のように雛人形や七夕の笹飾りなど別のお祝いや行事と結びつくことがなかったせいでもあるかもしれません。
しかし今日は残暑を忘れてしまいそうなほどの冷ややかな一日。古い時代の菊花の宴に思いをはせて、長寿をというのは大げさでも家族の健康を祈るにはちょうど良い日なのではないでしょうか。