夢職で 高貴高齢者の 叫び

          

 包丁を使わない一人鍋

2017年11月15日 | 俺の料理

    

 男の料理教室へ行った。今日は包丁を使わないで調理するとのこと。包丁で怪我をすることを恐れて、調理できない初心者のための教室であると、先生は説明する。

俺は野菜を切る程度だったら下手でもできるが、そのうちに包丁を持てなくなる日がくるであろうから、その時のために真面目に勉強する。

 包丁の替わりに材料を手でちぎったり、調理用のハサミで切ったりするのだ。作るものは鍋料理だ。しかも 《一人鍋》という。

いよいよ一人だけになっても、食べていけるようにと、口には出さぬが先生は考えてくれているのだろうと思う。

 一人ずつに土鍋がくばられた。参加者全員のだし汁は先生が作って分けてくれた。鶏肉の団子も先生が作ってくれた。家で作るときはお店で売っているものを利用すればよいとのことだ。

 土鍋に鶏団子を入れた。鍋には肉や魚介類を先に入れ、野菜は後に入れると良いとのことだ。これだけはしっかり覚えておこう。

ねぎや白菜などの野菜をハサミで切って入れ、最後に豆腐を手でちぎって入れて出来上がり。

 食べてみた。とても美味しい。先生が作ってくれただし汁が良いから美味しく出来たのだろう。

 先生がだし汁を作っている様子を、俺はよく見ていた。昆布や鰹節、醤油、塩、みりんなどを、計量カップを使わずに適当に入れている。適当なのにちょうどよい味になるのだから不思議だ。

 先生は自宅で一人鍋を作るときは、鍋用のスープをお店で売っているから利用すればよいとのことだ。

 俺は考える。俺が一人で食べていかなければならなくなったら、一人鍋を作るのに、だし昆布を30分も水に漬けたり、鰹節を煮立ててだしを作るのでは、大変なことだ。お店でだしを買ってきた方が楽だろう。

 今回の包丁を使わない一人鍋の講習は、包丁を使ったこともない初心者のための講習とのことだが、俺にとっては、もしもに備えて、一人で食べていく時の勉強なった。

 

 しかしなあ、独りだけで食べていかなければならなくなった時のことを想像すると寂しいよ。