夢職で 高貴高齢者の 叫び

          

俺は、ボンゴレ・ビアンコ・スパゲッティを作った

2016年06月14日 | 俺の料理

 この頃スーパーへ行くと、爺さんが一人で買い物をしている姿をみかけるようになった。

婆さんが買い物に来られなくなったのか、一人暮らしの爺さんなのかと思う。

俺も、もしもに備えて、一人で食べていける術を体得しなければならないと深刻に考えるようになった。

料理の練習をしておかなければならないのだ。

だから、今日のお昼は俺が作ることにした。

しかし、女房の前で料理を作っていると、女房が口を出したり手を出したりするから、なかなか覚えられないのだ。

そこで俺は考えた。

女房が作ったことのない料理を作れば、口も手も出せないだろうと。

俺は、今までに女房が作ったことのない、アサリのスパゲッティを作ることにしたのだ。

ネットでアサリのスパゲッティの作り方を探した。

 まずは買い物だ。

スーパーへ行ってアサリを探した。

家には白ワインがない。

白ワインがなければ、酒でもよいとあったが、俺は白ワインを買うことにした。

美味しい料理を作るためには、ワインが必要なのだ。

ワインを買う口実が見つかったのだ。

残りのワインは味が悪くならないうちにと言って、早く飲めばよいのだ。

 まず、フライパンにオリーブオイルと唐辛子、ニンニクを入れて温めるのだ。

ニンニクは包丁の腹で押しつぶすと、レシピにある。

俺は、まな板にニンニクをひとかけら置いて、包丁の腹で押しつぶそうとしたが、少しもくずれない。

力いっぱい押し付けたが、ニンニクはびくともしない。

俺の体力では、ニンニクをつぶすことさへ、出来なくなってしまったのだ。

あきらめて、包丁で細かに切った。

 次に、フライパンにアサリを入れた。

ワインも入れた。

それに、キャベツをちぎって入れた。

レシピには、パセリを入れるとあるが、俺は間違ってバジルを買ってきてしまったのだ。

 俺はスーパーで、パセリがどこにあるか分からないので、店員に尋ねたのだった。

このとき、俺はパセリと言おうとしたのだが、なぜか、口から出た言葉は「バジルはどこにありますか?」だったのだ。

だから、店員は、わざわざ作業の手を休めて、バジルが陳列しているところを案内してくれたのだった。

 仕方がないから、バジルは出来上がったスパゲッティに添える事にした。

アサリのスパゲッティの出来上がりだ。

イタリアでは、ボンゴレ・ビアンコ・スパゲッティというそうだ。

長い名前だなあ。4・5回聞いただけでは覚えられない。

アサリと言うよりも、ボンゴレなどというと、いかにも高級な料理に感じるのだから不思議だ。

俺は女房に「ボンゴレ・ビアンコ・スパゲッティをどうぞ」と言ってごちそうした。

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 食べてみた。あまり美味しくない。

しかし、女房は美味しいという。

俺が一生懸命作ったものだから、仕方なく美味しいなどと、外交辞令みたいなことを言っているのだろう。

女房の美味しいという発音や、顔の表情から、本当はまずいのに、美味しいと言っているなと、俺は感じた。

しかし、あからさまに、まずいと本当のことを言われたのでは、俺は気落ちしてしまうからなあ。

 

俺はまずい料理を無理して食べる。

バジルは良い香りがした。

今回の俺の料理で一番よかったのは、

パセリと間違って買ってきたバジルの香りだけだ。

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 デザートは佐藤錦