夢職で 高貴高齢者の 叫び

          

俺の 恵方巻

2016年02月01日 | 俺の料理

節分にはちょっと早いが、俺は恵方巻を作ろうと思った。

先日はかっぱ巻きを作ったが、海苔にすし飯を均等に貼らなかったから、蛇が卵を飲み込んだような形になってしまったのだ。

今度は失敗しないように気を付けよう。

俺はスーパーへ行って具材を買い集めた。

まぐろとサーモンのさく、だし巻き玉子、かにかま、きゅうりだ。

いくらと、飛び魚の卵は家にあるものを使うことにした。

具材は7種類になった。

さぞ、美味しく素晴らしい恵方巻ができるだろうと想像する。

そば打ちに使うこね鉢にご飯を広げて、すし飯を作った。

巻きすに海苔を敷き、すし飯を貼りつける。

このとき、厚さが均等になるように気をつけた。

均等にしないと蛇が卵を飲み込んだようになるからだ。

具材を並べる。まず、まぐろを並べ、わさびを塗る。

それから、サーモン、だし巻き玉子、かにかま、きゅうりなどを並べた。

その上にいくらのつぶつぶを置いていく。

飛び魚の卵は、すし飯の上に振りかけた。

さて、巻き始めよう。

俺は緊張しながら、巻きすを巻いていく。

出来た。均等に巻くことができた。ため息がでた。

恵方巻の両端から具材がのぞいている。

俺にだって恵方巻は作れるのだ。俺はうれしくなった。

それから、食べやすいように二つに切った。

切り口から見える七つの具材を見て楽しむ。

いい気分だ。


さて、食べよう。今年の恵方は南南東だ。

幸い、テーブルの俺の席は南南東を向いている。

女房は俺の方を向いて食べようとしたから、俺は南南東と反対ではないかと注意した。

俺は女房の真後ろにいるかっこうになった。

だから、女房から俺の姿は見えない。

互いに何を願いながら食べるかは秘密だ。

二人で南南東を向いて食べ始めた。

 

俺は恵方巻をかじった。

すると、まぐろが抜けて口からぶら下がった。

こんな無様なかっこうは女房から見えないのだ。

二口、三口と食べていくと、今度は恵方巻の下の方から

サーモンがにゅるりと滑り落ちた。

主な具材がなくなった海苔巻きだけが手に残った。

巻きすで巻くときに、力が足りなかったためではないかと思う。

俺は抜けてしまったまぐろとサーモンに、醤油を付けて食べた。

これでは願い事がかなうはずがない。