女房の東京土産
江戸から伝わる、でんでん太鼓を背負った張り子の犬
今度の犬の干支が過ぎるまでの5年間 飾っておこう
女房は友達と東京へ出かけた。帰りは夜9時半ごろという。
出かけた後、俺は朝食の後片付けをした。
茶碗やお椀、小皿や鍋などを洗うと、水切りかごがいっぱいになった。
俺は夕食の準備をした。鍋に湯を沸かして具を入れるのだ。
沸騰した鍋に、シメジ、白菜、豆腐、味噌、ネギの順に具を入れた。
そこで、煮干しを入れ忘れたことに気がついた。それで、最後に粉末のダシをパラパラと振り掛けた。これで、味噌汁の出来上がりだ。
お椀によそろうとしたら量が多いのだ。二人分はあるのだ。全部食べないともったいない。
おかわりするのが面倒だから、お椀をやめて大どんぶりにした。こうすると、食事中に立ち上がらなくても済むのだ。
冷蔵庫を開けておかずを探した。小松菜のおひたし、なます、キムチ、ラッキョウの漬物を見つけた。これらを一つずつ小皿に分けたら、洗うのに手間がかかる。
名案が浮かんだ。一枚の大皿に並べればよいのだ。
洗うときは大皿と大どんぶりと茶碗とお箸2本だけで済むのだ。温水の節約になる。ガス代の節約にもなる。これがエコなのだ。
どうして女房は50年も主婦をやりながら、こんなことに気がつかなかったのだろ。
たまに俺が台所に立てばグッドアイデアが浮かぶのだ。
さて食事にしよう。俺は大ドンブリの味噌汁を口にした。まずい!!
原因を考えた。煮干しを忘れたので最後にダシの粉を振りかけたのがまずかったのだ。捨てるわけにはいかない。もったいないから、まずさをこらえて全部食べた。
明朝、女房は台所で 「ご飯が出来ていない」と叫んだ。
俺は女房の帰りが遅いので米を研いで電気釜にセットしたつもりだったが、予約のスイッチを押し忘れていたのだ。