週末、マンチェスターのヴィンテージ・ホーム・ショウ Vintage Home Show という古家具、ヴィンテージ雑貨のマーケット・イベントに行きました。

会場は、ヴィクトリア・バス Victoria Baths 。

マンチェスターのタウンセンターから歩くと20分ぐらいでしょうか。
マンチェスター大学、マンチェスター博物館、ウィットワース美術館(いずれも大学所有)などのあるユニバーシティ・エリアのすぐ近くに位置する、エドワード時代の市民プールだった建築物です。
オープンしたのは、1906年、9月。
マンチェスター市が建設、開放したそれはそれは豪華な、当時のマンチェスターの繁栄ぶりを世界に誇示する世界最高水準の市民のためのレジャー施設だったのです。
男性用の「ギャーラ(一等)プール male Gala pool」、男性用の「セカンド・クラス(二等)プール male second-class pool」、女性用「female pool」の三つの温水プールに、市民が利用できる洗濯施設 laundry、1人用の浴槽のある個室 private bathes (男女別それぞれ等級あり)、トルコ風呂 Turkish baths (蒸し風呂) がありました。
「男性用二等プール」の入り口。

等級によって入り口が違います。もちろん料金も違います。
一番立派で入場料も高かった、ギャーラ・プール。

「トルコ風呂」の内部です。


こちらは一番小さな女性用プール。

産業革命を世界に先駆けて完成した、「世界の工場」イギリスのそのまた工業の中心地、マンチェスターの 隅々にまで贅を凝らした装飾が当時の太っ腹(成金)ぶりを物語っています。



マンチェスターの繁栄も長くは続かず、戦後、綿織物の生産の中心がインドや東南アジアに移行した後は景気が後退...この豪華絢爛、時代がかったレジャー施設を存続維持することが困難になりました。
1950年代に男性用の「二等」プールが埋め立てられて、「スポーツ・ホール」に改装されました。

改装された当時は「ダンス・ホール」として利用されていたらしいのですが、現在メインのイベント会場に活用されています。
建物を裏側から見たところです。

私がマンチェスターに留学中の1993年に永久閉鎖されました。
最後には使用されていたのは一番小さい(もと)女性用プールだけだったそうです。
行ってみなかったのが残念です。
学生課で下宿先として紹介されたテラスト・ハウス(棟割り長屋)を見に来た時、すぐななめ前にあるこのヴィクトリア・バスに圧倒されました。
解放されている市民プールだと知り、再び驚愕。
けっきょくその家には下宿しなかったのですが、そのうち戻って入ってみなくては(そうだ、水着を持ってない)...などと思っているうちに1年も閉鎖されていました。
そして、20年以上前、この通りと平行に走るとなりの通りに半年ほど住んだのですが...
当時の夕方の散歩道でした...閉鎖されてからほんの4,5年の間にひどくボロボロに荒廃した建物の状態にまたショックを受けました。
星付き第二級保存指定建築 Grade II* Listed Building (=準一級)なので取り壊すわけにもいかなかったんですね。
再建修復するべき「連合王国で最も市民に愛される半壊(ボロボロ)建築物」を視聴者投票で選ぶ「Restration」というBBCのテレビ番組で優勝したのは2003年です。
賞金として修復、保存費用として充てられることになった宝くじの収益金の莫大な金額が、実は焼け石に水 だったのが判明したのは修復活動が起動してから....
文化財の修復、保存費用をいったんつぎ込んだからには途中でやめるわけにはいきません。
番組放送以後、市民の注目度もグーンとアップ、修復そしてプールとして再オープンへの期待がどんどん高まっていきました。
私も修復存続嘆願書に署名しましたし、少額の寄付もしました。オープンデイに説明を聞きにもいきました。
閉鎖と同時に結成され、市民の文化遺産を忘れられた存在にしないために地道に活動を続けてきた「ヴィクトリア・バス友の会 The Friends of Victoria Baths」が、以後は市民を巻き込んでの長い長い 修復活動に乗り出したのでした。
維持費がかかりすぎるため、プールの再開は現在のところ視野に入ってはいないそうです。
それでも市民の生活史遺産として保存活動が続行されています。
修復がかなり進んだ現在、この建物は現在イベント会場としてフェアやマーケット、コンサートや映画上映会などに使われています。
当時まだかなり危険な状態で、指定された順路以外歩くことを許されなかった10年ほど前、2回目の見学ツアーに参加して以来 戻る機会がなかったのですが、今回の楽しそうなヴィンテージ・フェア、友達といってみることにしたのです。
早くついたので開場前に周りを散歩しました。

路上に金髪のカツラが落ちていました。
続きと、ヴィンテージ・フェアに関してはまた次回に。

会場は、ヴィクトリア・バス Victoria Baths 。

マンチェスターのタウンセンターから歩くと20分ぐらいでしょうか。
マンチェスター大学、マンチェスター博物館、ウィットワース美術館(いずれも大学所有)などのあるユニバーシティ・エリアのすぐ近くに位置する、エドワード時代の市民プールだった建築物です。
オープンしたのは、1906年、9月。
マンチェスター市が建設、開放したそれはそれは豪華な、当時のマンチェスターの繁栄ぶりを世界に誇示する世界最高水準の市民のためのレジャー施設だったのです。
男性用の「ギャーラ(一等)プール male Gala pool」、男性用の「セカンド・クラス(二等)プール male second-class pool」、女性用「female pool」の三つの温水プールに、市民が利用できる洗濯施設 laundry、1人用の浴槽のある個室 private bathes (男女別それぞれ等級あり)、トルコ風呂 Turkish baths (蒸し風呂) がありました。
「男性用二等プール」の入り口。

等級によって入り口が違います。もちろん料金も違います。
一番立派で入場料も高かった、ギャーラ・プール。

「トルコ風呂」の内部です。


こちらは一番小さな女性用プール。

産業革命を世界に先駆けて完成した、「世界の工場」イギリスのそのまた工業の中心地、マンチェスターの 隅々にまで贅を凝らした装飾が当時の太っ腹(成金)ぶりを物語っています。



マンチェスターの繁栄も長くは続かず、戦後、綿織物の生産の中心がインドや東南アジアに移行した後は景気が後退...この豪華絢爛、時代がかったレジャー施設を存続維持することが困難になりました。
1950年代に男性用の「二等」プールが埋め立てられて、「スポーツ・ホール」に改装されました。

改装された当時は「ダンス・ホール」として利用されていたらしいのですが、現在メインのイベント会場に活用されています。
建物を裏側から見たところです。

私がマンチェスターに留学中の1993年に永久閉鎖されました。
最後には使用されていたのは一番小さい(もと)女性用プールだけだったそうです。
行ってみなかったのが残念です。
学生課で下宿先として紹介されたテラスト・ハウス(棟割り長屋)を見に来た時、すぐななめ前にあるこのヴィクトリア・バスに圧倒されました。
解放されている市民プールだと知り、再び驚愕。
けっきょくその家には下宿しなかったのですが、そのうち戻って入ってみなくては(そうだ、水着を持ってない)...などと思っているうちに1年も閉鎖されていました。
そして、20年以上前、この通りと平行に走るとなりの通りに半年ほど住んだのですが...
当時の夕方の散歩道でした...閉鎖されてからほんの4,5年の間にひどくボロボロに荒廃した建物の状態にまたショックを受けました。
星付き第二級保存指定建築 Grade II* Listed Building (=準一級)なので取り壊すわけにもいかなかったんですね。
再建修復するべき「連合王国で最も市民に愛される半壊(ボロボロ)建築物」を視聴者投票で選ぶ「Restration」というBBCのテレビ番組で優勝したのは2003年です。
賞金として修復、保存費用として充てられることになった宝くじの収益金の莫大な金額が、実は焼け石に水 だったのが判明したのは修復活動が起動してから....
文化財の修復、保存費用をいったんつぎ込んだからには途中でやめるわけにはいきません。
番組放送以後、市民の注目度もグーンとアップ、修復そしてプールとして再オープンへの期待がどんどん高まっていきました。
私も修復存続嘆願書に署名しましたし、少額の寄付もしました。オープンデイに説明を聞きにもいきました。
閉鎖と同時に結成され、市民の文化遺産を忘れられた存在にしないために地道に活動を続けてきた「ヴィクトリア・バス友の会 The Friends of Victoria Baths」が、以後は市民を巻き込んでの長い長い 修復活動に乗り出したのでした。
維持費がかかりすぎるため、プールの再開は現在のところ視野に入ってはいないそうです。
それでも市民の生活史遺産として保存活動が続行されています。
修復がかなり進んだ現在、この建物は現在イベント会場としてフェアやマーケット、コンサートや映画上映会などに使われています。
当時まだかなり危険な状態で、指定された順路以外歩くことを許されなかった10年ほど前、2回目の見学ツアーに参加して以来 戻る機会がなかったのですが、今回の楽しそうなヴィンテージ・フェア、友達といってみることにしたのです。
早くついたので開場前に周りを散歩しました。

路上に金髪のカツラが落ちていました。
続きと、ヴィンテージ・フェアに関してはまた次回に。
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