「難民条約」という条約がある。正式には「難民の地位に関する条約」という。
第2次世界大戦後、急増した難民に対処するために作られた条約だ。
難民に対して不法入国や不法滞在の罪を問うてはいけないこと、その難民を迫害する国に送り返してはならないことなどが定められている。
日本は1981年に加入した。
しかし、どうやら日本はあまり難民を受け入れていないようだ。
日本の2016年の申請者に対する難民認定率は0.3%だ。
多い国と比べるのはなんだが、カナダは67%、アメリカは62%、ドイツは41%だ。
ケタ違いの数字だ。考えられる理由は2つだ。
1つは、日本とその他の国では難民の認定基準が異なっている。
もう1つは、なぜか日本にだけ偽装難民がやってきている。
条約の主旨に照らしても、難民の認定基準が受入国によって異なることは考えにくい。
難民認定基準が受入国によって異なれば、難民の地位が不安定になるからだ。
しかし日本にだけ偽装難民がやたらとやって来るというのも考えがたい。
偽装難民であれば、認定率の高い国を選ぶはずだからだ。
認定率が0.3%の国にわざわざ偽装してまで難民として申請する人(やブローカー)はいないだろう。
だとすれば、日本は難民条約に加入していながら、独自の基準で運用を行っていることが推論される。
技能実習生制度もそうだが、観光客でないような外国人に対して日本はかなり冷淡な扱いをする。
難民と認定されれば、永住許可への道が開かれ、日本国民と同様の手当などを受けられるようになる。もちろん日本での労働も可能だ。
認定されない場合は、そのまま入国者収容所に入れられるか、法務大臣から「在留特別許可」が下りるかだ。
在留許可は3〜6ヵ月おきに更新が必要で、特別な許可を得ないかぎり、いかなる労働も認められない。
その他に「仮放免」という不安定な状態もある。
ほんらい収容されているはずの入国者収容所から一時的に身柄の拘束を解かれた状態だ。
当然、労働はできない。また、何の違法行為をしなくても突然、収容されることがある。
難民とは、さまざまな理由で母国から逃げるようにして来た人たちだ。金銭的な余裕はないだろう。
(偽装難民も同じだ。偽装難民は仕事を求めて来ているはずだからだ。)
すでに日本で生活している同国人で、後から来た同国人をサポートできるほどの金銭的余裕のある人はそれほど多くはあるまい。
日本国からの公的な援助がなければ生活できるはずもない。
ほとんどの人は労働せざるを得ない。しかしそれは違法である。
違法なことをしなければ生活できない状態に「仮放免」する。あるいは「在留特別許可」を出す。
(違法なことをしていなくても、仮放免の人はいつでも収容できるのだが。)
少なくとも難民申請をして日本にいる多くの人たちの地位がそんな状況だ。
「難民の地位に関する条約」という名前から想像されるものとはだいぶ異なるのではないか。
1000人のうち3人しか難民認定しない。
言い方を換えれば、難民申請をした人の997人は難民ではないと認めたことになる。
難民でないなら、それは不法入国者や不法滞在者になるはずだ。
であれば、来た国に強制送還すれば良い。そのほうがすっきりしている。
しかしそれはできないのだろう。難民条約では、難民を迫害する国に送り返してはならないと決まっているからだ。
難民申請者の中には偽装をしている人もいるだろう。
しかしカナダやアメリカやドイツを基準にすれば、認定率が0.3%というはあまりにかけ離れている。
カナダやアメリカやドイツの認定機関があまりにも間抜けで、日本のそれはあまりにも優秀とでも言うのか。
おそらく、何らかの理由で難民を認定したくないのだろう。
その理由のひとつは簡単に推論できる。多くの難民を認定したときに生じる状況を避けたいのだ。
すなわち、永住権を持った外国人が日本社会にたくさん存在することだ。
もしそうであれば、この社会は、本当に助けを必要としている人たちを多く見捨てていることになる。
外国人だから見捨てるというなら、日本人であるという理由だけで、外国からそのように扱われること私たちは受け入れねばならない。
外国人だから見捨てるという社会は、いずれ同じように日本人も(たとえば、生産性がないという理由で)見捨てる社会を作るだろう。
そんな社会でも見捨てられないように頑張るのか、そんな社会を作らないように頑張るのか。
この社会で生きている人は、そんな選択を迫られている気がする。
第2次世界大戦後、急増した難民に対処するために作られた条約だ。
難民に対して不法入国や不法滞在の罪を問うてはいけないこと、その難民を迫害する国に送り返してはならないことなどが定められている。
日本は1981年に加入した。
しかし、どうやら日本はあまり難民を受け入れていないようだ。
日本の2016年の申請者に対する難民認定率は0.3%だ。
多い国と比べるのはなんだが、カナダは67%、アメリカは62%、ドイツは41%だ。
ケタ違いの数字だ。考えられる理由は2つだ。
1つは、日本とその他の国では難民の認定基準が異なっている。
もう1つは、なぜか日本にだけ偽装難民がやってきている。
条約の主旨に照らしても、難民の認定基準が受入国によって異なることは考えにくい。
難民認定基準が受入国によって異なれば、難民の地位が不安定になるからだ。
しかし日本にだけ偽装難民がやたらとやって来るというのも考えがたい。
偽装難民であれば、認定率の高い国を選ぶはずだからだ。
認定率が0.3%の国にわざわざ偽装してまで難民として申請する人(やブローカー)はいないだろう。
だとすれば、日本は難民条約に加入していながら、独自の基準で運用を行っていることが推論される。
技能実習生制度もそうだが、観光客でないような外国人に対して日本はかなり冷淡な扱いをする。
難民と認定されれば、永住許可への道が開かれ、日本国民と同様の手当などを受けられるようになる。もちろん日本での労働も可能だ。
認定されない場合は、そのまま入国者収容所に入れられるか、法務大臣から「在留特別許可」が下りるかだ。
在留許可は3〜6ヵ月おきに更新が必要で、特別な許可を得ないかぎり、いかなる労働も認められない。
その他に「仮放免」という不安定な状態もある。
ほんらい収容されているはずの入国者収容所から一時的に身柄の拘束を解かれた状態だ。
当然、労働はできない。また、何の違法行為をしなくても突然、収容されることがある。
難民とは、さまざまな理由で母国から逃げるようにして来た人たちだ。金銭的な余裕はないだろう。
(偽装難民も同じだ。偽装難民は仕事を求めて来ているはずだからだ。)
すでに日本で生活している同国人で、後から来た同国人をサポートできるほどの金銭的余裕のある人はそれほど多くはあるまい。
日本国からの公的な援助がなければ生活できるはずもない。
ほとんどの人は労働せざるを得ない。しかしそれは違法である。
違法なことをしなければ生活できない状態に「仮放免」する。あるいは「在留特別許可」を出す。
(違法なことをしていなくても、仮放免の人はいつでも収容できるのだが。)
少なくとも難民申請をして日本にいる多くの人たちの地位がそんな状況だ。
「難民の地位に関する条約」という名前から想像されるものとはだいぶ異なるのではないか。
1000人のうち3人しか難民認定しない。
言い方を換えれば、難民申請をした人の997人は難民ではないと認めたことになる。
難民でないなら、それは不法入国者や不法滞在者になるはずだ。
であれば、来た国に強制送還すれば良い。そのほうがすっきりしている。
しかしそれはできないのだろう。難民条約では、難民を迫害する国に送り返してはならないと決まっているからだ。
難民申請者の中には偽装をしている人もいるだろう。
しかしカナダやアメリカやドイツを基準にすれば、認定率が0.3%というはあまりにかけ離れている。
カナダやアメリカやドイツの認定機関があまりにも間抜けで、日本のそれはあまりにも優秀とでも言うのか。
おそらく、何らかの理由で難民を認定したくないのだろう。
その理由のひとつは簡単に推論できる。多くの難民を認定したときに生じる状況を避けたいのだ。
すなわち、永住権を持った外国人が日本社会にたくさん存在することだ。
もしそうであれば、この社会は、本当に助けを必要としている人たちを多く見捨てていることになる。
外国人だから見捨てるというなら、日本人であるという理由だけで、外国からそのように扱われること私たちは受け入れねばならない。
外国人だから見捨てるという社会は、いずれ同じように日本人も(たとえば、生産性がないという理由で)見捨てる社会を作るだろう。
そんな社会でも見捨てられないように頑張るのか、そんな社会を作らないように頑張るのか。
この社会で生きている人は、そんな選択を迫られている気がする。