「染まずただよふ」

・・・塾講師スミレの日記・・・

北のイメージ

2012年07月20日 |   中3 
中3国語では俳句の鑑賞に入りました。
今年から教科書が新しくなったので、私自身も初めて目にする句があって興味深いです。

生徒たちにとって、一句十七音で完結する俳句は
集中力が切れずに一気に読めて取り組みやすそうです。
出来事をそのまま書いた句が多いので、一見内容もわかりやすいし。

逆に言うと、教科書3ページくらいの文章でも「長くてよく理解できない」
と感じている生徒がけっこういるという現実があります。
学校で何回も読んでいるはずなのに、何が書いてあるか全然わかっていないとか
信じられないレベル…。

で、俳句のハナシに戻りますが。
言葉の数が少ないので読みやすいとはいうものの
季語と季節の感覚が乏しいというのが致命的。
加えて語彙も少ないので、「鑑賞」というところまで到達できない生徒は多いです。

なぜその季語を使ったのか、なぜその言葉をチョイスしたのか
あるいは十七音には載せられなかった情景を深読みしたりすると
たくさんの言葉でつづられた文章に負けないくらいおもしろいんだけどなあ。
そのおもしろさを少しでも伝えられたらいいなと思って授業をしています。
ただ、「塾」なので、学校とは違って問題を解く作業が中心になってしまいますが。

今日の授業では、「いなびかり北よりすれば北を見る」という俳句について
“「北」という言葉の持つイメージとして適切なものを選びなさい”
という問題に取り組みました。
実際に北の方角だった、ということもあるかもしれないけど
「北」という方角が持つイメージや、「キタ」という音が与える効果を気づかせる問題です。

 「南」だったら、なんとなく南国のイメージで暖かくて陽気な気がしない?
 でも「北」っていうと、なんか寒くて厳しい感じがするでしょ?
と言ってみたら、だいたい納得してくれた様子。

ついでに「皆さんは若いから知らないかもしれないけど」と前置きをして
 「北枕」って知ってる?死んだ人は枕を北向きにして寝かせるから
 生きているうちに北に枕置いて寝てるのは不吉な感じがするわけ。
と言ったら、みんな自分がどの方角に枕を置いているか検証が始まりザワザワしてました。
そしてある生徒から「センセー!オレんちって塾からどっちの方角?」という質問が。
残念ながら、キミんちを知りません。 そもそも、それ聞いて枕の方角わかるの?
どさくさに紛れて「さっき『皆さんは若い』と言いましたがセンセーは何才ですか?」という質問も。
そいうところはよく聞いてるなー。「地獄耳」って言葉知ってる?

「鬼門」のハナシも出そうと思ったのですが、「北」のイメージはつかめたようだし
時間もなくなってしまったので割愛。
正しい選択肢を選べたところで次の問題に移りました。

一句一句にたいして時間をかけられないけど、少しは関心を持ってくれたかなあ…。