スミダマンのほのぼの奮戦記

~グルメ・旅・仕事・自然・地域~あらゆる出来事をフラッシュバック。

浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編95~

2016-02-13 07:25:08 | 食~番外編(都内)

すきやばし次郎

東京都中央区銀座4-2-15 塚本素山ビルB1

TEL 03-3535-3600

営業時間11:30~14:00  17:30~20:00

予約のみ来店可(毎月1日 日曜1月は除く、朝9時から翌月分の予約受付)

とうとうこの時が来た。鮨業界のレジェンド小野二郎氏

御歳90才。ご本人が握ってくれる夢の世界に行くチャンスを得た

如何せん、年齢が年齢だけに、いつでも行けるという訳でもなく、半ば

諦めていた所、しかも料理評論家の山本益博氏の解説付という最高の形で実現した

ご覧の様に小野二郎巨匠が外まで出て迎えてくれた

恐縮の至りであった。

「すきやばし次郎」の献立は「おまかせコース」のにぎりのみ

「おまかせ」の品書きは、当日、朝、にぎりの順番が決められ作られる

達筆な二郎さんのサインも付いており、家宝になるお品書きだ

品書きには江戸川柳「握られて出来て食いつく鮨の飯」が書かれていた

全部で20貫。山本氏曰く「今日のコースは3つの楽章に分かれているシンフォニーで

特に真ん中の第2楽章(むしあわびからはまぐりまで)がすごい。

この「おまかせコース」は二郎さんと山本氏と他の

人と3人で一緒にあらゆるものを食べまくって

出た結論だとか。コースのシナリオは

フレンチコースからヒントを得たと言っていた。

小野二郎 90才。静岡県天竜市(現浜松市天竜区)出身

ミシュラン史上最高齢の3つ星シェフだ

氏は7歳で地元料理店に奉公。昭和26年に鮨職人になる

昭和40年に独立。銀座の現在地に

「すきやばし次郎」を開店

平成4年、ヘラルド・トリビューン・インターナショナル誌で

世界のレストラン第6位に選出

平成19年、日本で初めて出版されたミシュランガイド

東京で3つ星を獲得。以後毎年3つ星獲得

2年前アメリカ合衆国オバマ大統領訪日の際

安倍首相とここで会食を行ったことが話題に成った

同年、秋の叙勲で黄綬褒賞を受賞した

当店の店主は長男禎一氏。次男隆士氏は13年前に六本木で独立した

客席はカウンター10席しかなく、トイレは他店と共同

二郎さん(親しみを込めてさん付で書きます)は

手の保護の為、外出時は必ず手袋をはめているという気の配り様

毎日指を動かしているのでボケないんですヨと笑顔一杯で言っていた

「すきやばし次郎」の食べ方はにぎりが目の前にある黒板の上に置かれたら

すぐに召し上がる。握り終わった状態が、いちばん美味しい状態に仕上げてあるから。

ここには小皿の醤油は無い。にぎりには煮切り醤油が引かれてあるから

尚、当店は一切撮影禁止の為以下は

次郎さんの本から掲載いたしました。

一番バッターは味の淡い自身から「ひらめ」

昔ながらの江戸前の鮨屋では、まぐろから握られるのが

常であった。これは江戸前の鮨屋を代表するすし種であったから

それを味の濃淡を考え、ひらめから

握るようになったのは次郎のオリジナルだ

次郎では夏場、あおりいかをすし種として握ってきたが

このところ不漁でほとんど登場しなくなった

今では次郎でいかといえば「すみいか」

すみいかはいっときやせたもので出ますが

年中美味しいいかと言う

 

3貫目は「ぶり」だがこれだけは写真が無い

というのも、次郎では3,4年前から作り始めたとか。

「あかみ」とはまぐろの赤身のこと。今から150年以上前の江戸時代は

冷蔵設備が整っていなかったので、大きな

まぐろの脂身(トロ)は使わず、赤身の塊を醤油樽の中に

漬けて保存し、これを「づけ」と呼んだ

次郎では予約に合わせて人数分をその都度「づけ」にする。

二郎曰く「あかみ」は「こはだ」と並んで

江戸前のにぎりの横綱ですね。

二郎曰く「まぐろの中でも旨味の点で言えば「ちゅうとろ」

が一番じゃないでしょうか。握るときに手でつかんだ瞬間

脂の乗りがすぐわかります。どこまで寝かせて

熟成させるか、それが腕ですね。その為に、毎日味見を欠かしません

「まぐろがないとのれんが出せませんので、いま一番の悩みの

種と言っていいでしょうか」

「おおとろ」といえども脂が乗っているより、香りを

重視したまぐろが次郎ではお好み

二郎「いいまぐろを握っているときほど、気持ちのよいものはありません。

大間のまぐろがいいと言われますが

本当にいいまぐろは大間といえども

100本に1本あるかないかの程度じゃないでしょうか」

「次郎で最も大切なすし種は何でしょうか?」の問いに

二郎は「こはだ」と即答した

「こはだがうまくできなきゃ鮨屋はのれんが出せません。

旨味が出るまでしっかり締めますが、生のときは

わからずに酢締めにしたあと、石油臭さが残っている時がある。

それはすべて処分します。

ですから厄介な魚なんです」次郎ではこのこはだを少し

斜めにひねって握る

「むしあわび」ここから第2楽章

あわびは夏の貝の王様で普通は冬ではありえない。

次郎では硬くならず

磯の香りを活かすために、水と酒で3~4時間煮る

そしてそのまま煮汁につけて冷ます

あわびはとても握りにくいすし種で、そのために包丁を

小刻みにアールに入れて切る。

「最近になって温めてから握るようになりました。

熱かいあわびの次は冷めたい「あじ」

すし種の温度もストーリーを考える時の一つ

二郎曰く「築地から買ってきたら、まず初めに手をつけるのはあじ。

内臓を素早く取り除き、すぐに

氷水で洗い、冷蔵庫に入れます

こうすると鮮度も落ちないし、生臭さも出ません。」

一通り食べたあとのもうひとつでも一番人気は「あじ」だという。

どこの鮨屋でも「たこ」は通年あるが、次郎では真冬に

初めて登場する。フレンチの名匠ジョエル・ロブションが

「ラングースト(伊勢海老)の味がする!」と感嘆の

声をあげた。たこは二郎自ら塩で1時間

揉んで、その味と香りを引き出す

次郎の「たこ」は冬のスペシャリテ

脂の乗った「さより」は舌の上を滑るような透明感

のある旨味を感じさせるひかりものの魚だ

二郎曰く「昔は細魚と書くように、細目のさより

でも脂が乗ったのがあったので、ひねって握ったんですが

最近のは太いのが多くて、ひねることができなくなりました。

いわしが豊漁になってくると、さよりが品書きに

載る機会が少なくなってきている。

 

いまでは、あちこちの鮨屋で「くるまえび」を握る

寸前に茹で上げるようになったが、それを最初に

始めたのは「すきやばし次郎」。今から25年前のこと。

二郎曰く「夏場が美味しいですね。茹でたてを少しだけ冷まして

握ることで、えびのみそを楽しんでいただけるようになりました。

でも、このみそをはみださずに握るのは難しい。水分が多いから

握るとき滑ってしまうんです。」

 

ロンドンの有名店のオーナーが次郎のカウンターで

「私はさばが世界で一番好き」と言いながら、舌に差し込むような

旨味十分の締め鯖のにぎりを食べて絶句してしまった。

二郎曰く「締め方が甘いとさばの旨味は十分に出て来ません

うちでは1週間程酢締めにします」

外国人はさばが好きなようだ。

「はまぐり」は江戸時代から、いまの東京湾で盛んに獲れた

はまぐりは、まぐろ、こはだ、あなご、と並ぶ

江戸前のにぎりずしの古典だ

二郎曰く「貝は煮るとすぐ硬くなるので、短時間に火を通し、

その煮汁に砂糖、醤油などの調味料を加えたものに漬け込んで

味を調えます。」

甘くてジューシーな味わいのはまぐりが酢飯にとてもよく合う。

「うに」からいよいよ第3楽章

次郎のうにの鮨を頬張って「まるでクリームを食べているみたいだ」

と絶賛したのがジヨル・ロブション。

北海道産のうにを使うが、毎朝、炭であぶった

香り高いのりを合わせるところが他店と大きく違うところ。

二郎曰く「うにを山盛りにしてますが、一口で頬張ると

うにとのりと酢飯がいいバランスでひとつになるのです。

「こばしら」はばか貝の柱。次郎のこばしらは名前と

は違って大きく立派。コースの後半、軍艦巻きで登場する。

二郎曰く「うちではのりを毎日炙っていますが

そののりと相性がいいんです。でも最近、大粒のものが手に入りにくくなってきた

一説には近々、なくなるかもしれないと。

今のうちにしっかりと味を覚えといてください。

次郎では、築地で酢飯と合う、活けの魚しか仕入れてこない

養殖の魚、冷凍の魚介は一切扱わない

そのなかにあって、唯一の例外が「いくら」である

二郎曰く「いくらを秋の旬だけでなく、一年中出せない

かと冷凍にすることを考えました。

うちのはいくらの醤油漬けなんですが、魚卵を鶏卵のように

仕立ててあり、卵かけごはんみたいと言われた

ときは嬉しかったですね」。

二郎曰く「とても柔らかく煮上げてありますから

「あなご」を握るのが難しい。ひょっとすると、一番難しいかもしれません

握るときは「あなご」の上からはほとんど力を加えてません。

力を入れているように見えても

さわっているだけです。(笑)」

次郎では煮上げた段階で完結しているので

握る際にあぶったりはしない。

ごはんの旨さを感じて!という「かんぴょう巻き」

二郎曰く「以前はかんぴょうを用意してもほとんど

注文がありませんでした。ところがお薦めしている

うちに人気が出てきて、今では終始かんぴょうを煮ています。

昔の様にいいかんぴょうがなかなか手に入らないのが残念です。」

おまかせメニューの最後を飾るのが「たまご」

外国の方はオムレットと呼ぶ人もいる。

二郎曰く「うちではこれが焼けるようになったら、職人として一人前です。

玉子のほか、大和芋、海老がふんだんに入っています。

一枚焼くのに超弱火(人が通ると消えてしまう程)で

約1時間かかります。かつては酢飯と一緒に握って

お出ししてたのですが、「おまかせ」でたくさん

にぎりを召し上がられた後なので、今は

そのままデザートのようにお出ししています。

とにかく、二郎さんのかくしゃくとして、動きが俊敏なのには驚きました

カウンター席9人を相手に20貫。

一挙に180貫握ったということです。

90才ですごい集中力がヒシヒシと伝わってきて

その気迫で圧倒されながらいただいたというのが本音です。

今回、一番見たかったのは伝説の握り

外側 米2列が握られていて、内が透き通って

見える程、空気が入っている握り

ちょっと上にあげてしみじみ見ようと思ったが

そんな邪道ができる空気でありませんでした

お櫃からシャリを最初の一握り強く握って

あとは触れるだけと山本益博さんはその技を説明してくれました。

そしてすし種とシャリの大きさのバランスがすごくいい

逆に言えば種の大きさがエッとびっくりする程

立派なものが多かった

20貫のほとんどが唸ってしまう程の素晴らしさだったが

個人的に「これ何!参りましたと

理屈抜きですごかったのは、第2楽章の

「むしあわび」「あじ」「たこ」「くるまえび」

第3楽章「うに」「たまご」だった

 

浦和エリア旨い店シリーズを今まで約350件程

掲載してきましたが、最も強烈な印象を

持ったブログを楽しみながら一挙に書き上げました

小野二郎さん、いつまでもお元気で!!

 

 

 


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