語る、シェフ

小さなレストランのオーナーが、日々の出来事を語ります。

今日こそ2日目最後・・・無理だなぁ~!?

2008-08-20 01:42:06 | シェフの夏休み
僕らは元気に橋を渡り、突き当りを当然左に曲がり山すそに沿って進んだ。

僕は、川をはさんで左ななめ前方を指差し、「あの辺が駅だね。」なんて余裕で言った。

左手の山はかなり急斜面だ。そこの張り付くようにハイキング用の小道が整備されている。

まだ新しいようで、きれいに整備されていた。



そして山からはたくさんの小さな川が、本当に細い川が、大井川に流れ込んでいる。

当然そこは、谷のようになっているので橋がかかっている。何個あったかな?7個か8個か?それくらいかな?

みんな新しくてきれいな橋だった。最初のうちは、僕が先頭になってつり橋を揺らしたりはしゃいでたが、

どうやら、こっち側に来たのは間違いだったようだ。



想像してみてください。
川幅の広い大井川、そこのかかる2本の橋。もし目的地が同じ側の岸にあるとしたら?
そう、普通に考えて橋は渡らない。もし渡ったら、もうひとつの橋も渡らなければいけないわけだ。
まとめてみよう。要するに僕たちは四角形の1辺じゃあなく、3辺を歩かなければならなくなったわけだ。


  

   
写真右中央に見えるのが最初に渡った橋





しかし気づいた時は既に、もうだいぶ来ていた。もう、とにかく進むしかない。

道は整備されていて歩きやすいのだが、けっこうアップダウンがあり、橋も多い。

それになぜか風がまったく無いといっていい。汗は拭いても拭いても噴き出てくる。

それでも妻も息子も、文句ひとつ言わず?頑張って付いて来てくれて本当に嬉しかった。(冷汗)

最後の橋を渡りきり、大井川を渡る大きな橋のたもとに、

ちょっとした広場があって、椅子と机があったのでそこで少し休憩した。

ペットボトルに用意してきた飲料も、もう底をついた。





さあ、出発だ。あの橋を渡れば駅も、もうすぐな・・・はずだ。

橋を渡りながら、川をのぞきこむ。この時期、水は少ない。

橋を渡ると県道は、緩やかに左にカーブする。そのずーっと先には、僕らが渡ったつり橋型の橋が見える。

とにかく辿り着いたようだ。県道の右側には民宿があり、おじさんが庭仕事をしていた。

玄関の前には、この世のことを知りつくした様な犬が寝そべっていて、僕らが通るとチラッと見た。

僕らは、民宿の玄関脇の自動販売機で飲み物を2本買い、駅に向かおうとすると

民宿のおじさんが、「駅に行くのかい?それなら庭通っていきな。」と言ってくれた。

なるほど、民宿の裏の小高い所が駅になっているんだ。

僕らは、「ありがとう」と言うと、駅に向かった。





ところが、改札は線路の向こう側だった。線路沿いに少し歩き、踏み切りを渡ってまた線路沿いに駅に戻る。

やっと駅だ。何とか予定していた列車に間に合った。

ふと見ると、さっきのカップルが汗だくでベンチに座っていた。

お互いに、どちらともなく手を振った。

「イヤ~あの橋渡ったんですか?」と彼。

「だって君達が、渡ってたから渡っちゃたよー!!」そう言うと、女の子が、

「きみも全部歩いたの?すごいね~」と息子を褒めていた。





その後、電車が来るまでの数分、「あの橋を渡らないでまっすぐ歩いて来れば・・・」と言う話に花が咲いた。

考えてみれば、この炎天下の中アップダウンもあるこの道のりを、2時間も2人とも良く頑張ってくれました。

妻も息子も一度たりとも「もう歩けない、だっこして~」と言わなかったのは本当にすごい。

ありがとうございました。

「5歳の子には過酷だ。」と妻がつぶやいていましたが、まったくその通りです。





コメント
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