思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

刹那の詩(うた)

2011年06月27日 | つれづれ記

 Eテレの日曜午後6時の時間帯は、「白熱教室」の時間帯です。昨日26日から東京工業大学の「白熱教室」が始まりました。

 サイトによる紹介には、

宇佐美 誠教授の「白熱教室」

 東京工業大学大学院、宇佐美誠教授による「法哲学」の講義を取り上げます。この講義では、法律をつくる際の前提となる「正義」、「自由」、「平等」について考えます。東工大は、科学の発展を担う者には幅広い教養が不可欠という考えから人文系の教育にも力を入れています。授業は、貧困や環境問題など実生活で起こりうる具体的な社会問題をテーマに、4回にわたって討論形式で行われ、3・11震災後の日本社会のあり方についても広く議論していきます。

 第1回 「正義は国境を越えられるか」 6月26日(日) Eテレ 午後6時第1回の討論では、「いま日本が、途上国の貧困層への支援に多額の支出をするのは、疑問だ。東日本大震災国内の被災者へ支援は緊急の課題であり、ワーキング・プアの状況も深刻である。
こうした国内の不利な人々をまず十分に支援すべきで、海の向こうの人々のことはその次だ」という意見に賛成か、反対か、そしてその理由は何かを問います。途上国では10億人以上の貧困層が生命の危険にさらされている一方、国内の被災者たちも支援を必要としています。なぜ先進国は途上国に援助しなければならないのか?国内支援を優先するとすれば、その根拠は何か?学生たちは討論を通じて探っていきます。

<以上白熱教室サイトから>

 マイケル・サンデル教の白熱教室以来あまり観ることがなくなっていましたが、昨日は政治哲学の視線ではなく、法哲学の視点からの白熱教室とのことでしたので観てみました。

 とても分かりやすい内容で大変勉強になりました。現代日本における「正義」の論議、それも法哲学からの視点、現代はこうなのかもしれません。そう思いました。

 東京工業大学社会理工学研究科(大学院)宇佐美 誠 (うさみ・まこと)教授が進める白熱教室、第1回目は「正義は国境を越えられるか」という論題で、東日本大震災に見舞われた日本、外に目を移せば海外では貧困に見舞われた国が今も存在する。

 そのような貧困の途上国に対する援助、それを継続すべきか否か、このジレンマに正義を見ようとする内容でした。

宇佐美先生の略歴ですが、サイトによると、

略歴
 名古屋大学大学院法学研究科博士課程(前期)修了。1997年から2年間、ハーバード大学の客員研究員を務め、帰国後、本格的に討論型授業を取り入れる。中京大学教授を経て現職。専門は法哲学。著書に『正義の領域』(仮題、勁草書房、近刊)、『政策の原理と類型』(ミネルヴァ書房、近刊)、『決定』(東京大学出版会)、『公共的決定としての法』(木鐸社)など。編著・共編著に、『ドゥオーキン』『法学と経済学のあいだ』(以上、勁草書房)、『世代間関係から考える公共性』(東京大学出版会)、訳書に、『裁判の正義』(木鐸社)など。

という方です。

番組後、次のような詩が浮かびました。

<刹那の詩(うた)>

 真実性を語る上においては、その真実性を確信しなければ互いの価値観の共有は不可能ではないだろうか。そんな考えに至る。

 時じき人間が微笑むとき、その微笑みは何に向けられるであろうか。

 魂はものであって、物ではない。魂はものであって、者ではない。

 空間と時間のその刹那においては、われの決断しかない。

 東ニ病気ノコドモアレバ
 行ッテ看病シテヤリ
 西ニツカレタ母アレバ
 行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
 南ニ死ニサウナ人アレバ
 行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
 北ニケンクヮヤソショウガアレバ
 ツマラナイカラヤメロトイヒ
 ヒドリノトキハナミダヲナガシ
 サムサノナツハオロオロアルキ
 ミンナニデクノボートヨバレ
 ホメラレモセズ
 クニモサレズ
 サウイフモノニ
 ワタシハナリタイ
 
困窮する人がいれば、手を差し伸べる。

単純な自己決定と行動である。

刹那に疑念はなく、ジレンマは成立しない。

東に困る人がいれば、温かい手を差し伸べるだけである、

その場のその時の立ち位置の、そのものたる者の力の意志(心の叫び)である。

出来ない意志もあろうし、捨て去り向かう意志もあろう。

時はそこに無常に流れる。

近く(日本)の場にあるものが、どうして遠く(他国)を見つめることができようか。

救いの手と言うならば、その手はどこの立ち位置にあり、その刹那の判断は自明の理であろう。

そこに正義の論議はない。

救いの正義は、刹那のその場の救いである。

ありもしない時間とありもしない空間をありありと見つめるから、観えるものも見えなくなる。

 刹那に時間(とき)を観、刹那に場を観る。
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

感じるのは、番組のような議論はとても必要なのですが、肝心の政治家の、政府の姿に、涙こぼれる。

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