千鳥鳴く
佐保の川門の
清き瀬を
馬打ち渡し
いつか通はむ
けさの日めくり万葉集は、日本文学研究家のコロンビア大学名誉教授ドナルド・キーンさんが選者の大伴家持の歌でした。
万葉集をはじめ多くの日本文学を世界に紹介したドナルド・キーンさんがはじめて万葉集に出会ったのは太平洋戦争中とのことです。
アメリカ海軍の日本語学校を卒業して、前線に送られ、日本人捕虜や兵士が残した書類や所持品に向き合うようになり、そのときに書類の中に文庫本が入った大きな箱に出遭います。
驚いたことに本の中で一番多かったのは、万葉集だったそうです。
亡くなられた大野晋先生が「万葉集がわかるということ」という話をされたことがありましたが、万葉集の一首を見てみるとだいたい10個の単語でできているそうです。
31文字がその数でできているわけで、それぞれの単語は、今でも意味の分かる単語が使われているというのでです。枕詞の意味が分からなくともその後に続く言葉をみれば意味はなんのとなくわかります。
戦争中ですから持って行くことのできる本も限られていたでしょうが、そうはいっても「万葉集」であったことに日本人の心がわかるような話です。
『増支部経典』に
「人の内心におこる貪欲と憎悪と迷妄とは不善の根であり、罪である」
という言葉があります。仏教の立場は本来「心性本浄(しんしょうほんじょう)」で、人は本来清浄(ほうらいしょうじょう)が建前です。決して罪深いものではないというのが仏教の建前なのです。