「まともな時代」「まともな人間」「まともな文化」とはなにかと考えてみる必要があるのではないか?
「B層」とはなにか?
「マスコミ報道に流されやすい『比較的』IQ(知能指数)が低い人たち」です。小泉郵政改革に熱中し、民主党マニフェスト詐欺に騙され、流行のラーメン屋に行列をつくる人たち。
これ等の言葉を『ニーチェの警鐘』(日本を蝕む「B層」の害毒)講談社α新書に見る。著者は哲学者の適菜収(てきな・おさむ)さん。「活動的なバカより恐ろしいものはない」と『ゲーテの警告』もかいており副題は「日本を滅ぼすB層の正体」という著書や『キリスト教は邪教です!』というのも書いています。
こういう本を読み続ける中で昨日『新潮45』7月号が発売されました。特集「来たれ総選挙! 落選させたい政治家12人」その他には「AKB現象」徹底解読などがあります。
先週Eテレで「マイケル・サンデル 5千人の白熱教室」(すべてをお金で買えるのか)[前編]が放送され、
あるサイトには、
「サンデル教授がすごいのは、市場主義の限界について、一方的な見解を述べるのではなく、実例を元に意見が分かれるような微妙なイシューを設定して、上手に議論を導いているところだと思います。マスコミやTwitterでは、市場主義を最初から毛嫌いして、感情的な反対論を述べている人たちが見られます。それに対して、市場主義は悪くないんだと強く反対する人たちもいます。どちらにせよ、一方的で自己満足的な議論にはもう疲れたような気がします。」
と書かれていてなんとまともな批評だろう思い、『それをお金で買いますか』(市場主義の限界)鬼澤忍訳・早川書房が言わんとするところは、これだ!と目覚めました。
まともな議論ができる人々が世の中にいない、何か不思議な害毒を吹きかけられている。飛行機雲を見るとオウム信者のように毒ガスを散布していると狂人的に叫ぶ人がいますが、そのまともさは別にして「正解」を叫びたくなります。
昨今私の眼の前に起こっている現象です。菊池直子逮捕の際に信者で活動している時に一生懸命「ヘリからの毒ガス散布」の説明しているビデオが流されていましたが、神の啓示ではないのでしょうが不思議に思いました。
「まともな時代」「まともな人間」「まともな文化」
を考えたときの適菜収のいうB層害毒。私ははB層ではないよねと不安になりましたが、多分B層は自覚症状もなく、せっせと写真入り米袋の生産者信用保証に「まとも」を感じているのかも知れません。
一方こんな話がありました。AKB48の高橋みなみさんについての深イイ話(2012年6月18日 読売新聞)一部紹介。
東教授が参考にすべきだというのは、アイドルグループAKB48のスピーチだ。ファン投票イベント「AKB48選抜総選挙」で6位に選ばれた高橋みなみさんは、ステージで涙ながらに語った。
「去年、『努力は必ず報われる』と言いました。でも、ある方は『努力は報われない』と言いました。そうかもしれないです。全部は報われないかもしれない。運も必要かもしれない。でも、努力しなきゃ始まりません。私にとって努力は無限大の可能性です」
東教授は「スピーチには誰にでも分かる価値観が必要だ。高橋さんの言葉は極めて平凡だが、我々が持っている素朴な価値観を本音で語っている。ポイントは、いかに聞き手中心になれるかだ」と評価する。<以上>
野田総理の「乾坤一擲」という言葉の使用に対する政治家の言葉を研究する東照二・立命館大教授(社会言語学)の話しです。
「AKB48選抜総選挙」に群がる人々、世相のなかで語られた、
「去年、『努力は必ず報われる』と言いました。でも、ある方は『努力は報われない』と言いました。そうかもしれないです。全部は報われないかもしれない。運も必要かもしれない。でも、努力しなきゃ始まりません。私にとって努力は無限大の可能性です」
この言葉に感動してよいのでしょうか、今悩んでいます。感動してもB層にはならないでしょうか心配です。
「一方的で自己満足的な議論にはもう疲れたような気がします。」
目覚めているから疲れを感じるのでしょう。マイケル・サンデル教授の講義は、目覚めの時を投げかけているように思います。
『それをお金で買いますか』と言われると政治哲学から遠く離れているように思いますがとんでもないことで、今現在「あなたがお金を支払って買おうとしているもの」その背景に張るあなたの選択、『選択の科学』のアイエンガー教授ではありませんが、直感と理性のまともさを問うています。そしてまともな議論の必要性を。