思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

生き死にという究極の課題の答えは

2012年06月21日 | 思考探究

[思考] ブログ村キーワード

 昨夜このようなニュースがありました。

<msn 産経ニュース>>

大飯原発3号機で警報器作動 発表は13時間後[2012.6.20 22:16]
 
 関西電力は20日、大飯原子力発電所3号機(福井県おおい町)の発電機で、モーターを冷却する水を入れたタンクの水位が一時低下し、警報器が作動したと発表した。同3、4号機の再稼働決定後のトラブルは初めて。関電は警報器作動から約13時間に発表しており、発表の遅れに経済産業省原子力安全・保安院が陳謝。関電はいったん「即座に公表すべきものではない」と否定したが、保安院の指導を受け、同程度のトラブルがあれば公表する方針を表明した。

 関電などによると、19日午後9時50分、タンクの水位が100ミリ以上低下し、4分後に水位が通常の状態に戻った。関電は、タンクの水をポンプで送り出す際に、一時的に水位が大きく変動し、通常の水位(マイナス30~50ミリ)を下回ったため警報器が反応したとみている。警報器に不具合はなかった。

 関係者によると、今回の警報器作動同様とのケースは、関電の火力発電所でもあった。その後の実験をもとに、一時的な水位低下の恐れがある場合は注水し、通常より50ミリ高い水位にする必要があるとの結果を得ていたが、関電は「現場作業員に注水を指示していなかった」と話している。

<以上>

というニュースを話題にし、アガサ・クリスティーの推理小説の話をします。

 ポアロだから難解な事件も証拠と推理で見事に犯人を特定し事件解決のはこびとなり、責任を司法当局に委ねることができますが、複雑怪奇な現代社会、いったい犯人は誰なのか、また解決するのは誰なのか歯がゆさとお粗末さになさせなくなります。

 事件だけではなく、守られるべき規範が、間違いなく守られてないのに「この程度ならば」と世の人々は「そういうことがないように、そういうシステムで問題が起きないように」と思っていたのに、事実は全くそれとは異なっていることに驚きました。

 オリエント急行殺人事件。犯人は誰だ! この問いに、すべての人は乗客12名の中の誰かなのだろうと思うのですが、そうではないらしい。

 犯人は外部から侵入したマフィア。

 12名が全員犯人。

そうポアロは推理し、当局への事件申告は列車の運行責任者に任せました。

上記のニュースです。

 安全第一、過去の経験から非難に手遅れがないように等万全を期した通報体制が確立され、原発は稼働するものとして思っていたところ「その程度のことは発表に当らず」という電力会社側の判断・・・何とか委員会も絡むのでしょうか、一般人は「なんていい加減なのだろう」と思うのですが、このような話も闇夜に消えてゆくのでしょう。

 「知っている者」の意識、その人のこころでもあるのですが、何をそこに認識し、何を口にし、それを耳にした人(他人)はどのように思うのか。

 単純な、この流れの中にその人はいない。

 こういういい加減差はどこから来るのか、最終的に発表したのでしょうから最終決定者がいるはずです。それとも12名以上が関わる話なのでしょうか。

ここでもう一つの話をします。このところ公共哲学者マイケル・サンデル教授の最近放送された番組を紹介しました。内容を具体的に知りたい人は

老兵は黙って去りゆくのみ
じじぃの「民主主義と市場原理・すべてをお金で買えるのか?マイケル・サンデルの白熱教室」
http://d.hatena.ne.jp/cool-hira/20120618/1339967272

がお薦めです。

さてこの番組で、「レディ・ガガのチケットと病院の予約券、許せるダフ屋は?」という話しがされ、その中で中国でのダフ屋が紹介されました。この話は、早川書店から出されているサンデル教授の著書『それをお金で買いますか』のより具体的に紹介されています。

<医者の予約の転売>
 お金のために行列に並ぶという行為は、アメリカだけの現象ではない。最近、中国を訪れた際に知ったのだが、北京の一流病院では行列に並ぶ商売が日常的なものとなっている。ここ二〇年の市場改革の結果、公立の病院や診療所の予算はカットされた。とくに農村部ではひどかった。そのため地方の患者はいまや、首都の大きな公立病院まではるばる旅をし、登録ホールに長い行列をつくっている。彼らは医者に診てもらう予約券を手に入れるため、徹夜で、ときには数日にわたって行列に並ぶ。
 
 予約券はとても安く、たったの一四元 (約二ドル)だ。ところが、手に入れるのは容易でない。どうしても予約を取りたい患者の中には、何昼夜にもわたってキャンプ生活を送る代わりに、ダフ屋から予約券を買う人もいる。ダフ屋の仕事は需要と供給の大きなギャップを埋めることだ。彼らは人を雇って行列に並ばせ予約券を手に入れると、数百ドルで転売する。
 
これは、普通の農民が数カ月働いても稼げない金額だ。腕のいい医者の予約券はとくに価値があり、ダフ屋はまるでワールドシリーズのボックス席のようにそれを売り歩く。『ロサンジエルスタイムズ』紙によると、北京のある病院の登録ホールの外では、予約券がこんなふーうに転売されているという。

「タン先生、タン先生、タン先生の予約券をほしい人は? リユーマチ学と免疫学の専門家だよ」

 医者に診てもらうための予約券の転売には、いやな感じがつきまとう。一つの理由は、治療を提供する人ではなく、好ましくない中間商人が得をするところにある。タン先生がこんな疑問を抱いたとしても不思議はない。リューマチ治療の予約に一〇〇ドルの価値があるとすれば、自分や病院ではなくダフ屋がほとんどのお金を懐にするのはなぜだろうか?

 経済学者はこれに賛同し、予約券を値上げするよう病院にアドバイスするかもしれない。実際、北京の一部の病院は予約券を売る特別窓口を新設している。この窓口で販売される予約券は従来より高いが、行列ははるかに短い。この高額予約券窓口は、遊園地での待ち時間をなくす優待パスや空港のファストトラックの病院版だ。つまり、お金を払って行列に割り込むチャンスをくれるのである。

 しかし、超過需要から利益を得るのがダフ屋であれ病院であれ、リューマチ医へのファストトラックからはより根本的な疑問が浮かんでくる。追加料金を払えるからというだけで、患者は医療の行列に割り込んでもいいのだろうか?

 北京の病院のダフ屋と予約券を売る特別窓口は、この疑問をあざやかに浮かび上らせる。だが、アメリカでますます盛んになっているより巧妙な行列への割り込みについても、同じ疑問を問うことができる。その割り込みとは、台頭著しい「コンシェルジユ」ドクターという制度である。・・・以下略

<以上P39~p41>
※『それをお金で買いますか』早川書店

世の中どうしてこんな倫理観がはびこってしまっているのか?

現代精神の趣味
http://blog.goo.ne.jp/sinanodaimon/e/b7865c380d25c29c4c2003a7eac510c2

なのだろうか。「誰がどう決めてこうなるのか」現代社会の病理性は「倫理道徳感の欠如」という言葉に集約されてよいものか、思考の根底がそもそも異様なのではないか。

 不自然とは思わないのか?

 自然を阻害する、自然の流れを阻害することが「罪(つみ)」というやまと言葉の語源だと私は思っています。

 川の流れを止める堤(つつみ)。

 雨の災いは雨障(あまつつみ)。

だから「包(つつ)み隠さず申します。」が成り立つのですがもうします。

 現代人は、道徳観や倫理観を再度植えつける、着飾るのではなく着たものを脱ぐ思考視点でないと遅いような気がします。

 裸で生まれ、灰になる運命。

 生き死にという究極の課題の答えは、その目覚めにあるように思います。

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