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パンズ・ラビリンス (2006/メキシコ=スペイン)(ギレルモ・デル・トロ) 75点

2007-10-22 19:41:26 | 映画遍歴
オーソドックスな演出がこの映画にどっしり感を与えている。さらに濃密な映像、CGの美しさ、面白さがこの映画が秀作であることを教えてくれる。
しかし、一番優れているのは人間全体への洞察力であろう。この物語は少女が死ぬ寸前に走馬灯のように垣間見たラビリンスとも取れる。それがラストで分かるだけにサッドストーリーの印象が強いが、これは人間が誰でもが辿り着く人生のひとこまでもあるのだ。
だから、ラビリンスの話を除いても十分通常の社会的ドラマとして通用する秀逸な映画なのだ。その意味で、欲張りな映画であり、文芸ものにファンタジーを加えた観客にはお得な映画ともいえる。
人間は生を受け、死に至るまで日常をただまっしぐら生きている。で、普通の映画はその間をどう生きるか、を描いているが、この映画はその部分をばっさり省略している。戦争、革命、事故等々それら偶然性が各個人の人生にそれぞれ時間を問わず瞬時に関わってくる、とでも言っているようだ。
俳優陣の演技も的確で、この映画を香り高い秀作にした所以でもある。やはり、大人向けのファンタジーでしょうか、、。映画館の客席はみんな見た後怖かったと言っていたけれど、それは人生そのものの怖さを本能的に感じ取ったからに他ならない。

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