舞台には2段ベッドが4台、平ベッドが1台ある。日本人と韓国人がいる。女性も数人。場所はトルコのイスタンブール。
放浪の旅をしているいわゆるパックパッカーたちが安宿に居候している。政治的な不安定が生じ、みんなここに足止めを食っているのだ。
時はまさにサッカーの日韓ワールドカップが行われている最中。日本はトルコに敗れ、今韓国とイタリアが行われている。その試合の2時間を彼らの会話と同時進行させる珍しい舞台である。
この劇は通常の劇とは違い2時間まさにそこにいる部屋の人たちの会話に負っている。つまり僕たちはその部屋にたまたま遭遇したかのような臨場感を感じている。日本語、韓国語、英語が飛び交う。
その言葉の端々に日本と韓国、トルコと日本・韓国、アルメニアという国の哀しい歴史も学ぶことになる。そして何よりそれぞれの国の若者たちの考え方、その相違、感情的な起伏でさえ僕たちはつぶさに知るところとなる。
韓国サッカーが奇跡的な勝利をした後この劇は終わる。
僕たちはその10年ほど前、いわゆる「ドーハの悲劇」が違う国からは「ドーハの奇跡」として崇められていることも知る。
この安宿の小汚いところに10人ほどの若者がごった煮のように会話を重ねる。これはまさに世界を縮図そのものではなかろうか、、。とても面白いものを見た感動が僕を揺るがしてやまない。
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