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天使と悪魔 (2009/米)(ロン・ハワード) 75点

2009-05-23 15:00:58 | 映画遍歴
前作『ダヴィンチ・コード』の、あの謎解きの面白さにつられ今回も見てしまいました。でも今回は製作側の作戦が周到というか、まず完全ワトスン役の実力派【アイェレット・ゾラー】を色添えにし脇を固める。(【オドレイ・トトゥ】に較べると随分色が気味目だが、、)

次は教授だ。前作では謎解きそのもののプロセスが大きな魅力だったのが、まるでジェットコースターに乗っているがごとく一瞬にして謎解きを解決をし、4つの殺人現場を駆け巡る。つまりは観客から謎解きの楽しさを奪っていることに他ならないのであるが、ローマ、ヴァチカンを超特急の乗り合いバスでオプショナルツアーをしているがごとく楽チン観光をしているような錯覚さえして来るほど心地よい。

だいたいカトリックとプロテスタントの違いさえあまり分かっていない日本人にとっては、歴史的構造物、美術、おぞましい連続殺人めぐりという観光巡りはこの上ない楽しみに他ならないのであります。ローマという歴史物で目くらましになっているが、日本であったら十分西村京太郎ミステリー足り得るハナシなのである。

宗教と科学なんていう困難なテーマには見向きもせず観客は教授たちの100メートルダッシュに息を凝らしながら追従していく。

ここから超ネタばれです。

でも、【ユアン・マクレガー】の登場で、というよりキャスティングから、僕たちは犯人探しを最初から諦めさせられている。ここにも大ミステリーファンとしては一番肝心なミステリー部分を放棄せざるを得ないくやしい映画であることも知っている。

ということからミステリーとしてはかなりひどい映画だろうとは思うが、それでも映画的見世物見地からはかなりレベルの高い映画であることも事実なのである。

やはりこのローマ&ヴァチカン巡りは頭を使うことなく特急観光バスに乗っているので心地よい。特に日本人には心地よい。ラスト近くの、天上へ登っていくヘリの爆発シーン。この世のものとも思えない映画的幻惑はめくるめく快感だ。

新法王が教授(われわれと同じ視点)に敬意を払った後王冠をかむり、そのまま戸を開けるとサン・ピエトロ広場にいる何万もの信者の歓声を受ける恍惚感さえ感じる臨場感。演出は相変わらず魅惑的であります。

でもこの映画、海外では受けるのかなあ。あまりに日本人向きで少々気になるところではあります。(どうでもいいけど、、) まあ、一流のエンタメ映画でありますね。それも豪華で1800円はそんなに高くないと思わせるほどの。だって、美術館、神社仏閣、飛行機代、そんなもろもろを勘定すると十分ペイする映画ですよ、ねえ、、、。

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