セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 79本、 演劇 51本

俺は、君のためにこそ死ににいく (2007/日)(新城卓) 75点

2007-05-30 11:30:42 | 映画遍歴
見るまでは題名がどうもストレート過ぎて引いていたのは事実で、気乗りしないまま見ていた。しかし、思っていたより、素朴な特攻隊の人々の描写にすぐそんな気持ちは忘れ去っていた。
視点が全く地平線を見るようにナチュラルなのである。一人一人の、ある意味死刑宣告を受けた人たちの心のさまよい、それを受け止めなければならない家族、世話をする人たちの話なのである。
この視点から映画を撮っているので、世間で言われるような戦争美化などではありえなく、この映画の動機付けは、恐らくそろそろ生存者もいなくなっている状況での、書き留めなければならないというスケッチのようなものであろうと思う。
以下ネタバレ。

筒井道隆の3回失敗に終わり自らみんなの前で墜落死する青年、朝鮮人なのに志願しホタルとなって戻ってくる青年等々、今まで過去の映画で見たストーリーではある。
でも、この映画はまず実際あったそれらをすべての事実を書き留めておくことが重要であろうから、今まで映画化されていたからといってエピソード部分のカットはできなかったのであろう。
演出も丁寧で、さすが沖縄出身の新城卓監督、立派だ。俳優もみんな熱演で、抑えているところはきちんと抑えており感動した。
敢えて言えば、岸惠子のアイライン、冒頭のパイナップルジュースが気になったが、まあ些細なことだろう。
個人的にも、昨日パレスチナ映画「パラダイス・ナウ」を見て、自爆テロについての若者の心情をいたく感じ取っていただけに、余計感情移入があったのは事実であるが、国家が国民を人間扱いしなくなったら、その時点でその国家は私たちの国ではないですね。
いい映画だと思います。じわっと流れる涙をこらえることも忘れるぐらい、画面を見続けました。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ドリーム・クルーズ (2007/米... | トップ | 殯の森 (2007/日=仏)(河瀬直... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「殯の森」のコメントありがとうございました。 (アスカパパ)
2007-06-04 13:41:16
昨日この映画を見てきました。私の拙文のURLを名前にリンクしておきましたので、もしよかったらお読みください。

ヌートリアEさんの評価が私より高いのにちょっと吃驚しました。私はこの映画を製作総指揮&脚色したお方があまり好きではありませんので、評価が厳しくなったのかもしれません。

では、また。
返信する

コメントを投稿

映画遍歴」カテゴリの最新記事