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ブラックバード 家族が家族であるうちに (2019/米=英) 75点

2021-06-13 08:41:04 | 映画遍歴

相当裕福な、周囲に家一つない大富豪の敷地に建つ一軒家。老人が野菜を栽培している。自給自足しているようだ、、。

テーマは安楽死。この州では非合法らしいのだが、医者である夫は妻の望みを聞き入れて自殺に見せかけて行為を全うしようとしている。この日は、最後の晩餐に娘二人と友人がやってくる。家族を連れて、、。

ふつふつと静かな展開だが、感情の起伏が高まり活火山が2,3度噴火する。演技派で知られる俳優陣を揃えた甲斐がある。実にうまい。見せる。

人間が一度は経験する死というものに対して、家族たちは否が応にも向き合わなければならなくなる。妻は自分の死に臨み、娘たちとの和解させることさえ目論んでいる。それでも不仲だった娘たちは自然に母親の意図に導かれつつあったが、、。

静謐な映画であるが、各登場人物の鼓動が聞こえてくるようなある意味激しい映画でもある。観客の気の休まるときはない。エンドの時間は決まっている。夫と友人のことにしてもまあよくできた脚本であることよ。立派すぎますね。

それにしても、この手の映画。安楽死しようとすれば誰かの手を借りなければならない。合法的に行おうとしても、その病院に送る家族はその後一生懊悩することだろう。ましてや、自殺に見せかけて犯罪を犯すとしたら、家族たちは一層罪の意識にとらわれるのはなかろうか。

安楽死を望む者。甘えている部分があるのではないだろうか、何か映画館を出てふとそんなことを思った。


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