波形の声 （2014 徳間書店 長岡弘樹） 70点

「教場」がすばらしくその勢いでこの本を読む。でも、随分人工的な7篇であった。最初のレコード盤は仕組みからしてなかなか面白く期待を持たせたが、それ以降がいけない。

ミステリーって少々トリックは奇抜で実現可能かどうかという問題はさておいて、あまりにも題材に立ち入り過ぎて、逆にそれに溺れるようなミステリーはちと問題があるように思う。

例えば一時不再理の（これはミステリーではかなり取り上げられる題材ではあるが）『わけありの街』。遺族がそもそもこんなことをするはずがないというのが大半の読者の感想だろう。人工的過ぎます。時間の経過とともに物的証拠（というものがあるのなら）がなくなって行きます。

それ以降だんだん読みたくなる気持ちが失せて来ました。（一応読みましたが、、。）

でもこれだけ出来不出来が顕著なら読者はこれからどうしたらいいのだろうか、、。長岡には次作に期待しましょう。