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後悔と真実の色(2009 貫井徳郎著 幻冬舎) 90点

2010-07-28 10:33:29 | 読書遍歴
500ページなろうとする警察小説だが、指蒐集家が出没したり、警察内の男どうしの嫉妬、競争関係も熾烈で生々しい。それぞれ人間への書き込みが優れ、まさにそこには実際生きている哀しいイキモノたちが生息する。

題名が地味目で少々損をしているかなあとも思うが、読み始めると一行とも目が離せなくなってくるいわゆる一気読み。それほど集中して熱い文章なんだけれど、読者にジンワリ強烈に作者の想いが降りかかってくる。

特にエリート警察官の主人公が家庭を捨て、そのまま浮浪者生活をしてゆく様はリアルでますますページをめくる手に力が入ってしまった。人間はこうしてテント生活をしていくんだなあと感心。

ラストの4番目の殺人は未遂にしていればもっと感動的だとも思うけれども、作者の心はもっと厳しいものを見つめている。超秀作。

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