待ちに待った、日本橋丸善での「世界の万年筆展」。いや特に新たな万年筆が欲しいというわけではなく、ペン先の調整である。大阪や神戸にはいいお店があって、頻繁にペンクリニックを開いているのに、東京ではあまりない。
そんなわけで、書き味が渋いことがある万年筆を2本握って駆けつけた。受付開始の9時半から10分も経っていないのに、もう16人も先客がいた。(もっとも、前日の残りかもしれないのだが、人気があることは確かだ。)
ドクターは、何度か診ていただいた、サンライズ貿易の宍倉潔子さんである。
■ マーレンの「サクソフォーン」
チャーリー・パーカーへのオマージュとして作られたペン。バードなのに書き味が渋くて何がバードか。
ペン先の開き具合が悪く、少し歪んでいたようだった。
■ スティピュラの「エトルリア」
ペン先が14Kの現行品と違い18K。ペン先とクリップに刻んである模様は、イタリアのアカントという葉であり、また、ペン軸のふくらみはトスカーナの大地だということである(受け売り)。イタリア物は洒落ている。
これもペン先の開きが今ひとつということで、調整していただいた。1年ほど前にも診てもらったのだが。
ところで、インクフローが渋いのには、ペン先の物理的な問題のほかに、変な角度で書いてしまうという書き手の癖や、インクとの相性も原因となっていることがあるのだという。
特に「ブレンド物」のインクは、粘性が高く、ペンを選んでしまうらしい。そういえば、マーレンにはパイロットの「色彩雫」、スティピュラには丸善のオリジナルインクを詰めていた。しばらくしたら、ペリカンのブルーブラックに戻すつもりだ。
まあ、当分はこれでストレスなし。
●参照
万年筆のペンクリニック
万年筆のペンクリニック(2)
万年筆のペンクリニック(3)
万年筆のペンクリニック(4)
万年筆のペンクリニック(5)
万年筆のペンクリニック(6)
本八幡のぷんぷく堂と昭和の万年筆
沖縄の渡口万年筆店
鉄ペン
行定勲『クローズド・ノート』
モンゴルのペンケース
万年筆のインクを使うローラーボール
ほぼ日手帳とカキモリのトモエリバー