Sightsong

自縄自縛日記

佐々木幹『リハビリ 生きる力を引き出す』

2019-08-25 10:27:17 | もろもろ

佐々木幹『リハビリ 生きる力を引き出す』(岩波新書、2019年)を読む。

生きていると病気を抱え込んでしまう人が周りに何人も。

自分も大きな病気をして、幸いリハビリが必要というものではなかったけれど、それは運がそのように転んだ結果に過ぎない。今後だってそうだし、誰だってそうである。年齢や生活環境にはあまり関係がない。親しくなってみると実はわたしも、と共有してくれる人も少なくない。

悲しさも不自由もすべて人生の親戚(大江健三郎の本をそのたびに思い出す)、リハビリも人生の親戚とともに生活する過程かもしれない。

本書を読んでいてあらためて思ったことは、病気とは単なる機能不全ではないということだ。機能不全を望ましくないことのように言うなら、誰しもそれを潜在的に抱えている。人間をそんなくだらぬ機能の比較によって評価してはならない。そして重要なことは、リハビリという過程そのものを「望ましい状況」への無駄な時間ととらえるべきではないこと、他者の認識も自分自身の思考も極めて重要であること。これを著者は主体性と呼んでいる。


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